吉川春子の発言 (本会議)
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○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、中央省庁再編関連十七法案について、総理に質問します。
本法案のもとになった行革会議の最終報告は、今回の改革は行政の改革であると同時に、この国を形づくっている国民自身のあり方にかかわるものであり、この国の形を再構築することこそ今回の行政改革の目的であるとしています。
二十一世紀に向けて、この国の形はいかにあるべきか。その姿は日本国憲法に示されているように、政府の行為によって再び戦争の惨禍をこうむることがないようにするための平和な国、健康で文化的な最低限度の生活を保障する国、そして何よりも国民が主人公の立場があらゆる分野で貫かれる国、これこそが国民の求めるこの国の形ではありませんか。
自由党の小沢党首は、最近の雑誌でまたもや、憲法があるから武力行使ができないし、集団的自衛権の行使もできないと政府は言っている、そう言いながら、艦船の海上封鎖に参加するとか、戦っている米軍を後方支援するのだと自衛隊の軍事行動範囲を拡大しようとしている、これは戦争そのものへの参加だと言い、現実に対応できない憲法を抱えているのは全くばかげていると述べておられます。総理も小沢氏と同じ国の形を目指しているのですか。答弁を求めます。
そもそも中央省庁の再編は、橋本六大改革の一つとして位置づけられ、行政改革によって国民が笑顔で生き生きと暮らせる社会を目指すと政府は宣伝してきました。しかし、実態はどうでしょう。国民はどう見ているでしょうか。
総理府が一九七一年以降毎年行っている「日本の向かっている方向」というアンケートの結果を見ますと、よい方向に向かっていると答える人はこの十年間減り続け、九七年十二月にはわずか一二・六%です。逆に、悪い方向に向かっていると答えた人が七二%に上っています。総理、あなたには現状を何とかしてほしいという国民の悲鳴が聞こえないのですか。
さきに述べた最終報告は、新たな中央省庁のあり方として、行政のスリム化、重点化のため民間でできるものは民間にゆだねることをうたっていますが、本法案に盛られたスリム化とは、国民生活関連分野のスリム化であり、重点化とは、大企業・ゼネコン本位の行政への重点化となっていると言わなければなりません。
新しく導入される独立行政法人制度は、国民の福祉や医療、教育など、国民生活部門を徹底的にスリム化する中心をなすものです。この制度のねらいは、衆議院の審議の中で明らかになったように、一定期間後法人組織の改編や廃止することにあるのではありませんか。つまり、独立行政法人は、民営化か廃止かの第一歩であります。
その対象とされている国立病院・療養所についていえば、採算優先の運営が一層追求され、地方自治体や民間では担うことのできない医療は国として行うと言いながら、不採算医療、離島僻地医療を切り離していくことになるのではありませんか。
また、国立試験研究機関は、高い公共性、中立性、長期的かつ広域的な視点を保障する研究環境のもとで、科学技術の向上に大きな貢献をしているのです。農林水産省の農業研究センターは、二十年以上の研究で世界で初めてもち性小麦を開発しました。三年から五年という短期的評価、また、効率化と採算優先のもとではこうした研究は成り立たないのではありませんか。
厚生労働省の設置についていえば、これは歴史を五十年以上逆戻りさせるものです。一九四七年、敗戦直後、失業者が一千万、完全失業者百五十万人のもと、労働行政の一元化をうたって厚生省から労働省を分離いたしました。これは憲法の生存権、労働権の保障のための措置であります。
〔議長退席、副議長着席〕
今日もまさに三百四十二万人の完全失業者、男性の失業率五%という最悪の状況のもとで、労働省の雇用確保、職業安定の事務事業はますます重要性を増しています。一方、厚生省は介護保険、年金問題など、たくさんの緊急課題を抱えており、労働省と厚生省の重要性は増す一方ではありませんか。
このようなときに、なぜ労働省と厚生省を一つにしなくてはならないのですか。また、これまで労働省の中核的役割を果たしてきた労政局を廃止するのはなぜですか。
次に、公共事業の抜本的な見直し、むだな事業の削減が重要な政治課題になっているときに、これにメスを入れるどころか、逆に公共事業の約八割を集中させる巨大官庁、国土交通省の設置がなぜ必要なのですか。国民の生存の権利まで脅かす行政のスリム化を行いながら、超大型プロジェクトの推進でゼネコン、大企業などに専ら奉仕する仕組みを一層強めようというのですか。
続いて、内閣機能の強化について伺います。
第一は、危機管理を重要な柱にした内閣機能の強化、内閣総理大臣の権限強化が明記されていることについてです。
もともとの省庁再編の提案者である橋本前総理は、危機管理について、国防に関する事項や大規模災害を含むすべての事項が対象と言っていますが、この中には周辺事態法に基づく周辺事態への対応が含まれるのですか。
周辺事態法は、周辺事態の認定を初め、あらゆる問題を政府に白紙委任しています。内閣総理大臣のトップダウン政治によって周辺事態法の発動が政府の一部にゆだねられることは明白です。総理、そうでないと言えるのですか。アメリカの戦争に加担、協力する重大問題ですから、明確な答弁を求めます。
第二は、副大臣、政務官が新設され、国会議員が合計七十人も政府のポストにつくことについてです。
副大臣、政務官は、内閣総理大臣を補佐するため、議院の会議または委員会に出席し、答弁を行います。同時に、自自合意では、国会の所属委員会の委員とするとし、理事になることも排除していません。これでは、政府提出の法案を政府側のメンバーが審議し成立させることになり、立法と行政の境目があいまいになってしまうのではありませんか。また、国会の委員会で政府側で答弁する人がその委員会の委員や理事も務めるとすれば、どうして国会が行政のチェック機能を果たすことができるでしょうか。国会の行政を監督する力を弱めることになるのではありませんか。はっきり答弁してください。
第三は、内閣府に設置される経済財政諮問会議についてです。
内閣総理大臣が会議の議長となり、官房長官、経済財政政策担当大臣などに加え、四名の有識者を総理が民間から任命することとしています。内容について閣議決定を経るとはいうものの、事実上この会議で予算編成方針、財政計画などの国家の重要方針、政策が決定されてしまいます。このような諮問会議に重要な政策決定権を与えることは、内閣が連帯して国会に責任を負うという原則をあいまいにし、ゆがめることにはなりませんか。
この経済財政諮問会議のモデルになったのは、ほかならぬこの省庁再編関連法案のもとになった最終報告をまとめた行革会議です。内閣総理大臣を会長に、総務庁長官、民間から財界の代表、マスコミ、学者など十三人のメンバーで、今指摘したような国民犠牲、大企業・ゼネコン奉仕の行革方針をつくりました。この重要政策の作成に国民の代表機関、国権の最高機関たる国会は事前の相談にあずかっていません。これは国民主権の原則の著しい軽視です。本法案の経済財政諮問会議はこの轍を踏むものではありませんか。しっかりお答えください。
憲法の基本理念である国民主権、平和、基本的人権、生存権の保障こそ中央省庁再編の目的であるべきことを強調して、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕