桝屋敬悟の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○桝屋敬悟君 私は、ただいま議題となりましたいわゆる地方分権推進一括法案に対し、公明党・改革クラブを代表して質問を行います。
 地方分権の一番の課題は、国あっての地方ではなく、地域の集まりが国であるという、つまり、国と地方を対等、協力関係に転換することにあると私どもは考えております。すなわち、産業や雇用などの政策権限や、それに伴う財源を地方へ移譲することで、地域から国をつくり直すことが求められているわけであります。
 個性豊かで活力あふれる地域づくりの第一歩は、住民に身近な行政はできる限り身近な地方自治体が処理することにあります。この哲学のもと、諸井委員長を初めとする地方分権推進委員会の皆様が、血のにじむような御努力をされて、第五次にわたる勧告を取りまとめられたことに対しましては、心から敬意を表したいと思います。
 しかし、この勧告を受けて作成されたはずの地方分権推進計画、そしてこの計画に基づいて作成されました今回の法案の内容を見ますと、国から地方への権限移譲は少ないというのが実感であります。機関委任事務も法定受託事務という名称で事実上残っておりますし、一番肝心な財源移譲の道筋も示されておりません。地方分権とは名ばかりだったとの汚点を後世に残さないためにも、そしてこの法案が実効性ある内容になるようにとの思いを込めまして、以下、順次質問を行います。
 本法律案は、地方分権推進委員会の第一次から第四次までの勧告をもとに地方分権推進計画を作成し、その計画において四百七十五の法律にわたる改正を一括法として取りまとめたものであります。一括法案の問題点として、第一に、個別根拠法の中身にわたる審議は不可能に近い、第二は、審査の目が粗くならざるを得ない等の問題点が指摘されています。一括法とした理由について、まず総理大臣にお尋ねをいたします。
 平成八年三月に発表されました地方分権推進委員会の中間報告では、今回の地方分権は、明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革が成就できると記述されております。総理は、今回の地方分権一括法の意義についてどのように認識されているのか、また、本案によって住民にどのようなメリットがあると認識されているのか、お伺いをいたします。
 次に、今回の法案の柱である機関委任事務の廃止について質問いたします。
 そもそも、機関委任事務の廃止の大きな目的は、国と自治体が上下、主従関係にあるものを対等、協力関係にすることがねらいとされていました。今回の措置で、国と自治体の関係が本当に大きく変わるのかどうか、総理の認識をお伺いいたします。
 機関委任事務を廃止して自治事務と法定受託事務に整理したことにより、地方自治体の事務処理体制はどのように変わり、さらには、国民の地方自治体における窓口手続はより簡易になり、利便性も向上するのかどうか、国民にわかりやすく御説明願いたいと存じます。
 機関委任事務から自治事務とされた事務について、今後は地方自治体が独自の判断で行うことは当然であります。そこで、省庁の関与についても、この関与の基本原則が額面どおりに実施されるとすれば、従来各省庁が機関委任事務に関して行っていた業務はほとんどなくなるため、これらの事務について人員を常置する必要はなくなるはずであります。
 したがって、行政改革によるスリム化の一環として、自治事務とされた機関委任事務に携わっていた職員分の定員を、計画的に削減するべきであると思いますが、総務庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、自治事務と法定受託事務について質問いたします。
 当初は八割が自治事務になると見込まれていましたが、結局六割以下になってしまいました。この原因はどこにあると認識しているのか。また、地方分権推進委員会が自治事務とすべきであると考えたものが、各省庁の同意を得られずに法定受託事務とされたものはどのぐらいあるのか。それらについては、改めて国会の場において、いずれに区分するべきかを議論すべきであると私は考えます。これらの点について、あわせて自治大臣の答弁を求めます。
 また、法定受託事務については、国が事務処理基準を作成することになっていますが、どういう基準で、いつまでに作成するのか。また、事務基準を余り細かく作成すると自治体の条例の自由度の範囲が狭められるので、余り細かいことまで規定すべきでないという意見もありますが、自治大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
 法定受託事務は、国が助言または勧告、協議、同意、指示等の関与をできることから、国は、従来の機関委任事務のように、地方をコントロールすることになるのではないかとの懸念があります。さらには、この法定受託事務が、法律で規定されているものはともかく、政令でも定めることができるようになっていれば、幾らでもふやせることが可能であります。原則として政令では定めないようにするべきですが、これらの点についてどのように対処されようとしているのか、自治大臣の御見解をお伺いいたします。
 次に、地方事務官制度の廃止について質問いたします。
 地方事務官制度は、昭和二十二年の地方自治法制定の際に置かれました同法附則第八条にその法的根拠があり、同条は、「政令で定める事務に従事する都道府県の職員は、当分の間、なお、これを官吏とする。」と規定をしているわけであります。以来、この附則第八条は順次改正され、今日、国と地方の密接な連携を要する事務である社会保険関係事務及び職業安定関係事務の二つが残っているわけであります。
 今回の一括法においては、地方分権推進委員会第三次勧告に基づき、ともに国の直接執行事務として、厚生事務官、労働事務官とすることとされています。しかしながら、先ほども話がありましたが、行政改革の観点から、政府は、行政の減量、効率化を図る上で、国家公務員の削減の方針を打ち出しているわけでありまして、このことに逆行しないのかどうか、総務庁長官の答弁を求めたいと思います。
 特に、社会保険関係事務につきましては、地方自治体の医療、年金、福祉、介護等の政策と密接にかかわるものでありまして、国民年金の空洞化が言われている中で、国民の利便、効率性の観点から、都道府県の法定受託事務とし、その事務は地方公務員が処理する方が好ましいとの強い意見があります。
 どちらにしても、国、地方の連携は必要となるわけであり、地方分権の精神からしても、国民生活に直結する事務は、できるだけ住民に身近な地方団体が事務を行うことが求められているのではないかと考えますが、総理の見解を伺いたいと思います。
 なお、地方事務官制度をどうするかという議論を行う場合、現状の地方事務官の執行体制をつぶさに考えますと、社会保険関係事務と職業安定関係事務とでは、一律に議論できない点もあるのではないかと考えますが、あわせて総理の御見解を伺いたいと思います。
 次に、国地方係争処理委員会についてお伺いをいたします。
 国の地方公共団体に対する関与に、係争を処理する第三者機関として、国地方係争処理委員会が設置されることとなりますが、この委員会を総理府に置くとしていますが、内閣の外部に設置しないで、なぜ総理府に置くことにしたのか。また、その委員会の位置づけは、国家行政組織法の三条機関、八条機関のどちらとして設置するのか。自治体側から見れば、国の行政機関として置かれること自体が非中立に映るのではないでしょうか。これらの点について、総理の見解を承りたいと存じます。
 また、国地方係争処理委員会の権限としては、当初、国の行政機関の長または地方公共団体の長等からの裁定の申し立てに対して裁定するという案でありました。しかし、何ら法的拘束力のない勧告にとどまりました。裁定から勧告になった理由と、権限の弱い委員会が係争処理に力を発揮できるのか、その効果が本当に期待できるのか、率直な所感を総理にお伺いしたいと思います。
 次に、市町村合併についてお伺いいたします。
 今回の法案では、地方公共団体の行財政能力の一層の向上と行政体制の整備確立を進める、その具体策として、自主的な市町村合併を推進することとしています。過日発表されました経済戦略会議の答申においては、全国三千二百の市町村を少なくとも千以下に減らすことを目標に、国は市町村合併を促進するための有効なインセンティブシステムの拡充について積極的に進めるとしているわけであります。
 言うまでもなく、経済戦略会議は、小渕総理のもとで創設されました諮問機関であります。この戦略会議の内容と今回の法案の内容を比較すると、余りにも乖離があると思いますが、国は本気でリーダーシップをとって積極的に市町村合併を進めるのか、あるいは市町村同士の話し合いを第一義とするのかどうか、その基本方針について総理にお伺いしたいと存じます。
 地方財源の充実についてお伺いします。
 平成十年五月二十九日に閣議決定されました地方分権推進計画には、地方財源の充実確保について盛り込まれていました。しかし、今回の法案には入っておりません。地方財源に関する部分が法案化が見送られてしまえば、まさに仏つくって魂入れずで、幾ら権限を移譲しても、それに見合った財源が伴わなければ、地方自治体は、現実に住民サービスの向上を目指す仕事ができません。政府に地方分権を真剣に推進する意思のない証左であるとの厳しい声もあります。
 総理、財源の部分について、いつ法案化するのでしょうか。その時期についてお尋ねいたします。
 また、私ども公明党・改革クラブとしましては、こうした観点から、かねてより、総理のもとで内閣府に地方行財政改革会議を設置し、検討を進めるべきであることを主張しているわけでありますが、あわせて総理の御見解をお伺いいたします。
 財源問題の一番のネックになっている、国庫補助金の整理合理化について質問いたします。
 補助金交付は中央省庁の裁量の余地が大きく、地方自治体は、補助金を獲得するため、中央省庁への陳情合戦、いわゆる天下りの受け入れなどを行っている実態は、かねてから指摘されているところであります。補助金は、機関委任事務以上に、中央による地方統制の手段になっているのが実態であります。
 そこで、お伺いいたします。
 第一に、今後、政府として、どのように補助金の整理合理化を進めていくのか。
 第二に、地方分権推進計画では、国庫補助金については五年を期限とするサンセット方式の導入、国庫負担金についてはおおむね十年ごとの基本的な見直しを行うとされましたが、これらの点については早急に法制化すべきではないか。
 第三は、毎年補助金を整理しても、新たに補助金が創設されれば、ネットでは補助金は減らないことになります。この新規の補助金の抑制策について、政府はどのような方針を検討しておられるのか。
 以上三点について、大蔵大臣及び総理の見解を承りたいと思います。
 経済戦略会議の指摘にもあるように、現在の日本経済の不振の原因の一つは、地方経済の低迷に求められます。地方が中央政府依存から脱却することによって自立性を回復し、独自の産業、独自の地方文化がさまざまな地域から次々に生まれてくることができなければ、日本の将来展望はないと考えるものであります。このため、地方主権を確立するための改革の大きな第一歩に今回の法案がなることを強く期待し、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕

発言情報

speech_id: 114505254X02919990513_025

発言者: 桝屋敬悟

speaker_id: 20590

日付: 1999-05-13

院: 衆議院

会議名: 本会議