吉川春子の発言 (本会議)

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○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、中央省庁再編関連十七法案及び地方分権推進の関係法律の整備に関する法律案四百七十五本について、反対討論を行います。
 これらの一括法の審議を本日終えるということは、法案の数の多さと国民への影響の重要性に照らして、審議時間が余りにも短く、到底認めることはできません。また、五百本近い法案を一つの特別委員会に付託し、同時に審議に付すなどということは先例のない異常な事態です。
 法案提出後まだ三月しかたっていません。この法案の審議時間は衆議院が八十一時間、参議院が六十五時間弱です。当然、国民に十分周知されていない、またする時間的余裕もありません。来年から導入が予定されて、今地方公共団体で大問題になっている介護保険を初め、重要なテーマを十分審議せずにたくさん残したままです。国会の審議がこれでいいのでしょうか。これでは国民不在ではありませんか。この不十分な審議に対して、まず強く抗議をいたします。
 次に、中央省庁関連法案の反対理由を述べます。
 第一は、政府が進めてきた内閣総理大臣及び内閣機能の強化が新ガイドライン、周辺事態法実施体制推進のためでもあることがますますはっきりしてきたことです。そのかなめとなるものが、ガイドライン実効性確保を目的として設置された十八関係省庁の局長会議であります。専門家は、これによって国家及び国民の総力を動員してガイドラインを実行していく体制ができ上がったと強調しているのであります。
 第二は、内閣に設置される経済財政諮問会議が、総理が任意に選ぶ民間人四人を含む十人以内のメンバーで構成され、予算編成方針、財政計画など国の基本となる重要方針を策定することです。憲法六十六条は、行政権は合議体である内閣に属するとしているのです。諮問会議の内容を閣議にかけるとはいえ、事実上この会議で決定されてしまうことになり、閣議を形骸化することになるではありませんか。
 第三に、多数の国会議員が天皇の認証官たる副大臣や政務官として内閣のメンバーとなり、また、政務官は国会の委員会運営にも関与することであります。そうなれば、内閣と国会の境目があいまいになり、三権分立を弱め、憲法が国権の最高機関であると規定する国会の行政へのコントロールの力を弱めるものです。また、これは国会の地位の低下にもつながりかねません。
 第四は、公共事業の抜本的見直しやむだな事業の削減が政治課題になっているときに、公共事業の約八割を集中させる巨大官庁、国土交通省を設置することです。超大型プロジェクトの推進で、ゼネコン、大企業などに専ら奉仕する仕組みを強化する反面、厚生省と労働省を一つにして部局を減らし、雇用・失業対策、労働時間短縮、介護保険、障害者の全面参加、年金の充実等、憲法の生存権、労働権保障のための行政を縮小させることは許されません。
 第五は、独立行政法人制度の導入によって、一定期間後、法人組織の民営化や廃止をし、国民の福祉や医療、教育、国民生活部門を徹底的にスリム化することが審議を通じていよいよはっきりしたことです。長期的かつ広域的な視点で研究すべき国立研究機関を三年から五年という短期的評価、効率化と採算性優先のもとに置くことは学問研究を成り立たせにくくするものです。また、将来の課題とされている国立大学の独立行政法人化についても反対を表明するものです。
 第六は、国家公務員の二五%削減についてです。国民奉仕の行政をやろうとすれば人手が必要です。ヨーロッパなどに比べても公務員の比率が少ない我が国において、公務員を大幅に削減することは国民への行政サービスの後退であり、福祉や教育を大事にする政治は行えません。
 次に、地方分権一括法案について、反対の理由を述べます。
 第一に、国の地方への関与、統制が強化され、町づくりの分野でも、暮らし、福祉、教育の分野でも、住民の声と自治体の努力が抑え込まれているのです。政府は、乳幼児医療に対する独自の助成を行っている地方公共団体に対してペナルティーを課し、あるいは公立高校の授業料の値上げを事実上指示しているのです。地方分権の推進というなら、こうした中央政府の干渉は即刻中止すべきです。
 第二に、地方議員定数のさらなる削減、政府が都道府県を動かして市町村に合併を勧告、強要、必置規制の緩和など、住民サービスの後退につながりかねない地方自治の切り詰め、住民犠牲の自治体リストラ推進法案となっていることであります。
 第三に、国による自治体締めつけ、統制の大きな手段となってきた通達行政も温存され、地方交付税、国庫補助金などによる財政面での統制の仕組みには何ら手がつけられていないことであります。
 第四に、極めて重要な問題として、米軍用地特別措置法の改悪を盛り込み、地方自治体と住民をアメリカの戦争に協力させようとしていることです。
 本来、地方分権は、憲法の地方自治の本旨の精神にのっとって地方自治権を拡充することであるにもかかわらず、提案されている地方分権一括法案は、むしろ住民と自治体への国による統制強化の内容となっており、到底賛成することはできません。
 最後に、今回の両法案が女性施策の後退につながることについて触れざるを得ません。
 政府は、内閣府に男女共同参画会議を設置するのは女性政策の重視であると宣伝していますが、この会議の任務は男女共同参画の政策立案や実施状況の監督にすぎません。
 今回、地方事務官の廃止に伴い都道府県に労働局が設置されますが、重大なのは、実際に男女差別是正に取り組んできた都道府県にある労働省の女性少年室が廃止されてしまうことです。これは、世界の流れから見ても、女性の地位向上施策の重大な後退と言わなくてはなりません。
 二十一世紀のあるべき国家・社会像を中軸に据えた改革と言うのであれば、憲法の民主的、平和的原則に沿って国民の基本的人権、生存権の保障のための中央省庁の改革と地方分権を目指すべきであることを強く主張して、私の反対討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 114515254X03419990708_008

発言者: 吉川春子

speaker_id: 26901

日付: 1999-07-08

院: 参議院

会議名: 本会議