宮澤喜一の発言 (大蔵委員会)

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○宮澤国務大臣 大変根本的なところから問題を提起なさっておりますので、多少お答えをするのに時間がかかるかもしれませんが、御質問の趣旨は、保険契約は、あるいは保険会社の場合には、銀行と違いまして、銀行についても議論のあるところではありますけれども、これはやはり決済機能がありますから、それとして国まで出て保護しなければならない、殊にこのたびの事態はそうであったと思います。
 そういう意味では、保険そのものにはそういう機能がございませんから、いわば保険契約というのは一つの商品であって、それは消費者が選択をし、その消費者の選択が誤れば、業界内で共助規定があるということは場合によって考えられますが、そこで国まで出なければならない理由は、銀行預金と違って保険会社の場合に果たしてあるのか、そういうお尋ねにかかわっていると思います。
 もっと言えば、保険会社同士が共助規定のようなものを競争相手と一緒に結ぶことはどういうものだろうか。それを拒否する会社がいても別に不思議はないだろうといったような、そういう問題に発展する御論議だと思いますが、それはそもそも論でございまして、もっと我が国も普通のときになりましたら、そういう議論を本当に一度基本的にすることに私は大変意味があると思いますので、御質問の趣旨はそういう意味で大変に関心のある御提起でございます。
 今の現実の我が国の状況で申しますならば、生命保険についていえば、世帯ベースで九割の国民が加入をしておりまして、生命保険契約者保護機構が創設されており、破綻した保険会社のすべての保険契約は、受け皿となる保険会社あるいは保護機構に承継されるという仕組みが動いております。
 これは、遠因と申すまでもなく、我が国のブームからバーストになりましたこういう背景、非常に下がりました金利等々、いわば我が国のこういう異常な事態における保険会社のビヘービアということから——ビヘービアというのはちょっと言葉が適当ではございませんが、そういう状況に置かれた保険契約というものの現状とでも申しておきますか、そういう中から、倒産をした保険会社もございますし、またその倒産処理をしなければならない保険会社もあるということから、当然、先ほど申しました保護機構の財源の相当の部分が保険会社の破産処理、要処理額、例えば東邦生命の場合には三千八百億円と言われておりますけれども、そういうことで使われてしまっておりまして、そういう状況の中でつくられた業界によるセーフティーネットの基盤が揺らいでまいりましたから、片方では保険契約者のそういう信頼に対して政府として信頼を確保する必要がある。あるいはもう一つは、いわゆる生保危機というものが考えられますのは、そういう状況になって、保険会社が例えば所有する有価証券を売りまして、そして状況に備えるといったようなことになりますれば、それは金融市場全体に不安が広がる危険というものもある。
 こういうのが現実の事態でございましたから、したがって、まず業界自身がそういうセーフティーネットの強化を図らなければならないということ、これは業界自身が考えていることでございますけれども、その業界のそういう努力に加えて、政府としてもそれを補完するために時限的に政府補助を可能にする必要があるであろう。それがこの法律でお願いをしているところでございますけれども、言ってみれば、現状の事態に対して、業界自身のセーフティーネットが、あるいは、これ以上業界がそれを強化するための努力に負担の能力の限界があるということから、政府としても、それに加えまして政府としての保護の意思を明らかにする、こういうことであると思います。
 ですから、このことは、岡田委員の言われましたそもそも論からいえば、実は遠く離れた、非常に異常な事態の中でお願いをしておる措置であろうと思います。これは、おのおのの立場で哲学がいろいろ違いますと思いますが、もっともっと正常な事態になりましたときに、そういう、そもそも業界の共助規定というようなものが、これは、やるのなら勝手だが自分はそれに参加しないという会社が出ても不思議はないではないかとか、いわんやそういうものに政府がさらにバックアップをする必要はあるのかと。
 そもそも論は私は非常に関心がございますし、もっと平静の時代になりましたら、静かな時代になりましたらそういう御議論というものは非常に有意義だと思っておりますけれども、ただいまの事態における政府としてなさなければならないことは、この法案でお願いをいたしておるとおりのことでございます。

発言情報

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発言者: 宮澤喜一

speaker_id: 13804

日付: 2000-03-29

院: 衆議院

会議名: 大蔵委員会