阿南一成の発言 (行政監視委員会)
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○阿南一成君 日本の社会はどうしても事なかれ主義と仲間をかばう体質が私は役人社会だけでなく民間にもあると思います。私はどこの社会においても一定の確率で不祥事は発生するものと割り切る時代が来たのではないかと考えておるものであります。警察官も人の子であり、同じ現在の教育を受けて育ってきているのでありますから例外ではないはずであります。
まして今日の社会では、我々の世代からすればあり得ないことが次々と起こっているのが日常であります。それは家庭、学校、地域社会、それぞれにさまざまな要因が重なった複合汚染の結果そうなったものでありまして、警察学校の全寮制による集中職業教育によって相当に改善はされておるわけでありますが、長年育てた環境の中で沈殿されたものを一朝一夕に全面的に改めることはできないと思うのであります。
あり得ないことが起こった、したがって隠そうとする。やはり、起こったことは起こってしまったことでありますから仕方がない。個人的な理由によって発生した不祥事について幹部の監督責任を連鎖的に問うという今までの考え方は軌道修正すべきときが来ておるのではないかと考えるものであります。
今回の事件については検察庁の判断も出ましたし、処分も行われたのでありまするからこれ以上申し上げることはありません。長官を中心に再出発に向けて全力投球をしていただきたいと思います。
ただ、国家、国民の生命、身体、財産の安全確保のために命を削って頑張ってきた諸君がこれだけ大量に一斉に処分をされたことについては、私ども個人的感情の中では何か割り切れないものがあることを率直に申し上げます。答弁は要りません。
次に、今回の不祥事や事件を起こした警察官個人の資質の問題はあったにせよ、覚せい剤犯罪をもみ消すことをなぜだれもとめることができなかったのか、警察職員一人一人に投げかけられた問題は極めて重いものがあると思います。
日本の警察の父と言われた初代警視総監川路利良の言葉を部下たちがまとめた語録集に「警察手眼」というものがあります。ここに持ってきておりますが、この中で「警察ハ其保傅也」、「保傅」とはめのと、乳母ということでありますが、「警察官ハ人民ノ為ニハ勇強ノ保護人ナレバ威信ナクンバアル可ラズ其威信ハ人ノ感ズル所ニアリ其感ズル所ハ己レノ行フ所ノ危難ノ價ニアリ即チ人ノ耐ヘ難キ所ヲ耐ヘ人ノ忍ビ難キ所ヲ忍ビ人ノ為シガタキ所ヲ為スニ在リ」とあります。
警察官の一層の職業倫理教育が求められている現在、明治初頭の日本警察の黎明期に書かれたこの「警察手眼」には示唆に富む事項が幾多とあります。
国家公安委員長がこの席にいませんので、ぜひ長官から委員長にお伝え願いたいのであります。日本警察を管理する最高責任者でもありまするので、保利国家公安委員長は休日を活用されて、ぜひこの「警察手眼」に目を通され、日本警察の再生のために御尽力を願いたいと思うのであります。
ところで、今回の事件を契機としてキャリア制度の問題がクローズアップをされております。
そこで、さきのオウム真理教の関係者、坂本弁護士一家の殺害事件の際、現場捜査の最高指揮官であったキャリアの刑事部長が終始消極的捜査指揮をし、現場刑事との不協和音があった、そしてこの初動捜査の失敗によってその後に続く地下鉄サリン事件や警察庁長官狙撃事件等、次々に大事件が起こったにもかかわらず、その後の人事異動で長官コースへの栄進を重ねていき、神奈川県警においてはキャリアは積極的ミスを犯さない限りその責任を問われることはないとの現場の声があったという報道がなされております。
また、先般の神戸製鋼と総会屋の事件の報道の際に、神戸製鋼には元検事総長や警察庁のキャリアが顧問などをして、官界を去った後に再就職をしているという事実も指摘をされています。
またさらに、警視庁、大阪府警その他の警察において捜査に着手し、前国会にも取り上げられ、大きな社会問題となっております商工ファンドから既に警察を退職しているキャリアを含む元幹部が多額の資金を出版祝いや謝礼として受け取っていたとか、また警視庁の最高幹部が官界を去るとき商工ファンドから十万円のせんべつを受け取っていたということが週刊誌で報道されております。
その事実関係について私は真偽のほどはわかりませんが、官僚の世界の人事は現役からOBの就職先まで一貫して行われるものでありまするので、既に警察を退職したOBのことについては承知をしていないというのでは到底国民は納得することはできないと思うのであります。
これらの事実関係をどのように把握しておられ、どのような見解をお持ちなのか、長官にお伺いをいたします。