中野清の発言 (本会議)
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○中野清君 改革クラブの中野清であります。私は、公明党・改革クラブを代表し、このたび政府提出の中小企業経営革新支援法案、中小企業総合事業団法案につきまして、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
現在、日本経済は深刻な不況、金融不安に見舞われております。昨年秋の二十兆円の金融安定化特別保証制度で、年末の中小企業の危機は一応乗り越えたように見えるものの、直近の個人消費や小売商業販売高などの消費関連の指標、生産関連指標は、依然として深刻な落ち込みを続けております。また、ことし三月期の決算も、軒並み大幅な減益になることは避けられない状況であります。とても回復の胎動などという経済にはなっていないのであります。
総理、我が国経済は中小企業でもっていると言っても過言ではありません。中小企業は、我が国全体の事業所数の九八・九%を占め、従業員の占める割合も七七%に達しております。まさに、中小企業は我が国経済の活力の源泉であります。当然、個々の中小企業はそれぞれ全力で不況と戦っておりますが、マクロ経済の悪化の影響は免れないのであります。景気がよくならなければ、中小企業の業績の好転や雇用問題は、根本的には解決しないと私は思います。
私は、政府の経済政策の失敗でもたらされた大不況のもとで、中小企業に多くの困難が押しつけられており、その状況を政府が放置することは許されない。総理は、貸し渋り、売り上げ減に悩む、激変する中小企業の現状を、我が国の最高責任者としてどう認識しているのか、まずお伺いをいたします。
また第二に、三月四日に、大手銀行十五行が政府に対し、総額七兆五千億円もの公的資金の資本注入を申請いたしました。この七兆五千億円の公的資金の投入で、確かに銀行経営の健全化は図られたとしても、中小企業に対する貸し渋りは本当になくなるのでしょうか。
銀行は、経営危機に陥ると、リストラも不十分なまま公的資金で救済され、中小企業は貸し渋りに苦しんでおります。貸し渋りは本来一切しないということを、公的資金投入の際の条件とすべきであります。総理の御見解をお伺いいたします。
第三に、政府は、一月二十九日に産業再生計画を閣議決定し、日本経済再生に向け、供給サイドの構造改革に取り組むことになりました。従来型の護送船団方式の産業支援から、意欲ある企業に対する支援に方向転換をしたと受けとめておりますが、産業再生計画を取りまとめた総理として、中小企業政策のあり方について、言いかえれば、今日の不況下からの日本経済再生に果たすべき中小企業の役割をどう認識しているのか、お伺いをいたします。
第四といたしまして、今日、中小企業政策のスタンスの転換が叫ばれております。一九六三年、中小企業基本法が制定されて三十六年たった今日、内外において抜本的見直しの必要性が言われております。その意味で、今回のような中小企業近代化促進法の廃止という大きな政策転換を行うのであれば、まず中小企業基本法から見直すべきであると考えますが、総理はどう認識しておられるのか。その基本法の見直しの際には、特に中小企業政策に光を求めている中小零細企業を忘れるべきではないと考えますが、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
次に、中小企業経営革新支援法案について、通産大臣にお伺いをいたします。
二十一世紀の中小企業の担うべき役割としては、我が国経済のダイナミズムの源泉となることであると考えます。そのためには、既に事業を行っている大多数の中小企業について、一層の対策を講ずることが必要であります。そのために、経営革新法の制定と同時に廃止される近代化促進法は、基本法と同時に制定され、これまで中小企業近代化の根幹をなす法律として一定の評価はされてきましたが、全国団体による画一的な計画を個々の事業者に適用する等々に問題がありました。
その近促法の問題点を認識しつつ、政府はこれまで何度か改正をしたと言うが、なぜこの制度の本質的な改善が今日までできなかったのか、そして、今回改正するに至った理由をお伺いしたいと思います。また、平成五年に制定された新分野等円滑化法については、近促法に比して現実的と評価は高いが、わずか五年しかたっていないのになぜ今日見直しが必要なのか、お伺いをしたいと思います。
第二に、今日経営革新支援法が目指す新たな理念として、多様で活力ある独立した中小企業の育成を挙げておりますが、経営革新とは一体何を基準として、どのような活動について支援対象となるのか。経営革新の基準について、新商品、サービスの開発、生産や、新たな生産方式の導入には改善等は含まれないのか、また、個々に企業を支援する際、新システムの開発、生産や、事業者の意欲をだれが判定するのか、お伺いをしたいと思います。
設備投資や技術開発等のハード面の投資とともに、新商品やサービスの開発や営業を行う際には、アイデアの実現や人材への投資のような、ソフトな事業展開に対する支援が重要だと考えますが、こうした面についてどのように施策の充実をされようとしているのか、お伺いいたします。
第三として、二十一世紀に向けて、中小企業の重要課題は、公的規制の緩和に伴う中小企業への助成措置であります。
規制緩和が中小企業にとっていかなる意味を持つのか、政策課題は何か、明確にしなければなりません。規制緩和という環境の中で、中小企業の経営をどう考えていくかが重要な点であります。また、環境問題や安全性の問題など、小さな個々の企業が対応できない今日的な課題もあります。こういう経営環境激変に対する支援策として、経営革新支援法においてどのような政策的な配慮がなされているのか、お伺いをしたいと思います。
また、セーフティーネットとしての、輸入の急増、市況の暴落、市場競争環境の激変の対策は、具体的にどのように発動するのか。また、特にこのような場合、商工組合を多く活用することになりますが、非常に大事なことと考えます。商工組合等の果たすべき役割の重さを政府はどう認識しているのか、お伺いをしたいと思います。
第四として、中小企業近代化審議会のパブリックコメントにおいても多く見られるように、中小企業施策は複雑で、しかも多岐でわかりにくいとの声がよく聞かれます。経営革新支援法案は、これからの中小企業振興政策の中心的な法律であると位置づけられるだけに、その意味でも、なるべく多くの事業者に活用していただくように、簡素で使い勝手のよい制度とすることが重要であります。申請手続の簡素化や、統一の窓口で計画の受け付け、承認、相談ができるようにならないか、お伺いをしたいと思います。
次に、中小企業総合事業団法案についてお伺いいたします。
今回の中小企業関係特殊法人の統合は、平成九年に特殊法人の見直しの検討が政府において行われ、決定されたものと承知しておりますが、そのときに比べ、現在の中小企業をめぐる情勢は、これまで以上に極めて厳しいものになっております。したがって、統合に伴って、これまで中小企業信用保険公庫、中小企業事業団が行ってきた業務に停滞、混乱があってはならないことは当然でありますし、さらに、新法人において中小企業対策の充実を図っていくべきものと考えます。
第一に、それぞれ三つの性格の違うものを統合する理由は何か、また、これによって機能強化や人員削減がどう図られるのか、お伺いをしたいと思います。
第二に、現在、中小企業信用保険公庫においては、中小企業に対する貸し渋り対策のための金融安定化特別保証を実施中でありますが、今回の統合がこの保証事業に悪影響を与えることがないのか、政府の御見解をお伺いいたします。
次に、中小企業を取り巻く重要な課題として、三点についてお伺いいたします。
第一に、公正な競争条件の整備と適正取引条件の確保であります。
市場を活発化するためには、中小企業が新しく生まれて、事業を拡大させていくことが大切であります。そのために、公正な競争条件の整備が必要であります。資本、労働、情報、技術の円滑な支援は当然であります。しかし、今日まで不十分であった公正な取引条件の確保については、政府は今までとは違った対策を考えているのかどうか、お伺いをしたいと思います。
例えば、下請取引の適正化については、前々から言われておりますけれども、依然として下請企業の多くは、親、大企業の優越的地位による不利な取引条件に悩まされております。また、一部大型店の不当とも思える廉売に、中小小売店は苦しんでおります。具体的に、大企業による優越的地位の乱用に対してどう対策を進めようとしているのか、お伺いをいたします。また、公平な市場参入機会の確保について、どのような対策を持っておられるのか、お伺いいたします。
第二に、意欲ある中小企業者の育成についてであります。
創業のための支援も、ベンチャー支援ももちろん必要でありますが、業を起こす起業家、すなわちアントレプレナーの育成の重要さであります。どんなに立派な法律ができても、その趣旨を生かす人材に欠けたのでは何にもなりません。
これとの関係で、人材育成について、我が国は最も基本的なところでの認識が欠けているのではないのでしょうか。人材育成には、長期にわたる教育制度の確立が望まれます。今日までの職業教育、企業内教育だけでなく、それは我が国の学校教育に特に求められるべきと思いますが、文部大臣の御見解をお伺いいたします。
第三に、深刻化する中小企業の雇用について、労働大臣にお伺いいたします。
政府は、雇用維持から雇用創造へ、現在七十万雇用の実現を打ち出しております。本政策関連二法案が成立したとき、現在の労働省の施策、特に中小企業への雇用の創出はどのくらい達成できるのか、お伺いいたします。私は、現在の政府の雇用対策では、目標の中小企業の雇用創出は難しいと考えますが、改めてお伺いをいたします。
最後に、小渕総理にお尋ねいたします。
イギリスのサッチャー首相は、イギリス病を克服するために、一つ、強い自立した個人、二、起業家精神に富む中小企業の育成、三、小さな政府の三つの政策を掲げて、果敢に実行しました。その結果、ヨーロッパで最も飛躍するイギリス経済、その主役が中小企業となっております。このようなサッチャーライゼーションに学びながら、我が国経済の再建と地方経済の自立化は、その主役となるべき大多数の活力ある中小企業を育成する以外にはないと考えます。
小渕総理に、中小企業育成への強い決意を改めてお伺いいたしまして、私の質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕