河崎茂の発言 (国民福祉委員会)

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○参考人(河崎茂君) こういう機会を与えていただいて、ありがとうございます。
 私は、日本精神病院協会の会長を現在しております。このたびの精神保健福祉法の一部改正に当たりまして、専門委員としてその審議の場にも加わらせていただきました。
 現在、約二百十七万名の精神障害者と称する方が国民の中におるということで、そのうちで約三十四万名は入院しております。外来として医療を受けておる方が一日平均六万八千名、そのうちで公費負担の制度を利用されておる外来患者が約四十七万名。考えてみますと、人口と精神障害者と称される方との比率は、他の疾患に比べて決して少ない数ではないというように思っております。
 日本には、現在、国立、県立あるいは市町村立の公的な精神病院、もちろんその中には大学の精神科あるいは総合病院も含まれておりますけれども、それと法人、個人の精神病院等で約千六百八十の医療機関がありまして、法人、個人は約千四百が現在精神科の医療機関として許可を受けて医療に携わっております。
 日本精神病院協会の会員が現在千二百五病院。考えてみますと、北海道から沖縄までに、約人口十万に一カ所ずつ民間の病院が配置されており、各都道府県に一カ所あるいは二カ所の公的医療機関があるというのは、これは世界に類を見ない、日本だけが持っておる一つの精神科の医療資源ではないかと思っております。三十四万床のうちで約三十万床は民間の医療機関が担当しており、それがうまく全国に配置されておる。この医療資源がよくならなければ日本の精神科医療がよくならないんだというような一つの自覚を持っております。
 ただ、悲しいことに、十年、十五年前から毎年起きる民間の精神病院における人権問題あるいは医療の場における不祥事件に対しては、我々自身が挙げてお互いのピアレビューをやりながら、再びこういうことが起こらないよう努力は重ねておりますが、まことに遺憾なことであるとみずから反省をしております。
 ただ、そこに精神科医療の一つの問題点の、日本の人口との割合のベッド数、もう一点の在院日数の長さ。十年前と比べて、五百何十日が現在四百日前後になった。十年かかって在院日数が百日短縮された。でも一方、三十四万という入院患者の数が、人口と比較して十年たって約一万のベッドが少なくなった。これだけで今後のことを考えていった場合に、やはり日本の精神科医療の大きな問題点として、社会復帰の推進ということにより一層努力をしていかなければ決して精神障害者の方々の人権は守られていかないんだという気持ちは、日精協挙げて持っております。
 ただ、いかにして社会復帰を推進していくか。何年かかかって努力をしてもいまだに遅々として進まない。これには幾多の原因があり、その原因を一つ一つ打破していかなければ、先ほどの参考人のお話のように、身体障害あるいは知的障害者の方々と比べて日本の精神障害者の方々に対する生活援助、福祉の分野が大きなおくれを持っておったということも、これも一つであります。
 また一点、我々千二百五病院のそれぞれの地域における社会復帰の推進の場合に、社会復帰施設を病院の外に、例えば援護寮、福祉ホーム、グループホームを建設しようとしたときに、地域住民の方々が挙げて総論賛成であり各論反対である、精神障害者の方々が退院してこられてここに何人かが生活すること自身が、やはり我々が怖いんだというようなことが現実あるわけなので、これをどうして打破し、そして地域住民の方々との話し合いにおいてようよう話がついて社会復帰施設を病院外に設立したというその努力を一方においてやりながらも、なかなか思うようには進んでいかないのが現状であります。
 もう一点、いわゆる公と民との比較において、あるいは公民をなべて、他科との比較において、現在、精神科の特例と称して四十八人に対して一名の医師、あるいは六対一の看護体制、これ自身が今後どうあるべきか、これも日精協の大きな課題として、先ほどの長期在院者の社会復帰に対する手段、そして今の在院日数を少なくし、ベッドが社会復帰に回っていくその方法をどうするかということは、現在我々自身も、また厚生省においてもそのことを考えながら、特別委員会を組んで検討はしております。
 ただ、現在、いわゆる精神保健指定医が約一万名を超しました。でも、実質は、日本精神病院協会の三十万床、千二百五病院で勤務している指定医の数は約四千名。そして、指定医がふえていくのが年間約三百二、三十名。十年かかっても三千人しかふえていかない。そして、現在の人権尊重の第一歩の指定医制度、大きい義務、任務を負わされておる指定医自身がそれだけしかおらないところに我々の一つの悩みもあります。
 またもう一方、高齢化社会における老人性痴呆疾患のうちで、特別養護老人ホームあるいは老人病院あるいは老健施設で対応でき得る痴呆疾患の方々、それが対応できない夜間徘回、妄想、そして問題行動のある痴呆性老人、人権を尊重しながら指定医または専門の精神科医が対応をしていかなければいけない方が約七万五千名、その中で現在、老人性痴呆疾患で精神病院に入院しておる方が約二万名余り。いまだに約五万名の方が、これはそれだけの設備とそれだけの人間がおるところの精神病院で医療を行わなければいけないにもかかわらず、思うようにはいっておらないのも現状であります。
 あれやこれや検討して現在、日本精神病院協会の会員自身で、この十二月末で約六〇%の病院がハードの面において明るく、そして格子を取り、そしてかつては、昔はどうしたって精神病院にだけは入院したくない、あるいはさせたくないと国民から言われたものを、もっと親しみのある精神病院にまず姿形から変えていこうということで、現在約六〇%の病院が大改装なり、ちょうど二十何年間の時期も来ておる病院が建てかえなりをして、新しい精神病院のイメージチェンジに努力をしておるところであります。
 もう一方、男子の看護士、これも、日本の看護というのは看護婦さんに限られておったのを、男子は学校がなかった、教育機関がなかったのを、これも日精協で十何年前から取り組んで、現在、約一万六千名の男子の免許証を持った看護士が精神病院において勤務しておる。これは、やはり男子でなければいけないということではないんだけれども、三十何万名の入院患者の中には触法、法を犯した方もおりますし、また強制入院、措置入院患者の中でどうしたってやはり夜間勤務が男子でなければというような場合もあり、また男子が精神科看護という面に自分の生涯の働き場を求めて資格を取ってというような強い希望もありまして、約一万六千名の有資格者と、五千七百から八百名の現在学校に通っておる、今は無資格なんだけれども、近い将来有資格者になる男子が現在精神病院で勤務しているというのも実態であります。
 このたびの法改正において、きょうお手元に日精協の要望書と称してお配りさせていただいております。我々としては、何回かの試練を受けて、また日本の国民だけではなしに国際的にも調査団を受けて、そして調査を受け、試練の場をくぐり抜けてきた現在の日本の精神科医療の人権という問題に関しては、頭の中に強く我々自身が守っていかなければいけないんだということが徹底しておりますし、いわゆる人権を尊重した日本の精神科医療というものにお互いに励まし調査をし合いながら、いわゆるピアレビューと称して日精協ブロックごとに、また支部ごとに現在行っております。
 その中で、一番に社会復帰対策の推進という問題を取り上げまして、二番目に精神障害者に対する偏見、差別の撤廃というのは、これは我々も、現場においてそれぞれの伝統を持っておる病院、もう古い病院は三代目の院長が出てきております。ほとんどが二代目にかわってきております。精神病院の中で生まれて、子供のときから精神障害者の方々と病院の中で遊び戯れた連中は、現在、二代目、三代目の院長としておるんだということも、これもいろいろと長短あるにしても、これはやはりその土地の文化と伝統を重んじながら、その土地で生まれて育って、そして子供のときから精神障害者のよき遊び相手として育った連中が医師になり、指定医になり、院長になりしておるというところで、地域の偏見、差別については身をもって撤廃をしようと努力はしておりますが、国を挙げての一つの施策としてよろしくお願いしたいと思います。
 三番目の救急医療、四番の公と民との機能分化、その他、保護者の自傷他害防止義務、これもよくわかるんですけれども、やはり本人と家族と我々とで三位一体となってやっていきたい。あと、精神科医療の適正なる診療報酬確立という面で、特別な今の二二%のベッド数を持ちながら医療費は五・一%にすぎない、技術料というものの評価をお願いしたい。
 最後に、触法精神障害者の対応というのは、厚生省だけではいかないと思うんですけれども、法務省、警察庁と相まってよろしく先生方にお願いをして、今後の触法精神障害者の対策というものについての御配慮もお願いしたいということであります。
 時間を超過して済みません。終わらせていただきます。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 河崎茂

speaker_id: 23010

日付: 1999-04-20

院: 参議院

会議名: 国民福祉委員会