水野誠一の発言 (本会議)
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○水野誠一君 私は、参議院の会の同僚議員のお許しを得て、ただいま議題となっております中央省庁再編関連法案に関して、小渕総理並びに関係大臣に質問をいたします。
そもそも行政改革の目的とは、戦後一貫して続いてきた行政のあり方にメスを入れ、二十一世紀に通用する簡素で効率的、透明な政府を実現することにありました。肥大化した政府の役割を根本から見直すことによって、機構と人員の両面から徹底的なスリム化を図り、より機動的な行政運営を目指したものであります。
また、行革は、拡大を続ける財政赤字構造の改革とも関係深く、省庁再編と同時に、地方分権や規制緩和を進めることによって、役所が握る権限や予算を見直し、官から民へ、中央から地方へと役割をゆだねていくことによって、構造改革を目指し、行政コストの削減を図るものであると考えます。その意味からも、ここ数年間民間企業が身を削る苦しみの中で続けてきたリストラを考えれば、一日も早く実現しなければならない改革の一つと申せましょう。
さて、今回の一連の中央省庁再編では、二十一省庁から十二省庁に再編されることに伴い、閣僚の数は十四人へ削減、各省の局や官房の数も百二十八から九十六に削減されることになると聞いております。
そこで、まず小渕総理に伺います。
確かに、スリム化であるかのように見える中央省庁再編ではありますが、単なる数合わせではないかという疑問の声や、また、その結果、十以上の局を持つ巨大な省庁が出現し、新たな権限の集中や、形を変えた縦割り行政の弊害をもたらす危険性があるのではといった指摘もなされております。こうした疑問や懸念に対して何とお答えになるのか、総理の御所見を伺いたいと思います。
さて、行政改革には二つの側面があると考えます。
元経済企画庁長官の田中秀征氏の言葉をかりれば、その一つは身を削る行革であり、いま一つは身を正す行革であります。言いかえれば、前者は行政をスリム化することによってコストを削減する、いわゆるリストラクチャリングであり、後者は行政のあり方自体の抜本的な再構築を図る、いわゆるリエンジニアリングであると申せましょう。余りに前者だけに目を奪われておりますと、官から民へ行政のイニシアチブを移行させるという、いわゆる質の改革、すなわち真の構造改革がおろそかになりかねません。
そこで、このたびの一連の中央省庁改革、そして並行して審議が進められている地方分権への取り組みを経て、この行政の質の改革、つまり構造改革という視点においてどれだけの効果や変化が期待できるのか。言いかえれば、この改革によって仕事のやり方がどう変わるのか、小渕総理にその御所見を伺いたいと思います。
次に、いわゆる権限規定について伺います。
今回の法案では、役所の権限を包括的に定めた権限規定を各省の設置法の中から削除し、所掌事務に仕事の分担を列挙したものとなっております。これ自体は評価されるべきことだと思いますが、このことによって、無制限な裁量行政や省庁間の縄張り争いといった、これまでたびたび指摘をされてきた権限規定の弊害が解消されるものと理解してよろしいのでしょうか。また、法律に基づかないあいまいな行政というものが払拭されると期待してよろしいものか、総務庁長官に伺いたいと思います。
次に、財政と金融の分離について伺います。
私は、かつての自民・社民・さきがけ連立政権において、大蔵省改革に最大の関心を払い、その実現に努め、長時間にわたる議論を重ね、一歩ずつではありますが着実に合意を進めてまいりました。しかし、それは、この財政、金融の分離が単なる省庁の再編問題であること以上に、往々にして財政の都合によって金融政策がゆがめられてきた過去の経緯を見るにつけても、行革の中で特に象徴的な意味を持つ課題だと思ったからであります。その思いは与党を離れた今でも全く変わりありません。
さらに、昨年秋の臨時国会において、自民、民主、平和・改革の三会派で二〇〇〇年一月一日までに財政と金融の分離を行うことが合意されました。この合意については、私は、金融問題及び経済活性化に関する特別委員会において二度にわたり質問をさせていただき、金融再生法の施行後二カ月以内に金融再生委員会を立ち上げ、二〇〇〇年一月一日までに財政と金融の完全分離を行うことを重ねて確認させていただきました。
その際、自民党の発議者からは、私どもの政治のトップである総理が直接確認をしておられるので、私どもはその総理と各党の党首との間の確認の趣旨を誠実に守っていくことに尽きるとの答弁をいただきました。また、宮澤大蔵大臣からは合意の一語一語を大事にするとの御答弁をいただきました。
当時、私は、それまでの経験から若干の懸念を抱きつつも、改革の前進を素直に評価いたしました。しかし、残念ながら私の懸念は現実のものとなってしまったようであります。
昨年成立した中央省庁等改革基本法では、その時期は明確ではないものの、当分の間が経過すれば金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案も金融庁に移管される、すなわち財政と金融の完全分離が実現するとされていたにもかかわらず、このたびの一連の法案では金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案は金融庁と財務省との共管とされ、このままでは永遠に財務省から完全分離されないことになってしまいました。
これは、昨年の三会派の合意のみならず、第二次橋本内閣における中央省庁等改革基本法からも明らかに後退であると言わざるを得ません。一歩前進二歩後退とはまさにこのことであり、決して容認できるものではありません。
私は、究極的には財政と金融の完全分離を実現すべく、今後も引き続き大蔵省改革に取り組んでいくべきであると考えますが、これをもって大蔵省改革に終止符を打つおつもりなのか、もしくは引き続き取り組んでいかれるおつもりなのか、この問題を政治のトップとして直接確認をされた小渕総理並びに特別委員会に常時立ち会い経過をよく御存じでおられる宮澤大蔵大臣の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
行政改革は、その質の転換という目的に照らし、規制緩和、地方分権、中央省庁改革、さらに財政構造改革までがセットで行われて初めてなし遂げられる改革であります。
これから地方分権一括法の審議もこの参議院において始まります。機関委任事務の廃止などによる成果を期待するところでありますが、最も重要なポイントである権限や財源の移譲については、なお多くの課題を残しているとも指摘されているところであります。
今回の改革は、枠組みの改革であり、十分とは言えないものの、内閣機能の強化など、確実に行革への第一歩を踏み出したものとそれなりに評価したいと思います。しかし、これはいわば行政改革という階段の踊り場にようやくたどり着いたようなものであり、決して頂上をきわめたわけではありません。
量的な改革は言うに及ばず、大蔵省改革を初めとして、質的な改革の面でもさらに一段上に上がり続けなければならない、今後も絶えず改革は続けていくべきものと考えますが、最後に総理の御見解を伺って、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕