辻第一の発言 (本会議)

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○辻第一君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となりました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案について、建設大臣に質問をいたします。
 質問に先立って、北海道有珠山の火山活動災害に関して一言いたします。
 既に一万二千名に及ぶ住民の皆さんが、避難勧告、指示に基づいて避難生活に入り、先ほど、現在噴火中であると報道されており、事態は重大であります。前回の規模をはるかに上回ることが予想されております。
 大規模かつ長期化が予想されているもとで、避難住民の生活条件の改善や不安の解消、農林水産業、畜産業や観光産業などへの支援策など、万全を期すことを強く要求いたします。(拍手)
 さて、今回の改正は、一九六八年の新都市計画法以来三十二年ぶりの抜本的改正であります。それだけに、この間の都市計画法により促進されてきた市街地周辺の乱開発や都心部の空洞化、それに伴う国民の生活環境の改変等について再点検し、それに基づいて今後の方策を講ずるべきであります。
 例えば、今回大幅改正となる線引き制度では、この間、見直しのたびに、現状追認で市街化区域が大幅に拡大されてきました。市街化調整区域は規制の緩和でなし崩し的に乱開発が進行し、都市周辺の農地はスプロール状に宅地化されてきました。
 また、土地の高度利用のかけ声による経済効果の追求で、市街地を一変させました。建築基準法の容積率や日影規制の大幅緩和と相まって、オフィスビルやマンションが林立し、急速に都市改造が進展し、長年住み続けてきた住民が追い出されてきたのであります。
 現行の都市計画法は、こうした事態を促進するてこの役割を担ってきたのではありませんか。これまでのこうした事態をどのように総括されたのか、所見を伺います。
 本来、これまでの都市開発をめぐる問題を総括すべきであるにもかかわらず、改正案は、総括どころか、さらに現在の事態を深刻化させるものであります。
 第一に、市街化区域と市街化調整区域の区分、いわゆる線引きをするかしないかについて原則的に都道府県が選択するという改正についてお聞きいたします。
 これは、三大都市圏や政令指定都市などを除き、この線引きをするかしないか都道府県が選択できるというものです。加えて、現法でこの線引きを行うことになっている人口十万以上の市の区域や都市圏の最も外側となる都市開発区域、新産業都市、工業整備特別地域も線引きの対象から外されます。
 今回の線引きの都道府県による選択制は、自治体の自主性に基づいた都市計画を具体化できる機会の拡大方向として一定評価できます。しかし、実態は都市計画の規制緩和を推し進めるものとなりかねません。現に、一九八八年四月に線引きを廃止した宮崎県都城市では、郊外部の開発が急速に進み、中心市街地の人口減少に拍車をかける事態となっています。市街化を抑制すべき郊外で開発が行われてしまえば、これをもう一度もとに戻すということは不可能であります。
 現行の線引き制度は、不十分な面はありますが無秩序な都市開発を抑制し、計画的な都市づくりの上で一定の役割を果たしてきました。線引き制度にかわり得る柔軟な制度、手法を示さないで都道府県の選択制にすることは、一層市街化調整区域や白地地域の開発を促進することになりませんか。また、今、全国で取り組まれている計画的なまちづくりの障害とならないと言えますか。
 むしろ、市街化調整区域や立地規制のない白地地区での乱開発を規制することこそ必要ではありませんか。また、地方都市などでは、市街化区域を市街化調整区域に変更する逆線引きを実施して、郊外部の開発を規制し、大型店の撤退、商店街の衰退などでの空洞化を防ぐなどの都市再生こそ必要ではありませんか。見解を求めます。
 第二に、開発を抑制すべき市街化調整区域での新たな開発行為を容認する立地基準改正の問題であります。
 市街化調整区域は、リゾート施設等の大規模開発や既存宅地の特例などで既になし崩し的に開発が進み、その本来の姿を喪失しつつあります。立地基準の改正は、これを後追い的に追認するもので、実質的には市街化区域の予備地域を確保するものであります。開発行為について、従来の開発審査会の議を経るという条件をなくし、一件ごとに判断することなく、一定の基準を満たしたものは自動的に許可を出し得ることになっています。
 開発行為は、周辺住民の生活環境に大きな影響を与えます。どの開発行為も、現地の状況に即し、住民の意見を十分に反映させ、判断することが重要であります。開発審査は、個々に厳密に行うべきであります。また、開発審査会委員を首長の任命から議会承認にするなど、開発審査会がその機能を十分果たすことこそが今求められています。こうした対応をとられるのかどうか、答弁を求めます。(拍手)
 第三に、未使用の容積率を区域内の他の建物に移転できるという特例容積率適用区域指定の問題であります。
 現行でも、土地の有効高度利用制度として、既に、市街地再開発事業、特定街区制度、連担建築物設計制度等があります。こうした制度導入と連動して容積率が常に過大に設定され、そのことが土地投機を招き、地価高騰の元凶となってきました。都心では居住地の大半が商業地域に指定され、容積率が四〇〇%と過大に指定されています。
 低層の市街地住宅や歴史的建造物のある京都などでは、住民が建築物の高さを指定よりも低く抑える建築協定、地区計画などを設定し、町並み保存に努力しています。
 また、都心部では容積率いっぱいに高層ビルが次々と建てられ、生活環境や景観の悪化を招き、日暮里では、旧江戸市内で実際に富士山が見える最後の富士見坂もその眺望が失われようとしており、住民の反対の声が高まっています。
 今、住民は、生活環境や営業が保障される用途地域への変更や、過大な容積率の切り下げ、いわゆるダウンゾーニングを求めています。特例容積率適用区域指定は、高層建築物開発のてことなり、住民のこうした努力や願いに逆行するものであり、撤回すべきであります。所見を伺います。
 第四に、道路などの都市施設を立体的に都市計画する問題であります。
 本法では、地上空間や地下利用で、立体的な範囲で都市計画を定めることができるようにし、あわせて、地下の場合は一定の基準に適合すれば建築物の許可を不要とするものであります。一定の条件のもとでは、大深度の地下開発にも適用される可能性があります。
 これは、空間の有効利用をうたい文句とする規制緩和策であり、都市のまちづくりや地域の土地利用計画等が十分に対応できないまま、超過密開発が加速されることにつながるものであります。既に都市計画決定されている道路の上下に、新たな施設が都市計画なしに建設される可能性もあります。さらに、地下利用の際の許可を不要とする緩和は、安全性の上でも問題であります。どのように考えておられるのか、答弁を求めます。
 第五に、都市計画区域外で、既存の集落周辺や幹線道路の沿道、高速道路のインターチェンジ周辺等を中心に、都市計画による都市施設の整備計画がないままに、部分的に用途地域などを定める準都市計画区域制度創設の問題であります。
 この制度では、不良な開発が行われることを事前に予見して、その地域に指定をかけるとしていますが、実際、こうしたことは極めて難しいと言わなければなりません。結局、現状追認で、開発予備地域の先取りとなってしまう可能性があります。農業振興地域内が準都市計画区域に指定されることも想定され、農振法や集落地域整備法との整合性の検討が必要となります。
 現在、なし崩し的に開発が進んでいるこうした飛び地の開発地に、中途半端な都市計画手法を持ち込み規制するのではなく、計画なきところに開発なしの原則を踏まえつつ、開発を抑制する市街化調整区域に指定するか、飛び地の開発地のみに調整区域の網をかけて規制するようにすべきであります。この点についていかがお考えか、答弁を求めます。
 また、本法では、都市計画決定の手続について、計画を決める際に、都市計画を決める理由を記載した書面の縦覧をする等、一定の改善が見られますが、不十分なものにとどまっています。理由書の十分な説明、出された意見への丁寧な回答などが求められています。また、都市計画に住民の意見を反映する公聴会の開催の義務づけが必要であると考えますが、いかがですか。
 しかも、本法では、都市計画の案の作成で、都道府県の都市計画が上位であることは全く変わっていません。都市計画の上で、市町村の決定を尊重する仕組みを確立することが必要であります。都道府県と市町村の関係を、上下関係ではなく、相互の協議によって同意を必要とする関係を築いていくことが重要であります。答弁を求めます。
 欧米諸国では都市計画が厳格に適応され、計画なきところに開発なしの原則が徹底されています。日本の都市計画は、原則建築自由で、開発行為の後追いとなっており、乱開発がまかり通っています。これが環境の破壊や都市郊外などの乱開発、中心市街地の衰退などを生んでいます。しかし、本法案は、これまでの都市計画制度以上に、明確な計画もないまま開発が可能となるという内容になっており、計画的まちづくりや環境の保全を望む住民の声に逆行するものであります。今こそ、計画なきところに開発なしの原則を日本の都市計画制度として確立することが大変重要だと考えるものであります。答弁を求めます。
 最後に、日本共産党は、大手ゼネコン、ディベロッパーや大企業等の身勝手で無秩序な乱開発を許さず、住民の声が反映される計画的、民主的なまちづくりの制度確立、都市計画制度確立のために全力を尽くす決意を表明して、質問を終わります。(拍手)
    〔政務次官加藤卓二君登壇〕

発言情報

speech_id: 114705254X01820000331_024

発言者: 辻第一

speaker_id: 8288

日付: 2000-03-31

院: 衆議院

会議名: 本会議