日笠勝之の発言 (本会議)

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○日笠勝之君 私は、公明党・改革クラブを代表して、森総理の所信表明演説に対して若干の質問を行います。
 森総理、第八十五代内閣総理大臣の御就任、まことにおめでとうございます。どうか仕事第一、健康第一をモットーに、二十一世紀への日本丸の過つことなきかじ取りを御期待申し上げる次第でございます。
 さて、小渕前総理は、富国有徳の理念のもと、五つの挑戦を掲げ、殊に第二の敗戦というべきバブル崩壊による経済危機からの再生を目指し、まさに一身を賭して果敢に取り組んでこられ、景気もあと一歩で本格的な回復軌道に乗せられるという明るい兆しが見え出したところで突然の病に倒れ、志半ばで退かれ、その心中やいかばかりかと推察するに、心痛む思いでいっぱいであります。一日も早い御回復をお祈りしつつ、人間小渕恵三の温かい人柄について私の思いの一端を申し述べたいと思います。
 その一つは、昨年の今ごろ、地域経済活性化のため、また恒久的減税の恩恵に浴せない高齢者の方々、子育てに多大な費用を要する世帯主に交付され、春一番と好評いただいた地域振興券は世界で初めての試みゆえに、経験則もなく、比較すべき指標もないのにいろいろと非難中傷されました。経企庁によると、GDPの六〇%を占める個人消費を推定〇・一%押し上げる効果があるとの調査報告もこれあり、またこれが火種となって全国各地でいわゆるプレミアム商品券、割引商品券の発行につながり、その副次的効果も高く評価されていることから、私は後世の評価の参考になればと、昨年の七月、「地域振興券顛末記」なる小冊子を発刊し、小渕前総理の議員会館事務所にお届けいたしました。
 後日、私の事務所に、小渕恵三です、小冊子読ませてもらいました、大変よくまとまっていますね、ありがとうございましたという御存じブッチホンが入りました。私は不在で秘書が対応いたしましたが、激務の中、こんな一私家版の小冊子にまで目を通され、御礼の電話をされてきたことに驚き、私も一政治家として、その心遣い、気配りの大切さを教えられた思いであります。
 第二は、前総理が病に伏せられる一週間前の三月二十四日、私も一員である与党政策責任者会議のメンバーが官邸における昼食懇談会に御案内をいただいた折のことであります。その席上、昨年度の第一次補正予算で、少子化対策として二千億円の臨時特例交付金がばらまきなどのいわれなき非難がされ、ならばと、政策の事後評価をきちんとすべきである、これまた後世の判断に任せるべきと厚生省に強く要請し取りまとめられました「わがまちの少子化対策」という全国各地のユニークな約五百の事例集ができ上がり、それを持参しお見せしたところ、御出身の群馬県のページを開きながら、大変いい試みですね、恐らくこんな立派な事後評価は初めてではないかと感心され、メモをされていた光景が目に焼きついています。衆議院本会議前の時間のない中、丁寧かつ謙虚に人の話を聞く人柄の小渕さんの面目躍如たるお姿に共感を覚えたものであります。
 ともあれ、心より小渕前総理が一日も早く御健康を回復されますよう重ねてお祈りいたします。
 さて、私たち公明党・改革クラブは、昨年十月に、我が国が直面する経済社会の切迫した危機を乗り越えるためとの思いで、保守・中道の小渕連立政権に参画し、政治家個人への企業・団体献金禁止など数々の実績を上げ、国民の御期待におこたえしてまいりました。
 このたびは、内外の情勢が刻一刻と大きく動き、少しの猶予も許されない現下の政治経済状況を踏まえて、前総理の志を受け継ぎ国政に取り組まれることとなった森政権を全力で支え、引き続き政権与党としてその責任を再び共有することとなりました。
 連立政権を組む目的は、あくまでも庶民、大衆のための政策を実現するため安定体制を構築することであります。また、そのために最も大事なことは政党間の信頼関係であります。
 かかる視点から、私たち公明党・改革クラブは、これまでの自民党との信頼関係のもと、新しいパートナーである保守党との連携を固めて、経済の再生、沖縄サミットの成功など、当面する諸課題を速やかに処理し、二十一世紀の日本を構築するため全力で取り組む決意であります。
 そこで、新しい日本の宰相となられた森総理の御所見を順次お伺いいたします。
 まず最初に、有珠山の噴火災害対策についてであります。
 先月末から活発な噴火活動を続ける中、大変な御苦労をされている地元住民の皆様に心からお見舞いを申し上げます。とともに、復旧に尽力されている地元関係者、ボランティアの方々に敬意を表する次第であります。噴火により避難している住民は約一万三千人、そのうち約五千五百人が自宅に帰れず不自由な避難所生活を余儀なくされています。農作物の取り入れもホタテ養殖の手入れもままならない皆さんの御心労も大変であります。
 我が公明党は、早速、公明党北海道本部に有珠山噴火災害対策本部を、また党本部には有珠山火山活動災害対策本部をそれぞれ設置して支援活動を展開しているところであります。また、全国各県本部において救援街頭募金なども行っているところでもあります。
 この噴火活動による災害の長期化も見込まれておりますので、応急仮設住宅の早期建設や、特に高齢者や乳幼児などの医療対策、農漁業への救済対策、さらには失業対策など早急に対処せねばならないことが多々ございます。
 総理、この有珠山噴火災害対策について、既に関係省庁と地元関係団体との連携のもとに進められてはいますが、今後さらにどう対応されるのか、あわせて総理御自身の被災地入りは予定されているのかをお伺いいたします。
 殊に、食事の過不足、トイレ設置の不足、暖房への配慮、避難所でのプライバシーの確保など日常生活に関係することは待ったなしであります。あらゆる手段を講じて直ちに対応すべきではありませんか。
 次に、経済対策についてお伺いいたします。
 我が国が、総理の言われる世界から信頼される国家を目指し、国際社会で責任ある役割を果たす上からも、日本の国力を支える最も重要な基盤である経済の再生が不可欠であります。
 森総理は、所信表明演説で政権のキャッチフレーズを日本新生内閣とし、景気回復を最重要課題として掲げました。そして、経済政策は小渕前内閣の路線を基本的には踏襲し、日本経済を自律的回復軌道に乗せるため積極財政を継承する一方で、公需から民需への転換を図る構造改革にも取り組むとしています。
 幸いなことに、五日に経企庁が発表した二月の景気動向指数は、九六年十一月以来三年三カ月ぶりに一〇〇%となっています。これは一致指数を構成する経済指標のすべてが好転した結果で、景気の明るさの広がりを示すものでもあります。また、民間の設備投資も、わずかずつではありますが好転をしています。景気が基本的には回復軌道にあることは確かでありましょう。さらにこれを安定した成長へとつなげていかなければなりません。そのためにも、予算関連法案の早期成立と今年度予算の着実な執行が待たれます。
 ただ、私がここで少々心配していることは、失業率が一向に好転しないことであります。どう対応されますか、お聞きいたします。
 ところで公明党は、この二月からおよそ一カ月間をかけて、全国二万一千社に上る中小零細企業の業況判断、雇用状況及び資金繰りなどに関するアンケート調査を行い、今その分析を急ピッチで進めておるところであります。殊に、零細小企業の経営実態は、依然として大変厳しい状況にあります。中小企業向け融資の特別保証制度の返済延長を訴える人が多いのも事実であります。反面、新規分野進出への相談窓口の設置、経営コンサルタントへの無料相談、ISO14001取得の支援、情報格差の解消など、前向きな声も多く寄せられています。
 総理は、このような中小零細企業に対し具体的にどう取り組まれるのか、お伺いいたします。
 さらに、公明党は、二十一世紀を見据えた日本は情報通信立国として、携帯電話料金の引き下げ、インターネットの定額料金制、電子政府の早期実現などを要望する千三百五十二万人の署名簿を前総理に提出しました。その前提となるNTT回線接続料の大幅引き下げは、日米間の重大懸案事項となり、米国はWTOへの提訴も辞さないと言っております。サミット前にも政府間交渉での解決を図ることが肝要かと思いますが、いかが対応されますか。
 また、電子政府実現も二〇〇三年と言われていますが、半年でも一年でも早期に、また地方もともどもに実現すべきと思いますが、いかがですか。
 また、財政と表裏の関係にある税制については、総理の諮問機関である政府税制調査会がこの六月に中期答申をまとめることとなっていますが、総理の税制改革に対する基本的な考えをあわせてお伺いいたします。
 次に、九州・沖縄サミットについてお伺いいたします。
 九州・沖縄サミットは、前総理がことしの最重要外交課題として全力で取り組み、先月にはみずから沖縄の会場予定施設を視察して、並々ならぬ力の入れようでありました。サミットへ向け、舞台裏では既に参加各国との調整も進んでおり、特に今回は、二十一世紀の高度情報化社会を象徴するIT、情報技術革命、南北問題の開発途上国支援、エイズを初めとする感染症対策、国連改革などが主要テーマに上がっていると聞いています。
 ところで、この七日から、九州・沖縄サミットを前に主要八カ国環境大臣会議が大津市で開かれ、足踏みを続ける地球温暖化防止の国際協力について真剣な協議がなされ、京都議定書の早期発効を確認する共同宣言を採択いたし、閉幕をいたしました。この宣言は森総理に報告され、沖縄サミットの論議に反映されることとなります。
 温室効果ガスの削減目標を確実なものにするためには、主要先進国の的確な判断と指導力が欠かせません。そこで、サミットの議長である森総理は、この議定書の二〇〇二年までの批准・発効の実現のために総力で取り組まれるべきだと考えますが、御決意のほどをお聞かせください。
 一方、地元沖縄県では、米軍普天間飛行場移転問題がもう一つの焦点となっています。地元では代替施設に十五年の使用期限を設けるよう求めていますが、アメリカ側は反発していると聞き及んでいます。どうなされますか。
 森総理は前総理より沖縄問題については思い入れが少ないのではないかという一部報道がなされています。そこで総理、この際、一日も早く沖縄を訪問されて、総理の沖縄問題に対する真剣な取り組みを示されてはいかがですか。また、改めて森総理の九州・沖縄サミットへ臨む決意のほどをお尋ねいたします。
 さらに、以前から公明党が主張している沖縄に国連アジア本部設置についてどう認識されているのか、お伺いいたします。
 次に、二十一世紀の大きな課題である少子高齢化対策に関連して、児童手当制度と介護保険制度についてお尋ねいたします。
 今、国会では児童手当法改正案が審議されています。児童手当については、昨年末に当時の与党三党間で、児童手当制度を少子化対策の柱として位置づけ、平成十三年度を目途として支給対象年齢及び支給額の充実を含めた制度全体の抜本的な見直しをすること、そして当面の措置として、現行三歳未満の児童手当を小学校就学まで拡充することが合意され、国会で審議されているところであります。
 公明党の主張は、支給額の倍増、支給年齢の十六歳未満までの大幅拡充、所得制限の撤廃を内容とすることに変わりありません。「義務教育は、これを無償とする。」という憲法二十六条の観点から、公明党の先輩議員の努力により現在も予算規模で四百二十六億円の教科書の無償配付が実施されています。昭和三十九年から七年がかりで全小中学生に行き渡ったものであります。これと同じく、児童手当拡充の抜本的見直しの第一歩として、今回の二千億円程度の拡充という当面の措置としての改正案を了承しているところであります。
 合計特殊出生率低下の阻害要因の大きなものに経済的事由が挙げられていることは御承知のことと存じます。速やかにヨーロッパ諸国並みの児童手当制度に拡充すべきと思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 さらに、子育て中の保護者にとって大きな悩みの一つにアレルギー疾患があります。九五年の厚生省調査によると、乳児の二九%、幼児の三九%、小児の三五%、ちなみに成人で二一%がこれに悩んでいます。公明党は女性委員会を中心にアレルギー疾患対策などの抜本強化を求める署名活動を展開し、約一千五百万人の方々が賛同してくださいました。この署名簿は既に官房長官、厚生大臣にお渡ししていますが、総合的アレルギー対策の強化について総理の御所見をお伺いいたします。
 四月一日にスタートした介護保険制度は、年金、医療とともに二十一世紀の高齢社会の社会保障制度を支える柱であります。当面、全国で二百七十万人ほどの方が利用されると見られています。
 この制度が的確に、また順調に運用されるよう、私たちも党内の介護保険問題対策本部を中心にこれまで真剣に取り組んできました。高齢化の進行で利用者は毎年十万人単位でふえていくと推計されていますが、それに対応する施設やマンパワーの確保に相当の取り組みが要請されています。スタートして五日間で全国の関係団体に千件以上の要介護認定にかかわる苦情などが寄せられたとも報道されています。また、ケアプランの作成が難航している背景には、サービス提供事業者が予想されていたほどふえていないということもあります。
 このように厳しいスタートをした介護保険制度に対する総理の今後の取り組みについて御答弁を求めます。
 次に、混迷した教育問題等についてお伺いいたします。
 森総理はかつて文部大臣を経験され、教育行政には大変に造詣が深いと承知しています。教育改革について、その著書の中で、国際社会に通じる日本人、伝統や不易なるものに目を注ぐ日本人、風雪に耐え、同時に他国や他人の痛みのわかる日本人の育成を目指すこと、人間性を取り戻す教育の再興だと述べられていますが、全く同感であります。
 昨今の学級崩壊、学習レベルの低下、校内暴力、さらには校外における非行は大変に大きな社会問題であります。さきには、今春中学校を卒業した少年が同級生らから暴行を受けた上に五千万円もの大金をおどし取られるという事件が発覚しましたが、これは教育現場が真剣に受けとめられなかった結果と言われ、教育の荒廃もここまで来たかと唖然とするのは私一人ではありません。また、先般の少女監禁事件といい桶川市女子大生殺人事件といい、最近の警察は国民の切実なる訴えや事件には手をつけたがらない傾向が強いように思うのは私だけでありましょうか。
 森総理は前総理から引き継いだ教育改革国民会議を舞台に教育改革に取り組まれるお考えのようでありますが、ここで総理の教育改革への具体的構想をお伺いいたします。
 また、前総理の心労の大きな原因であった不祥事の続く警察行政の抜本改革について、私たち与党も既に警察改革プランを前総理にお渡ししているところでありますが、いかようになされますか、お答え願います。
 さらに、行政情報公開の対象に各県警察本部も入れる条例を設けている県もありますが、この際、各県に県警本部をその対象に含めるよう要請されてはいかがですか。
 最後は、環境問題であります。
 アフリカのケニアに、この地球は先祖からの贈り物ではなく未来の子供からの預かり物であるという旨のことわざがあります。
 公明党は、有吉佐和子さんのベストセラーとなった「複合汚染」という本の中に、公害に最も大きな関心を寄せ、熱心に勉強し実績を上げている政党は、どの革新政党よりも公明党だと記述されているとおり、結党以来、今日まで現場第一主義、環境の公明党と言われるほど人後に落ちない尽力をしてまいりました。最近では、先頭に立ってダイオキシン類対策特別措置法の成立にも尽力をさせていただきました。
 かけがえのない地球を後世に残すのは私たちの責任です。そのためには、大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会からリユース、再使用、リサイクル、再利用、リデュース、排出量の削減の三リによる循環型社会の構築は待ったなしの状況です。
 昨年の三党政策合意にも、平成十二年度を循環型社会元年と位置づけ、基本的枠組みとしての法制定を図るとともに、予算、税制、金融面等において環境対策に重点的に配慮すると明示されています。総理も所信表明で循環型社会構築を取り上げていました。与党内で現在、循環型社会形成推進基本法案を鋭意調整中で最後の詰めの段階となっていますが、総理の御決意のほどをお聞かせ願います。
 ある著名なコラムニストがこのように言っていました。小渕さんをたたけなくなった反動と相まって、リリーフに出た森さんの評価はぼろくそである、蜃気楼、居抜き内閣、空中総理、失言、まだ何もやっていない段階で石をぶつけられているようでちょっと気の毒であると言っていました。
 アメリカの例を引けば、アメリカのマスコミは、大統領就任後百日間はハネムーンピリオドといって新大統領がこの間何をどうしようとするのか温かく見守るのが暗黙のルールであります。それに比べ日本では、総理就任前から非難中傷合戦のありさまです。
 中国の呉書、呂蒙伝にいわく、士別れて三日、まさに刮目して相待つべし。この意味は、すぐれた人物というものは、三日間会わなければよく目を凝らして見直さなければならない、才能ある人は向上発展し、旧態依然としていないからだという格言であります。私たち議会人としては、枝葉末節にとらわれた木を見て森を見ないたぐいの非難はいかがかと思います。
 私は、森日本新生内閣が目指す、安心して夢を持って暮らせる国家、心の豊かな美しい国家、世界から信頼される国家の実現のため、全力を挙げて御支援申し上げますことをお誓いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114715254X01520000412_002

発言者: 日笠勝之

speaker_id: 18039

日付: 2000-04-12

院: 参議院

会議名: 本会議