中川正春の発言 (本会議)

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○中川正春君 民主党の中川正春であります。
 私は、党を代表して、ただいま議題となりました資金運用部資金法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 ここ数日来、国会の雰囲気は落ちつかないものがあります。解散・総選挙を間近に控え、戦い前夜の緊張が私たちの意識の中に心の高ぶりをもたらしていることは確かなようであります。
 前回の選挙以来、この三年半は、大きな時代変革の真っただ中にあります。その間、三代に及ぶ自民党政権は、時代の急激な変化に政治のリーダーシップを十分に発揮できず、絶えず後追いと形だけでごまかす中途半端な政策に終始してきたのであります。
 十年前のバブル崩壊に端を発した金融の構造改革は、私たち政治家やまた大蔵官僚だけではなくて、金融機関の経営者すら危機感を持つことなく不良債権を隠し、問題を先送りしてきました。それが、今、国民に五兆円を超す負担となってはね返っているのです。大きなモラルハザードを起こさせた政府の責任は重大であります。さらに、このことが経済の構造改革をおくらせ、日本の景気を戦後最悪の事態に陥れました。
 行政改革の分野でも事態は同じであります。中央省庁の再編は、ようかんの切り口を変えただけだと批判されるばかりでなく、公共事業を独占する巨大省庁までつくってしまいました。地方分権とは名ばかりで、その根幹にある財源は地方に移譲するどころか、近年の地方財政の危機が逆に中央に対する財政依存を高めているのが実態であります。
 未来への展望が持てない今の日本社会の閉塞感は、この構造改革の先送りと中途半端な政策対応が原因なのだと私は思っております。そうした意味で、三代にわたる自民党政権の責任は重大であります。
 このような背景の中で、これまでさまざまに議論されながら、いまだ具体的な改革の方向性が出ていなかったのが、今回提案された財政投融資の改革でありました。これは、そうした意味では、歴代内閣の改革の失敗を挽回する最後のチャンスだとも言えるのであります。
 行政改革の中で特殊法人のあり方を論じたとき、財投の壁にぶつかりました。郵便貯金や簡保の民営化を議論したときも財投がありました。国鉄清算事業団に続く石油公団、本州四国架橋公団や道路公団、そして最近では整備新幹線があります。大型プロジェクトの破綻と財投の焦げつきという問題は、大蔵省が民間資金を吸収して、公共事業並みの基準でその資金を再配分する従来型の投資構造を真っ向から否定しております。
 これまで、行政改革、公共事業の見直し、金融改革、年金や健康保険の問題まで、あらゆる分野の構造改革に財政投融資の制度が横断的にかかわってきました。私は、今般の財投改革には、森内閣一世一代の腹の据わった取り組みを求めます。これまで先送りをしてきたそれぞれの分野のおくれをこの財投改革という機会を活用して一気に挽回する、そのような期待を持って、まずは森総理に質問をしたかったのでありますが、ここに出席がないのはまことに残念であります。さらに、私自身がこの法案に目を通したときの感想は、まことに残念ながら、大きな失望以外の何物でもなかったことも改めて表明しなければなりません。
 第一に、この改革によって、最終的に公的金融の規模をどこまで縮小するのかという問題であります。
 財政投融資は、社会全体のストックが不足し、大規模な資金調達が民間だけでは困難な時代には有効に機能しました。しかも、戦後の復興期から高度成長期に至るまで、我が国の産業基盤や住宅、交通インフラなどへの投資は、高い経済成長に裏打ちされて、確実なリターンを見込むことができました。
 しかし、日本は、今や千三百兆円という個人金融資産を抱えた資金大国であります。急速なテンポで進む少子高齢化の人口構造は、経済の安定成長と成熟化社会への脱皮を求めています。こうした新しい時代の資金供給と、さらに効率の高い資産運用を可能にするために、私は金融ビッグバンが日本でもスタートしたのだと思っております。
 民間の資金供給能力は着実に高まっています。直接金融市場の拡大、長短スワップ等金融技術の発達、債権、不動産等の証券化による小口資金の調達など、さまざまな方法によって資金の調達、供給が可能となり、今後さらにこの傾向が強まっていきます。このような中で、公的金融はできる限り縮小していくことが正しい選択なのであります。この改革でその規模を具体的にどこまで縮めるつもりなのか、明確な答弁を求めます。
 第二に、特殊法人の整理についてであります。
 大蔵省が資金運用部を通じての資金再配分は廃止する意図はわかりました。しかし、一方で、特殊法人の発行する財投機関債には望みに応じて国の保証をつけ、さらに機関債を発行できない法人のためには国がかわりに国債を発行してそれを貸し付けるとなれば、特殊法人の整理は何をもってするのでありますか。
 市場原理によって、特殊法人の事業を採算性の面から整理する、採算の合わない、言いかえれば投資効率の悪いプロジェクトに対しては、市場から資金調達はできないから自然と淘汰される、このことが大切なはずであります。
 もし、事業の一部を税金で負担して、コストを支えることによって最終の便益に十分見返りがあるとする事業であっても、それを市場が認めれば、資金調達はマーケットでできるはずであります。ここに国の保証を入れれば、その事業の真の評価をゆがめます。ましてや、国が肩がわりをして国債を発行するなど、改革の名に値するものでは全くありません。(拍手)
 今回の改革案では、特殊法人の見直しは含まれないと解釈されても仕方ないと思うのでありますが、そういうことなのか、明快な答弁を求めます。
 第三に、この改革によって淘汰されるであろう特殊法人や、焦げついた大規模プロジェクトの清算コストの問題があります。
 最近発表された総務庁の特殊法人の財務内容に関する調査、この結果をここで改めて引き合いに出すまでもなく、今整理をすれば、国鉄清算事業団や国有林野事業と同じく、巨額の財政負担を強いられる財投機関が散見されるのであります。
 私は、この際、政府に、こうした機関の整理をいつ、どれだけのコストをかけてどのようにやるのか、国民に対して説明をする責任があると思います。
 第四に、郵便貯金や簡保などの資金の自主運用の問題であります。
 これまで、郵貯などの民業圧迫は、規制緩和の議論とあわせて大きな争点となっていました。郵貯や簡保は財投資金の源泉だということがその存続のための大きな理由の一つであったわけですが、それが崩れ、さらに以前よりも競争力の高い条件で資金を自主運用することになったわけであります。郵政大臣に、改めて、郵貯、簡保のあり方をお尋ねいたします。
 以上、財投の枠組みについて、根本的な問題に焦点を絞ってお尋ねをしました。
 次に、法案の中身に関する質問に移ります。
 まず、大蔵大臣に伺います。
 財投改革に踏み切った大臣としては、財投機関の資金需要をどのようなシェアで賄うつもりなのか。具体的には、財投機関債でどの程度賄い、足らざる分としてどの程度の財投債の発行を見込んでいるのか、答えていただきたい。
 また、一方で政府系金融機関という資金需要機関を監督する立場として、財投機関債の発行をどの程度認めるつもりなのか。こちらについては、個別機関ごとに具体的にお答えをお願いしたいと思います。
 あわせて、資金需要の大きい財投機関を監督されている建設大臣にも、所管財投機関ごとに、その財投機関債発行見込み額、及びこれを実現するため、特殊法人の財務諸表等作成公開推進法に基づくディスクロージャーの充実など、財投機関に対する指導のあり方についても伺います。
 次に、同じ資金調達でも、資金運用部資金が発行できるとされている政府短期証券について伺います。
 日銀は短期の財投債として発行する政府短期証券を引き受けるかどうか、また、これについて日銀との合意はできているのかどうか、大蔵大臣にお尋ねをします。もしこの短期証券を日銀が引き受けることになった場合、これを借りかえることによって実質的には長期性の債務と同様になることはないのか、そのための歯どめがあるかどうかもあわせて伺います。
 次に、財投機関に対する貸し付け条件についてであります。
 この原資である財投債は、市場から国債と全く同様に調達するものであり、当然に国債金利で調達できるものであります。
 一方で、貸し付けにおいては、財政融資資金法第七条に基づき、大蔵大臣が国債の利回りに即し決定することになっております。
 この場合、現在の大蔵省の見解では、利ざやなし、すなわち国債金利のままで貸し付けるとしておりますが、これは事実でしょうか。また、事実であるとすれば、当然、財投機関にとっては、この財政融資資金を取り組む方が有利であり、一層財投機関債の発行に消極的になることが考えられます。この点について、大蔵大臣の見解をお聞きいたしたいと思います。
 法案に関する最後の質問は、財政融資資金の運用についてであります。
 従来は、郵便貯金、年金等を通じて受動的に資金が流入しておりましたが、この改正案によれば、必要な資金を必要なだけ財政融資資金が取りに行く形になっております。従来のような余裕資金が生じる可能性は極めて小さくなっていくのであります。
 そこで、この改正案を見たときに、幾つかの疑問を生じます。
 まず、運用対象に外債が入っているということであります。基本的に余裕資金のない状況にあって、なぜ外債で運用する必要があるのか、短期的な資金調整であれば国債で十分ではないのか。
 また次に、今触れた国債での運用です。結果的に見れば、財投債という国債で集めた資金を国債で運用するという極めてばかげた事態が生じることが考えられます。たとえ短期運用だとしても、それは意味のないことであります。大蔵大臣の答弁を求めます。
 最後に、時代の変化は、私たちの予想を超えてはるかに急激なテンポで迫っております。こんなときに、改革は何であれ、その場しのぎのごまかしであったり、形だけ変えて体裁を整えるような官僚の浅知恵であってはなりません。財政投融資の改革は、橋本政権以降、自民党三代にわたる政権の改革の総決算であります。このままでは、これまでの改革論議と同様に、中途半端でかけ声倒れと批判されても仕方がないと断じざるを得ないのであります。私は、ここで改めて、私たち政治のリーダーシップの喚起を促したいと思います。
 それは、最近の風潮のように、数の勢いに任せて一気に成立させてしまうものではないということであります。政府には、国民が真に納得するまで説明をする責任があります。また、与野党慎重な審議の上での修正についても、正しければ従う大人の度量を、連立与党に対して心から期待したいものであります。そうした真摯な議論があって初めて、政治全体に対する信頼が国民の中にもう一度よみがえってくる、そのことを最後に指摘をして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕

発言情報

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発言者: 中川正春

speaker_id: 15692

日付: 2000-04-13

院: 衆議院

会議名: 本会議