田名部匡省の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○田名部匡省君 私は、参議院の会を代表して、一九九九年度政府予算案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。
私は、政治生活が三十二年余になりますけれども、初めての反対討論を行うもので、いささか戸惑いとじくじたるものを感じておるのも事実であります。
さて、日本経済は未曾有の危機に直面し、財政は事実上、破綻状態にあります。大蔵省の二〇〇三年度までの中期財政試算によれば、年率三・五%成長でも三十兆円前後の国債発行が必要と見込まれております。これは、景気がよくなっても変化なしであることを意味しており、しかも、この前提はあくまで歳出の伸びをゼロと置いたもので、年金、公務員給与、公共事業の伸び、すべてゼロに置いて三十兆円の借金がなければ国の運営ができないというのであります。
政府は、何をおいても景気回復のために思い切った財政出動を行ったと言い張っておりますけれども、橋本政権の財政改革と小渕政権の景気対策とは同じ政党の政権とは到底考えられません。政治は結果責任が伴うもので、最重要課題で政策が失敗したときは潔く責任を明確にすべきだと考えるし、国家国民のために最大の努力も期待している一人でもあります。
今や、国、地方の長期債務残高は十一年度末で六百兆円も問題でありますけれども、これが今後さらにふえることが問題であり、これらの先行き不透明なことが国民やマーケットに不安を与えているのであります。
日本経済低迷の底に不良債権の問題があります。このことが議論され始めたのは宮澤政権のときで、当時、私も内閣の一員でありました。九二年以降五年間ぐらいだったと思いますけれども、六十兆円を超える公共事業等の経済対策を実施してきましたが、結果は景気回復につながりませんでした。
九六年、村山政権のとき、住専国会では六千八百五十億円の公的資金を投入され、これに当時新進党であった私は、小沢党首を先頭に、予算委員会室や廊下に座り込んで徹底抗戦したものであります。当時、野田自治大臣と一緒に、法的に処理すべきであると主張し、経営責任の明確を掲げ、五年さかのぼって財産を没収する提案もいたしたのでありますが、当時の財政はあいまいな決着でお茶を濁し、今日の金融破綻でも同じようなことが再び繰り返されようとしております。
当時、大蔵省は、不良債権問題は一件落着と宣言したのでありますが、消費が日本経済の六〇%を占めておるのに消費税の引き上げを行い、一件落着どころか、企業は業務多角化、財テク、土地投資により含み損を抱え、巨大な不良債権を金融機関が支えてきたのであります。情報公開の制度もなく、官僚はすべての事実を隠してきたことが今回の金融不安となり、相次ぐ銀行破綻につながり、約七兆五千億円の公的資金投入になったわけであります。この責任をだれ一人とらず、国民に負担のみを押しつけることがまかり通る官僚国家が無責任国家にしてしまったのではないでしょうか。
九九年度予算においても、行政改革、地方分権による歳出削減の数値目標や将来の福祉社会の明確な展望も明らかにせず、さらに、景気対策のため、公共事業増と減税などで三十一兆円にも及ぶ国債を発行したのであります。
私は、振り返って、新進党時代に、民間の企業が倒産や相次ぐリストラで苦しんでいるときに、政府や政治家は率先して行政改革や政治家の定数削減を行うべきだと訴えてまいりました。地方分権では全国三百に分割する案を初め、規制緩和、裁量行政を廃止することによって財政再建、経済の発展と自由で公平な企業活動を提言してまいりました。
また、減税、公務員の定年延長、特殊法人の原則廃止、天下りや財投の見直し、膨大な借金をしても給与、ボーナス、退職金まで支給するなど、民間では考えられないことを行っている現実を見直さなければと言い続けてまいりました。さらに、経済戦略会議の提言の具体化に早速手をつけるぐらいのことをまずやっていただきたい、こう思います。以上の改革実現のために、私は信念を貫くことをお誓い申し上げるものであります。
国民は政府や政党のためにあるのではなく、政府や政党が国民のためにあるのだということを忘れてはなりません。国民の政治不信もここにあると思うのであります。以上のことから、平成十一年度予算に反対するものであります。
最後に、参議院における予算審議を通じて感じたことを申し上げて終わりたいと思います。
まず、衆議院で予算成立後一カ月で成立する予算審議では身が入らず、参議院の独自性化を考慮し、決算とか法案に重点を置くような方法等一考を要すると思います。衆議院のコピーとか無用論とか言われない参議院の改革を同僚議員に検討を期待し、私の反対討論を終わらせていただきます。(拍手)