竹山裕の発言 (本会議)

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○竹山裕君 私は、自由民主党を代表して、ただいま趣旨説明のありました周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案等について、いわゆるガイドライン関連三法案について、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 冷戦終結後十年がたちましたが、国際情勢が大きく変化し、地域紛争やテロ事件が多発し、大量破壊兵器を拡散する傾向にあります。特に、アジアにおいては、朝鮮半島情勢を初め、平和と安全を脅かしかねない不安定な要素が多く見受けられます。
 ガイドライン関連法案が衆議院で審議されている最中にも、三月二十三日、日本海の我が国領域に北朝鮮の不審船が進入しているのが発見され、自衛隊の初の海上警備行動が発動されるという事態になりました。また、三月二十五日、セルビア共和国コソボ自治州をめぐる民族紛争でNATO軍がユーゴ連邦の空爆を開始し、今なお継続中であります。
 このような不安定さを増す国際情勢の中で、日本は憲法の平和主義、国際協調主義の理念に基づいて、その範囲内でいかに国家の最大の使命である国民の生命の安全と財産の保護に万全を期すか、我が国の安全保障のあり方を今こそ真剣に考え、対応していくべきときであります。
 我が国はもちろん専守防衛を国是としておりますが、それだけに万全の備えが必要であります。このことは、昨年八月に北朝鮮のミサイルが何の予告もなく日本列島を横断したことや、さきの不審船、すなわち北朝鮮の工作船を拿捕できなかったことから見て、抑止力を備えた安全保障がいかに重要か、多くの国民が痛感しているところであります。
 ガイドライン関連法案は、さきに衆議院で一部修正の上、本院に送付されてまいりましたが、我々は、本三法案が我が国の平和及び安全の確保に果たす役割、日米安保体制の実効性の確保等の視点を十分に踏まえて真剣な審議を行い、一日も早くその効力が発揮されるよう最大限の努力をする所存であります。
 参議院での審議開始に当たり、まず最近の国際情勢や世論の動向等を踏まえて、日本の安全保障の基本的なあり方や、その中で日米防衛協力の果たす役割について総理大臣に基本的な御見解をお伺いいたします。
 三年前の四月、橋本前総理とクリントン大統領との首脳会談により、二十一世紀の日米同盟に向けて新たな扉を開く日米安全保障共同宣言を発表し、日米安保体制の重要性を再確認するとともに、日米両国間で緊密な防衛協力に取り組んでいくこととなりました。これにより、二十年前からあった冷戦時代のソ連の世界的な軍事戦略に対処する日米防衛協力のための指針を見直し、ポスト冷戦時代の地域武力紛争等に相互に協力するため、新ガイドラインについて日米両国間で十分に協議を重ねてきたものであります。
 我が国周辺の地域における日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態、いわゆる周辺事態において日本国憲法の範囲内で我が国が協力できること等を慎重に検討してきたと承知しております。
 衆議院において、政府提出法案に対して周辺事態の定義、国会承認のあり方等について修正が行われ、船舶検査活動に関する条項は削除されました。これらは比較的重要な修正でありますので、ガイドラインについて日米両国で協議を積み上げてきたものだけに、日米同盟関係の信頼性を損なわないよう、修正について十分理解を求めていくことが重要であります。この点を踏まえ、来月三日から始まる日米首脳会談にどのように臨まれるのか、総理の対応をお聞かせ願います。
 ガイドライン関連法案をめぐる議論は安全保障問題全般にわたりましたが、一番大切なことは、危機への抑止力も持たずに何も対応措置が決まっていないということこそ国として危険きわまりないゆゆしき事態であり、このことを肝に銘じておかなければなりません。このため、周辺事態に際して日米安保体制の実効性を確保するための必要な措置として、後方地域支援、捜索救助活動、船舶検査活動等を実施するガイドライン関連法案が昨年四月に国会に提出されたのであります。
 周辺事態は多様な脅威が想定され、そのまま放置すれば我が国有事等へと発展する危険性も想定されますが、大量難民の流出等日本への武力攻撃に発展するおそれがないものもありますが、それらについて平和外交の積極的展開と相まって、日米防衛協力により、抑止効果を発揮しつつ、周辺事態が及ぼす我が国への影響をできるだけ少なくしていくもので、我が国の重要な危機管理法制であることにこのガイドライン関連法案の大きな意味、役割があるわけであります。
 紛争を予防するための外交を一層展開するとともに、日米関係の緊密な連携、日米防衛協力により周辺事態の重大な影響に対する抑止力の発揮が要請されておりますので、期待される抑止効果について外務大臣に具体的な御説明をいただくとともに、近隣諸国の理解を求める対応についてもあわせてお伺いいたします。
 周辺事態措置法案の定義の中に「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」が例示として追加され、また新たに日米安保条約の効果的な運用に寄与することを加える修正が衆議院でなされました。これにより、本法案の基本的性格、すなわち周辺事態での自衛隊の活動は個別自衛権の発動を伴わない危機管理、危機対応措置であることに変わりがないかどうか。根本にかかわることでありますので、国民の理解を深めるためにも、この点について総理にこの際確認させていただきます。
 多様な周辺事態について、周辺事態の定義をより明確にするため、その性質に応じて具体的ケースを想定し、七つの類型を防衛庁長官が示されておりますが、これらおのおのの状況に適切かつ迅速に対応できるような仕組みが不可欠であります。シビリアンコントロールのもとでその効率性、実効性がいかに確保されるかが一番肝要であります。
 この問題については、周辺事態での基本計画に対する国会の関与の仕方いかんによっては、機動的な対応が困難となり、その実効性を損ないかねません。
 衆議院において、基本計画の国会への報告に関して、自衛隊の後方地域支援、後方地域捜索救助活動は原則として事前承認を必要とし、緊急の場合は速やかに事後承認が必要とする旨の修正が加えられましたが、この点について防衛庁長官は、周辺事態において自衛隊がタイミングを失することなく機動的に対応するための緊急時の解釈や運用をどのように考えておられるのか、また、事後承認の猶予期限についてどのように受けとめておられるのか、御見解を伺います。
 次に、周辺事態における武器使用の態様について伺います。
 政府提出法案では、後方地域捜索救助活動等では生命等を防護するための必要最小限の武器使用が可能とされておりますが、後方地域支援活動だけこのような武器使用ができないのは整合性を欠き、後方地域支援活動中であっても自衛隊がテロ、ゲリラ等により攻撃されるなど、万が一のときに備えて武器使用規定を設けることが現実的対応として必要と考えるわけであります。衆議院ではこの点について、生命または身体の防護のためやむを得ない必要があるとき武器使用の規定を設けることの修正がなされました。
 これは適切な修正と考えますが、このほか、ガイドライン関連法案では、当然のことながら自衛隊法九十五条の武器等の防護のための武器使用は認められておりますが、これらの点も踏まえて、武器使用の範囲、限度をいかにするか、適正な武器使用のあり方について防衛庁長官の御見解をお示しいただきたい。
 また、さきの北朝鮮の工作船による領海侵犯を契機に、有事法制をめぐる議論が盛んになっております。国の安全や平和を守る基本として、日本有事の法制やマニュアルづくりの検討を急ぐべきと考えますが、この点についてもあわせお伺いいたします。
 最後に一言申し上げたいと思います。
 最近は安全保障問題について国民の関心も高まり、世論調査において、ガイドライン関連法案について、日本の安全のためや国際環境の変化に対応するために約三分の二の人々が賛成という結果も出ております。
 日本国は、平和のために紛争予防外交や国際協力を積極的に展開するとともに、早急にガイドライン関連法案を成立させ、我が国の安全確保とアジアを初め世界の安定に大きく貢献していかなければなりません。多くの国民はその必要性を理解し支持しているのであります。
 経済的危機は経済再生を掲げる小渕内閣のもとで回避され、総理の支持率も向上しつつありますが、もう一つの緊要課題であるこのガイドライン関連法案の帰趨も、将来の日本を初めアジアの平和と安定を大きく左右するものとして内外から大きな注目を集めているところであります。
 かつてない難問が山積している中、我々は、各会派の御理解が得られるよう努力をし、本法案の円滑な審議に大いに尽力してまいりますので、総理におかれましても、内閣を挙げて万全の態勢で臨まれるよう、その決意を改めてお伺いして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114515254X01719990428_009

発言者: 竹山裕

speaker_id: 34558

日付: 1999-04-28

院: 参議院

会議名: 本会議