小泉親司の発言 (本会議)

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○小泉親司君 私は、日本共産党を代表して、日米ガイドライン関連法案について質問いたします。
 ガイドライン関連法案が、戦争か平和かという日本の二十一世紀の命運にかかわる重要な法案であることは、法案に対する立場を超えて、だれもが認めることでしょう。ところが、政府が法案の根本的な問題について筋道の立った説明を行わないまま、事もあろうに首相の訪米の手土産などとして衆議院で採決が強行されました。私は怒りを持ってこれに抗議するものであります。まず、このことを指摘して、以下質問いたします。
 質問の第一は、アメリカの軍事行動への自衛隊の軍事支援が、戦争を放棄し、国際紛争を解決する手段としての武力の行使と威嚇を禁じた憲法第九条で許されるのかという問題であります。
 政府はこれまで、自衛隊の米軍支援について、武力行使と一体とならないとか、後方地域支援だから憲法違反でないと繰り返してきました。しかし、周辺事態で自衛隊が行う軍事支援の内容は、戦闘行動を行う米軍に対する武器弾薬や兵員の輸送、燃料補給など、まさに兵たん活動そのものではありませんか。
 兵たん活動が戦闘行動と不可分一体のものであることは軍事の常識であります。衆議院の公聴会で自民党推薦の佐久間元自衛隊統幕議長が、戦争に前方も後方もないと認めていることを政府は否定できるのですか。政府が言うように、たとえ後方地域に限ったとしても、米軍の戦闘行為と一体のものであり、米軍の戦争に貢献する兵たん活動であることは明らかではありませんか。
 しかも、こうした兵たん活動は、国際法上、相手の判断で軍事攻撃の対象とされても文句の言えない行為であり、現にNATO軍によるユーゴの空爆でも、鉄道輸送・補給路が真っ先に攻撃目標とされています。世界のどこに戦闘行動と一体でない後方支援・兵たん活動があるというのですか。総理の明確な答弁を求めます。
 第二に、本法案の骨格をなす周辺事態の基本概念についてであります。
 法案は、我が国周辺の地域における日本の平和と安全に重大な影響を与える事態と言うだけで、周辺地域とは一体どういう地域なのか、いかなる事態が周辺事態に当たるのか、周辺事態の認定はだれが、どのように行うのか、この最も核心部分は衆議院の審議でも全く明らかにされていません。基本概念について責任ある説明をすることが参議院で審議を始める当然の前提であります。
 そこで、伺いますが、周辺の地域とはどこなのですか。
 政府は、地理的概念ではないと何遍も繰り返す一方で、地球の裏側までは行かないと地理的概念で説明していますが、それでは中東やペルシャ湾はなぜ含まないのですか。含まないというのであれば、それは地理的範囲を持っているということではありませんか。
 一九六〇年の日米安保条約の審議では、極東の範囲について、その地理的範囲を政府統一見解として示しました。この法案が日米安保条約の枠内だというなら、なぜ周辺地域の範囲を明確に示すことができないのですか。
 次に、いかなる事態が周辺事態に当たるのか、政府は六つの典型例を示していますが、この例示は何ら事態を限定するものではありません。
 例えば、ある国の内戦、内乱の国際的拡大を例示していますが、この内戦とはいかなる場合を想定しているのですか。また、内戦、内乱がどのようにして国際的に拡大するというのですか。内戦や内乱は外部に影響を与えないから内戦、内乱なのであって、それが何ゆえに国際的に拡大するというのですか。常識的には外部からの介入以外には考えられないではありませんか。
 多くの識者は、政府が周辺事態の典型例に内戦を含めたのは、周辺事態の生起する原因として台湾での米軍の軍事行動を想定しているからだと指摘していますが、そうではないとなぜ言えるのですか。
 政府が一つの中国の立場に立つなら、台湾は周辺事態の対象としないと明言すべきではありませんか。このことを明言しないことが、アジア諸国がアジアに新たな軍事的緊張を持ち込むものだと批判し懸念を表明しているのであります。明確な答弁を求めます。
 周辺の地域がどこで、何が周辺事態か一切規定がないということは、すべて政府のその時々の判断に白紙委任するということではありませんか。そんなことは法治国家において法律たり得ない、まさに希代の欠陥立法ということになるではありませんか。
 衆議院修正で、周辺事態の内容をより明確にするとして、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態が例示としてつけ加えられましたが、修正によって周辺事態の定義がどのように明確になったのですか。この修正は、日本に対する武力攻撃のおそれを口実にして、自衛権では説明できない日本有事以外での武力行使に道を開くことになるのではありませんか。
 また、国会承認について、衆議院修正は、自衛隊の行動を原則事前承認、緊急の場合は事後承認としていますが、緊急の場合というのはだれが判断するのですか。政府が判断するというのであれば、政府への白紙委任という法案の性格は何ら変わらないではありませんか。実効性、迅速性を確保するという理屈づけさえすればほとんどの場合が緊急ということになるのではないのですか。政府の見解を求めます。
 第三は、アメリカのどのような性格の戦争に協力するのかという問題であります。
 アメリカのどのような戦争に日本が軍事支援を行うかという点について、政府は、米国が違法な武力行使を行うことは想定されないと、アメリカは絶対正義であるという立場を繰り返し表明してきました。それでは、この法案で、アメリカが関与する周辺事態での相手国はすべて不正義である、すべて悪であるとでもいうのですか。
 現実にアメリカはユーゴへの空爆を初め、イラク攻撃やかつてのベトナム侵略など、国連憲章や国際法を無視した武力行使を繰り返し行い、さらに、みずからの国益のためとあらば先制的な軍事力行使をも辞さないという戦略を公然と表明し実行していますが、これでも米国が行う武力行使はすべてが正義だというのですか。
 アメリカがアジア太平洋で周辺事態と称してユーゴ空爆のような軍事力行使を開始した場合に、日本は国連憲章や国連決議にさえ基づかない軍事行動に加担することになるのではありませんか。それとも、日本は独自の判断でこうした場合の支援を一切拒否するというのですか。総理の答弁を求めます。
 第四に、地方自治体や民間の協力についてであります。
 法案には、「必要な協力」とあるだけで、協力の内容も範囲も全く明示されていません。政府は、米軍のニーズ、要請に従って協力内容を決めると言いますが、それでは協力の内容はアメリカの言うがままということですか。
 政府は、自治体、民間の協力事例を示しましたが、その中には、米軍による民間の港湾、民間空港の使用、航空・港湾労働者を初め陸海空の輸送業者の動員、自治体、民間の病院、廃棄物処理、自治体の施設や土地の利用、すなわち公民館や体育館、グラウンドの使用まで列挙しています。その上、政府はこれに限られるものではないと言いますが、それではどこまで広がるというのですか。限度がないということではありませんか。
 政府は、こうした自治体や民間への協力や依頼は強制ではないと繰り返していますが、それではなぜこのような条項を明記する必要があるのですか。結局、民間港湾の一時的使用を確保するというガイドラインの誓約に従って事実上強制していくということになるのではありませんか。
 だからこそ、静岡県議会の決議を初め、多くの自治体から党派を超えて全会一致の反対や懸念を表明する意見書が上がっているのではありませんか。総理、こうした意見書にどうこたえるのですか。答弁を求めます。
 ガイドライン関連法案が憲法違反の戦争法案であることが明らかになり、多くの国民から怒りと懸念の声が全国各地で上がっています。百八十を超える自治体での反対や危惧を表明する意見書を初め文化人、知識人、航空・港湾労働者、病院労働者など広範な国民から反対の声が上がっています。この国民の声に真摯に答えるべきであります。
 日本共産党はもちろん法案に反対であり、廃案のために全力を挙げています。しかし、以上指摘してきた問題は、この法案の賛否がどうあれ、日本の進路をまじめに考える政党であるなら、あいまいな決着は許されない問題であります。
 参議院が、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように決意した日本国民の平和の原点に立って、徹底的な審議によって法案の真実を究明し、廃案とすることを強く訴えて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 小泉親司

speaker_id: 29210

日付: 1999-04-28

院: 参議院

会議名: 本会議