福島瑞穂の発言 (本会議)

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○福島瑞穂君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、盗聴法、組織的犯罪対策法案について、以下のとおり質問いたします。
 緒方盗聴事件は、裁判所によって警察の組織的関与が認定されました。しかし、たび重なる国会質問の中で、警察の責任を警察は否定しています。このような警察の反省のない態度こそが、盗聴制度導入に対する国民の懸念の根源なのです。
 総理、緒方盗聴事件は警察の行為であったと認めますか。
 参議院での法案審議に入る前提は、警察による過去の違法盗聴に関する謝罪と責任者の処分、違法盗聴の全貌の解明が約束されることです。市民のプライバシーを左右する重大な権限を捜査機関に与えるのですから、このような市民の要求は当然のものです。このような前提が満たされない限り、法案の審議開始を認めることはできません。
 総理、警察による過去の違法盗聴に関する謝罪と責任者の処分、違法盗聴の全貌の解明を約束してください。
 裏金づくり、接待汚職など、数々の不祥事を起こしていると言われている警察は、何よりも国民の信頼を得るための努力こそ必要なのではないでしょうか。総理の見解を伺います。
 憲法二十一条は、「通信の秘密は、これを侵してはならない。」と、何の留保もなく高らかにうたっています。盗聴捜査がこの日本で治安維持のために本当に必要とされるものなのでしょうか。
 松本サリン事件で、不幸なことに、警察は事件の被害者である男性を容疑者として扱いました。盗聴捜査が導入されていれば、この男性の電話が二十四時間聞かれていたでしょう。仮にそれができていたとしても、何らサリンに関する証拠は盗聴できず、やがて地下鉄サリン事件が発生したはずです。松本サリンがオウムの犯行ではないかと突きとめられたのは、結局、地道に目撃者を探し出し、聞き込みを重ねた捜査の王道があったからで、決して盗聴があったからではありません。
 私が非常に重要だと思うのは、法案が犯罪を犯すおそれがあるという理由で盗聴できるという事前盗聴の規定を認めていることです。
 刑事法では、ある人がそれを行ったかどうかの立証が問題となります。人は、どんなにけしからぬことを考えていても、ふらちなことを考えていても、それだけでは決して逮捕されてはいけないのです。しかし、この法案は、犯罪を行うおそれがあるときに盗聴できるという予防捜索を認めています。証拠物の捜索・押収は事件が発生した後にしか認められていないのに、新たに導入される盗聴捜査でまだ発生もしていない犯罪のための強制捜査を認めるのは行き過ぎではないでしょうか。刑事法を百八十度変えてしまうものです。
 さらに、法案は、予備盗聴、別件盗聴も認めています。盗聴がされたことが通知がなされるのは、傍受記録から犯罪と無関係な通話を削除して作成する刑事事件用記録の当事者だけです。つまり、捜査や公判廷で証拠とされるもの以外の通話、通信については、令状を発付された当の本人にも、その本人と通話した犯罪と無関係の人々にも通知が行きません。プライバシーが明確に侵されても、盗聴されたという事実すら一生わからないのです。ほとんどの人は全く知らされないまま合法的に進んでいきます。ですから、犯罪と無関係な通話の当事者には通知はなされず、不服申し立てをすることも不可能です。
 総理、強制処分を受けても本人には一生わからないということを憲法・刑事訴訟法上認めることはできないのではないですか。
 ところで、先日、あるテレビ番組の中である自民党の国会議員さんが、盗聴捜査を受けた人全員に通知が行くということを主張されました。総理、これはこれまでの政府答弁とは異なるものです。責任がある立場にいる方の発言ですから、当事者全員に通知が行くと修正されるおつもりですか。
 また、法案では、犯罪と無関係な通話は消去することとされています。しかし、消去したかどうかを担保する制度はないではないのですか。
 立会人が常時立ち会うと言いますが、立会人は事件の内容も知らされませんし、通信の内容を聞くことも認められません。つまり、犯罪と無関係な通信を盗聴対象から除外する切断権は認められていません。したがって、この立会人制度は人権侵害に対する歯どめにはならないのではないでしょうか。どうやってチェックできるのですか。
 現在においても検証令状をとれば盗聴はできます。なぜ検証令状ではだめなのですか。
 しかも、下級審判例で認められた範囲、立会人の切断権、時間は二日間程度などを大きく逸脱する立法になっています。判例が有効のための要件としたことをなぜ今回の立法は全く満たしていないのですか。
 オーストリアとドイツの盗聴捜査ではジャーナリストは盗聴法の適用除外となっていますが、今回の立法では日本はそうなっていません。なぜですか。
 ファクス、メールも盗聴法の対象です。警察は、プロバイダーのところに行ってパスワードをよこすよう要求することになってしまいます。インターネットへの熱は一気に冷めてしまうのではないでしょうか。
 技術の進歩により、警察のパソコンから、つまりNTTの外部からNTT内部に設置されたコンピューターにNTTに要求して得たパスワードでアクセスすれば、NTTのすべての電話システムの盗聴が可能となることがわかりました。捜査に当たる警察官が移動しながら盗聴することも可能です。
 これまでの法案審議では、このような方式で盗聴が可能であるという前提では法案審議は行われてきませんでした。改めて法案の該当条項を見ますと、こうした新しい方法での盗聴も否定されてはおりません。
 また、立会人については、法案十二条で「通信手段の傍受の実施をする部分を管理する者又はこれに代わるべき者」が立ち会うとされており、この表現から、立会人はその警察の建物を管理する警察の総務課員でもよいという解釈が成り立ちます。こういった新しい通信方式による盗聴を法案が否定しているとは法文上からも読み取れませんし、こうした通信方法を前提とした法案審議は一切なされていません。
 このような新たな通信傍受の方法が明らかになった以上、参議院の審議では、まず技術の詳細をNTTに明らかにさせるところから徹底的な審議を尽くす必要があります。
 盗聴の被害を受けるのに与党も野党もありません。盗聴捜査の経過でたまたま知り得た政界、財界の中枢に関するスキャンダルや情報が意図的に悪用されることは絶対にあってはなりません。民主主義が崩壊してしまいます。そのための手だてをどう考えるのですか。
 マネーロンダリングについてですが、金融機関は疑わしき取引については金融監督庁に届け出ることになっております。アメリカでは、ことし、財界が自由な経済取引を害するとして反対し、こうした立法は成立しませんでした。日本においても弊害が出るのではないでしょうか。
 また、麻薬についてのマネーロンダリング規制については、既に麻薬特例法がありますが、この法律で十分ではないのですか。
 犯罪収益収受罪ですが、政治家が献金をもらって、その中に犯罪で得た金員が仮にまざっていますと、犯罪収益収受罪が成立する可能性があります。
 総理、市民のプライバシーを著しく侵害するこのような法案をなぜ今、国会で成立させようとするのでしょうか。多くの市民の不安と懸念の声にこたえて、これらの法案の今国会成立を断念するおつもりはないのでしょうか。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114515254X02719990609_015

発言者: 福島瑞穂

speaker_id: 21055

日付: 1999-06-09

院: 参議院

会議名: 本会議