福山哲郎の発言 (本会議)

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○福山哲郎君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました政府提案の中央省庁等改革関連法案に対し、反対の立場から討論をいたします。
 私たちが本法案に反対する理由は明快であります。政府は、今回の行政改革を通して、簡素、効率、透明な行政を実現すると国民に約束をしてきたにもかかわらず、実際に政府が提出した法案はこの公約から余りにもかけ離れた内容であり、これをおよそ行政改革と称することはできないことが国会審議を通じて明らかになったからであります。
 昨日の特別委員会審議において、まさに私たちが本法案に反対する理由を総務庁長官自身みずから説明していただきました。同僚の江田議員の、今回の本法案において権限、財源、人間のうち、どれがどれくらいスリム化されるのかという質問に対し、長官は、この法案で直接スリム化が実現するということではなく、行政改革を実現するシステムがビルトインされたということだと答弁されたのです。この答弁からも明らかなように、政府自身でさえ今回の本法案で行政のスリム化を実現するとは考えていないのです。
 それでも、今回の本法案によって本当に行政改革の実現を期待できる組織が構築できるならまだ理解はできます。しかし、私たちはこの本法案が行政改革を推進するシステムをビルトインしているとは到底考えられません。
 ここでは、以下の六点に絞って問題点を指摘いたします。
 第一の問題点は、本法案における基本理念の欠如です。
 何のために省庁再編を行うのか。この省庁再編の向こう側、つまり二十一世紀の日本が一体どこに向かうかが全く明らかにされていません。行政改革会議が最終報告で理念として掲げた、肥大化し硬直した政府組織を改め、重要な国家機能を有効に遂行するにふさわしく、簡素、効率的、透明な政府を実現とはほど遠い内容であり、後に述べる国土交通省や総務省の出現など全く逆行しています。明治時代に構築された基本形を維持したままの行政制度・体制では、その後に大きく変化した行政ニーズに対応できないことが明らかになったからこそ、現在、行政改革が求められているのです。
 来る二十一世紀には経験したことのない少子高齢社会を迎え、一方ではグローバルな大競争社会に放り出される我が国が、いかにその荒波の中でも国民の生活、安全を守っていけるような効率的で国民の信頼に足る行政組織を構築するかが私たち立法府に課せられた大きな課題なのです。しかし、本法案にはこのような社会の基本的な構造変化を意識した行政改革に対する理念が感じられません。
 第二の問題点は、手順の問題です。
 そもそも、省庁半減という役所の大ぐくり再編から議論をスタートさせた今回の省庁再編は、その結果数合わせが至上命題となり、この実現にこだわる余り実質的な行政改革がおざなりになったのです。あるべき手順とは全く逆になっています。本来なら、まず社会の変化を踏まえた上で新たな官民関係の基本を定める。次に、公的部門が負うべき範囲を定め、地方が負うべき分野については地方への権限移譲とこれに見合った財源の移譲を進める。そしてさらに、中央政府が担う事務のうち、外部化した方が効率的なものを定める。こうして残ったものが中央政府がみずから実施しなければならない分野なのであり、そういった作業の後に省庁の再編に取り組むべきなのであります。
 審議の過程においては、政府もこの手順が本来の手順であることは認めておられます。しかし、基本理念、手順を間違えたために、その結果とんでもないものになってしまいました。その代表的なものが国土交通省と総務省です。この巨大な省庁のどこが簡素であり、透明であり、効率なのか、審議において再三明確な答弁を求めましたが、結局、政府は何ら回答していません。
 第三の問題点は、まさにその国土交通省の誕生です。
 建設、運輸、国土、北海道開発庁の四省庁を統合したその巨大官庁には、地方整備局という大きな問題を抱えています。国土交通省の巨大な出先機関である地方整備局が事業の決定権を持ってしまえば、国民の代表である国会がチェックすることさえ困難になるのです。現在、全国のあちこちで公共事業を進めようとする国と地元住民の間で摩擦が生じていることから見ても、時代に逆行していると言わざるを得ません。こういった巨大官庁を認めることは、国会の存在を否定しているようなものです。
 第四の問題点は、財政と金融の分離問題です。
 小渕総理は我々民主党との合意を破り、その結果提出された本法案は改革という名に全く値しないものになっています。公党間の合意を平気で踏みにじるという小渕総理の政治姿勢は許せるものではなく、財政と金融の完全分離及び金融行政の一元化という命題を不完全な決着に終わらせることは、我が国の金融システムにとって大きな禍根を残すことは明らかであります。財政と金融の規律があいまいなまま、またぞろ公的資金の投入を繰り返すということになれば、ただでさえ危機的な状況にある我が国の財政は完全に破綻への道を歩むことになるでしょう。真の行政改革の進展を阻むだけではなく、将来の世代にも大きなツケをもたらしています。
 第五の問題点は、定数削減のごまかしです。
 小渕総理が昨年政権を引き継いで以来、この行革について唯一リーダーシップを発揮したのが、公務員の二五%削減と行政コストの三〇%削減であります。しかし、この公約もまた見せかけの公約と言われても仕方のないものであります。公務員の削減については、昨年の基本法にある一〇%削減と実質的に何ら変わることがなく、独立行政法人化される機関の職員を削減の内数とすることによって見かけ上の削減割合をふやしただけのものであり、また、行政コストの削減については、その内容が抽象的で、これでは検証のしようがありません。このように公約を掲げること自体、国民を欺くに等しい行為であると考えます。
 第六の問題点は、内閣総理大臣のリーダーシップについてです。
 日本の内閣制度の機構と運営の実態は、同じように議院内閣制度を採用しているイギリスやドイツとは似て非なるものとなっています。そもそも、議院内閣制度は、内閣を通じて政治がリーダーシップを発揮するための装置であるという認識が基盤にあって成り立つ制度であるにもかかわらず、初めに行政ありきという明治憲法下の変則的な内閣制度の残滓をそのまま引きずっています。
 本法案では、単に従来から当然の権利とされている閣議における内閣総理大臣の発議権を明記したにすぎず、一方で事務次官会議、閣議の全会一致制、分担管理の原則など、官僚支配の温床となっている制度はそのままとなっており、政治のリーダーシップを発揮しようがありません。さらに、内閣の補佐機能である内閣府についても、予算、人事や組織体制を統括していないなど、政治的リーダーシップにより各省庁をコントロールする仕組みとしては極めて不十分と言わざるを得ません。
 以上、この欠陥だらけの法案、政府自身が行政のスリム化を実現できないという法案に対して、我々民主党・新緑風会は反対の意思を明らかにするとともに、既得権益温存、官僚依存の現政権にかわって国民が主役の行政体制の実現を目指して邁進することを国民にお誓い申し上げ、私の反対討論を終わらせていただきます。(拍手)

発言情報

speech_id: 114515254X03419990708_004

発言者: 福山哲郎

speaker_id: 23476

日付: 1999-07-08

院: 参議院

会議名: 本会議