日笠勝之の発言 (本会議)

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○日笠勝之君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました日米ガイドライン関連三法案に対し、総理並びに関係閣僚にお伺いいたします。
 これら三法案審議に際し、冷戦終結後においても日本の平和と安全を確保し、アジア太平洋地域における不安定要素も懸念される中、日米安保体制の抑止の効果と信頼醸成を高めることは重要な課題であり、私は、そのために平和憲法の精神と原則を十分に踏まえ、日米安保体制の機能充実を図る本ガイドライン関連三法案は必要不可欠であるとの認識のもとに、幅広い国民の理解を得つつ、かつ近隣諸国の無用な誤解を招くことのないように配慮すべきは大前提と思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 そこで、まずお伺いしたいことは、総理のアカウンタビリティー、説明責任についてであります。
 これら三法案は、昨年四月、国会に提出されて以来一年間にわたりさまざまな議論がなされてまいりました。しかるに、日本の平和と安全に立脚した観点、例えば冷戦後の日米安全保障体制のあり方、なぜ日米ガイドライン関連三法案が必要なのか、現在と近未来の日本の周辺をどのように認識しているのか等、国民にわかりやすい言葉で説明し尽くされたのかどうか。つまり、多くの国民にこの法案への理解が深まったと思われますか。
 反面、これらの法案は、戦争協力法とか自動参戦措置法であるとか自衛隊海外派兵法とかさまざまなことが言われております。それが新聞の意見広告に掲載されたり、また、さきの統一選挙においてビラ、チラシが配布され、かつ一部の候補者からこのことが喧騒されたりしたのが散見されたのは御承知のとおりであります。よって、このような論調に対して、説明責任はひとえに政府、なかんずく総理大臣にあると思いますが、ここで国民に、また、アジア近隣諸国に対して明確かつわかりやすい言葉での説明を求めます。
 次に、修正された項目について、政府に何点か御所見をお伺いいたします。
 その第一は、周辺事態に、これを放置すれば我が国に対する武力攻撃のおそれが生ずると認めるものとするという例示を挿入されましたが、これはいわゆる準有事を想定した集団的自衛権の発動につながるとの意見もあります。この例示と集団的自衛権の関係、また、これまで示されてきた自衛権の発動要件との関連をどう思慮されておられるのか、お答え願います。
 第二点は、基本計画の三本柱と言われた船舶検査活動が条文から全面削除されましたが、その理由と、政府は今後、船舶検査活動についていかなるスケジュールで別建ての立法措置を考えておられるのか、また、どういう内容の法案を想定されておられるのか、お尋ねします。
 衆議院において外相並びに防衛庁長官は、船舶検査活動を行う場合に、国連安保理決議という根拠があることが有益であるとの答弁をされておられますが、今後の法整備について、私は国連安保理決議に基づく形で船舶検査活動が法制化されるべきものと考えますが、いかがですか。
 第三点は、第一条に、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の効果的な運用に寄与し、」という文が挿入されましたが、これは私たちが主張していた日米安保条約の枠内と一致するものであり、これにより自衛隊の活動範囲が無制限に拡大することをチェックできるものと理解していますが、御所見をお伺いしたい。
 第四点は、国会の関与について、原則実施前に国会承認、緊急時には事後承認となったことは、自衛隊法第七十六条及び七十八条の防衛出動、治安出動の規定から、また、PKO法第六条との整合性からいっても、なおかつシビリアンコントロールという大原則から見ても当然のことと評価します。政府は可能な限り事前承認を得る協力をすべきでありますが、緊急時における事後承認については実施後何日くらいを目途としているのか、お伺いします。
 次に、個別的な項目について何点かお尋ねいたします。
 その第一は、総理は、日米安保条約の目的は我が国及び極東の平和と安全維持であり、周辺事態安全確保法は日米安保条約の目的の枠内であり、日米安保条約を超えるものではないと答弁されています。自衛隊が米軍の後方地域支援等を行うことは日米安保条約のどの条文に該当するのか。巷間言われておることは、該当する条文がないなら、日米安保条約そのものを改定する必要があるのではないかとの主張もありますが、いかがですか。
 第二は、先ほども述べましたが、これまで政府が示してきた日米安保条約を超えるものではないとの説明ではその範囲が不明確で、自衛隊の行動範囲が歯どめなく無限定という意見もありますが、この法案の適用範囲は極東を超えないものと理解していいのか、さらに極東を超える米軍への後方支援は行わないと解していいのか、お伺いいたします。
 第三は、自衛隊の米軍への支援は別表に具体的に明示されていますが、地方自治体や民間の協力はどのようなことをイメージされているのか、明確にされたい。
 第四は、同じく安全の確保の基準がなく、後方地域支援以外で実施されることも排除されておらず、法的に担保されるべきではないかとの主張もこれあり、他方、当該協力を行ったことにより生じた損害への補償に対して、その具体的手続等についてはどうされますか。
 第五は、例えば国連決議のない多国籍軍の中の米軍への支援はあり得るのか。また、あり得るとすれば、その際、日本が輸送した武器弾薬等の物品が米軍より他国軍に提供された場合、どう対応されるのか。歯どめはありやなしや、お伺いいたします。
 第六は、政府は当初からガイドラインは憲法の枠内で集団的自衛権に踏み込まないと説明されたことは理解しますが、ガイドラインで規定している共同作戦計画、相互協力計画の作成に我が国がかかわることが集団的自衛権行使に抵触するおそれはないのか、答弁を求めます。
 第七に、周辺事態において、多くは米国に対する我が国支援がほとんどでありますが、唯一、非戦闘員の退避活動は米国からの協力が期待されると言えますが、仮に周辺事態において邦人保護の必要性が生じた場合、米国はいかなる協力を我が国に約束しているのか、政府に確認したい。
 以上、簡潔にお答えください。
 次に、いわゆるACSA改正協定案についてお伺いいたします。
 この協定のもとで提供される物品、役務について武器輸出三原則の対象外とされていると認識していますが、この改正により武器が米軍に提供され、実際の戦闘行動に使用されることも考え得るわけですが、我が国の平和原則の一つである武器輸出三原則の本来趣旨が形骸化されるのではないかとの疑念の声もありますが、政府のお考えを問いたいと存じます。
 最後に、この一年間に及ぶ議論を聞いていますと、軍事力を中心としたハードパワーの論議が目立ち、二十一世紀に向けた対話をベースにした我が国のアジア太平洋地域への平和外交戦略や平和ビジョンと、その基本政策が発信される情報量が少なかった感は否めません。
 また、重要なことは、周辺事態の発生を未然防止するための予防外交、信頼醸成措置について政府にいかなる構想力があるのか、まさに問われています。
 よって、いま一度これらに対して総理の率直なお考えを披瀝されるべきではありませんか。その上で、誠意を持って本法案の説明に近隣諸国へ特使を派遣し、我が国への危惧の念を払拭すべきであると考えますが、総理にお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114515254X01719990428_018

発言者: 日笠勝之

speaker_id: 18039

日付: 1999-04-28

院: 参議院

会議名: 本会議