宮澤喜一の発言 (財政・金融委員会)

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○国務大臣(宮澤喜一君) 今回の買収は株主総会の議決事項ではございませんから、したがいまして株主であります私は、水野社長からこのお話の中途の段階において進行状況をお話しいただきました。
 そのときに私が老婆心で申しましたことは、もうとっくにいろいろ御研究であるには違いないが、どうもアメリカのたばこ産業というのは非常に歴戦の雄で恐ろしい。幾つかの個人訴訟を徹底的に各地で闘っておって、その上にとうとう各州の検事総長を相手取って二五年に向かってのやりとりのネゴシエーションをして、一遍は昨年は法律になりかかったわけでございます。法律はできなかったけれども、今二千億ドルとおっしゃいましたが、そういうもので二千億ドル、二十五年の間に。もちろん値上げは許されるわけでございますね。値上げそのものはディスインセンティブになるので許されるという、非常に不思議な話ですが、だから歳入はある。しかし、そのかわり、これをしてはいけない、あれをしてはいけない、こういう訴訟まで入ってきているわけだから、とにかく大変な人たちを相手にしておられるので、それはもう御如才もないでしょうがということは老婆心で申し上げました。
 ただ、そのときに私が思いましたことは、日本たばこは現在、例えば薬品であるとか、あるいは恐らくバイオテクノロジーとか、いろんなことで少しずつ多角化を考えておられるではありましょうけれども、基本的にはたばこの会社である。従来のいきさつからいっても、今後を展望しましても、たばこの会社をやめることはできない、そういう性格を持っている会社だと思います。
 そして、御承知のように、アメリカでもレイノルズ・ナビスコなんかも、いろいろ私は事情があったと思いますが、たび重なるレバレッジド・バイアウトでかなり金融的にはいろいろ苦しいところもあるし、たばこというものが国内的にはある意味でなかなか問題の多い品物になっているということもございまして、海外を売ろうとしているのではないか。
 そうしますと、これは浅尾委員はよく御存じですが、フィリップモリスとブリティッシュアメリカンですか、ロスマンズは合併になったから、その次ぐらいに今度JTが来るはずになって、どうしても世界的な寡占体制というものは恐らくもう免れないのではないか。そうすると、JTとしてもその寡占の中に入っていかなければ、今後のたばこ会社としての運命というものはなかなか切り開けないのではないか。そういうふうに経営者が考えられることは私は無理はないことであるというふうにお話をしながら思ったわけでございます。
 すぐ外電がありまして、七十八億ドルというのが大変高い買い物であったと言うんです。そうかもしれないが、しかし本当はJTとしてはどうしてもこの際レイノルズ・ナビスコを買っておくべきだという気持ちがおありだったでしょうし、ネゴの途中では、いや、フィリップモリスが買うのかもしれないとか、当然いろんな真偽取りまぜてうわさもありましたでしょう。
 そういう意味で、仮にJTが多少高い値で買われたにしても、今の浅尾委員のお話では、確かにそろばんをとりますとそれはそろばんとして合うのかなというお尋ねはごもっともではありますけれども、やっぱり世界市場における寡占体制の中でおくれてしまうということを考えますと、これは証明も何もできないことでございますけれども、仮に多少値段が高かったとしても経営者としてこの決心をなさることには十分に意味があるなと。私は何も意見を申し上げる立場には実はないわけでございますけれども、お話をしながらそう思っておりました。

発言情報

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発言者: 宮澤喜一

speaker_id: 13804

日付: 1999-03-16

院: 参議院

会議名: 財政・金融委員会