森喜朗の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○国務大臣(森喜朗君) 筆坂議員からも小渕前総理に対するお見舞いをいただきまして、ありがたくお礼を申し上げる次第でございます。
 累次お答えいたしておりますとおり、政府としては、これまでも避難所の生活環境の改善、保健・医療対策、応急仮設住宅の緊急整備への着手、農林水産業、観光業などの生業支援のための資金手当てなど、各般の施策を講じてまいりました。
 今後とも、避難されている方々のニーズにきめ細かく、かつ迅速に対応することが必要と考えており、引き続き警戒態勢に万全を期しつつ、地元地方公共団体と協力し、政府一丸となって全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
 我が国の財政問題についてのお尋ねがありました。
 御指摘のように、例えば平成八年の財政制度審議会の報告においては、財政赤字の問題点として、金利の上昇とクラウディングアウト、さらには増大する国債費を補うための国民負担の増をもたらす結果、中長期的に見て経済の活力を奪い、発展を阻害することなどが述べられていると承知をいたしております。
 こうした観点からも、安易な国債発行に依存しない健全な財政が重要であります。極めて厳しい我が国の財政の現状を見れば、財政構造改革は必ず実現しなければならない重要課題であるということは認識をいたしており、我が国経済が本格的な回復軌道に乗ることを確認した上で、速やかに取りかからなければならない課題であると考えております。
 公共事業及び個人消費の景気回復に果たす役割についてのお尋ねでございましたが、我が国経済は厳しい状況をなお脱しておりませんが、景気は緩やかな改善が続き、自律的回復に向けた動きが徐々にあらわれております。こうした景気の改善の背景には、公共事業が景気を下支えする上で大きな効果を果たしてきていると認識をいたしております。景気が今後本格的に回復するためには、公需から民需へのバトンタッチが円滑に進み、個人消費の改善傾向が定着することが重要だと考えております。
 公共事業を削減し、社会保障を優先した予算に転換していくべきとの御指摘がありました。
 財政状況が極めて厳しい中にあって、財政を考えるに当たっては、幅広い視野を持って、歳出の構造にまで踏み込んだ質的な側面からの取り組みが重要であると認識しております。こうした認識のもと、公共事業については時代のニーズや要請を見通しつつ、必要な分野、事業への戦略的、重点的な投資を行っております。
 また、社会保障に関しては、高齢化の進展に伴い、社会保障給付費の増加が見込まれる中で、必要な給付は確保しつつ、社会保障制度改革を推進し、制度の効率化、合理化を進めてまいりたいと考えております。
 政府としては、今後とも真に必要な分野に重点的かつ効率的な予算の配分を行い、日本経済の発展や国民生活の向上に貢献してまいりたいと考えております。
 金融システムの安定化に関するお尋ねですが、政府として、金融機能再生法及び金融機能早期健全化法を車の両輪とする法的枠組みのもとで、不良債権の抜本的な処理を図るなど、我が国の金融システムの安定化は進んでいるものと認識いたしております。
 また、低金利政策については、低金利により金利収入が減るなどの影響を受けておられる方々がおられることは十分承知をいたしております。他方、金利の低下が設備投資や住宅投資、ひいては雇用等の面で景気の下支えに貢献していることも否定できないと考えております。
 なお、いわゆる商工ローン問題に対しては、先般の臨時国会において、貸金業者等の上限金利を引き下げるための出資法の改正及び貸金業者の業務の適正な運営を確保するための貸金業規制法の改正が行われたところであります。
 銀行への公的資金の投入をやめて、民間金融機関の自己責任ルールを確立すべきではないかとのお尋ねがありました。
 政府におきましては、金融機関の破綻が集中的に発生するなど、金融システムが極めて不安定であるという歴史的にも希有な状況に対応するために、時限措置として、公的資金を活用しながら、預金保険法に基づく預金の全額保護、金融機能早期健全化法に基づく資本の増強等の措置を実施してきたところであります。また、民間金融機関においても不良債権処理に積極的に取り組んできたところであり、その結果、我が国の金融システムは安定化してきている状況にあります。
 預金等の全額保護の特別措置終了後においては、自己責任原則と市場規律に立脚した金融システムが確立されることになりますが、民間金融機関においては、引き続き経営の健全性の一層の確保に努め、より強固な金融システムの構築に向けて全力を挙げた取り組みを行っていくものと考えております。
 銀行の貸し渋りをやめさせるため、地域の中小企業等に資金供給する制度を整備すべきではないかとのお尋ねでありますが、各金融機関は中小企業への融資を初め地域経済の発展のためにさまざまな貢献をしているものと考えております。しかしながら、金融機関の個々の融資については、民間当事者間の私法契約上の取引であり、基本的には各金融機関の自主的な判断により行われるものであることから、政府が法律により一律に規制することについては慎重に考えるべきものと考えております。
 我が国経済は、たびたび申し上げておりますように、全体として需要の回復が弱く、厳しい状況をなお脱しておりません。しかし、各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響から、景気は緩やかな改善が続いています。企業の活動に積極性も見られるようになるなど、自律的回復に向けた動きが徐々にあらわれております。
 こうした中、個人消費は、収入が低迷していることから改善傾向の定着には至っておりませんが、年末に比べれば持ち直しの動きが見られており、消費者マインドにも改善が見られております。先ほども申し上げましたように、景気が今後本格的に回復するためには個人消費の改善傾向が定着することが重要だと考えております。
 我が国企業はこれまでも、リストラ計画が雇用調整を伴う場合であっても、自然減や配置転換、出向等を行うことにより雇用の安定を図っております。今後とも企業はこうした社会的な責務を果たしていくことが重要であると考えており、この点については労働大臣も同様な認識であると考えております。
 雇用創出対策についてのお尋ねでありますが、中小企業労働力確保法による雇用創出のための支援措置については約八万人、各地方公共団体の創意工夫に基づき緊急に雇用就業機会の創出を図る事業については約三十万人の雇用創出が見込まれるなど、一定の成果を上げているところであります。
 一方で、御指摘の二つの奨励金については、企業の雇用意欲が乏しかったこともあり、その活用が不十分な面があります。このため、利用者への周知等を強力に推進しているところであり、最近、情報通信や介護関連分野等において求人が大幅に増加してきていることから、今後これらの奨励金の活用が進むものと考えております。政府としては、今後ともこれら各種施策を積極的に推進することにより雇用の創出に全力で取り組んでまいります。
 企業再編に伴うリストラ、解雇、サービス残業の規制についてのお尋ねです。
 まず、企業再編に伴うリストラについては、政府としては今国会に会社分割制度の導入に伴って労働者の保護を図ることについて所要の法案を提出したところであります。
 また、解雇については、裁判例の考え方を踏まえ労使間で十分に話し合われるべきものであり、一律に規制することは適切でないと考えております。
 サービス残業の解消については、労働基準法に基づき、時間外労働の限度基準の遵守、割り増し賃金の適正な支払い等について的確な監督指導を実施し、法違反の是正に努めてまいります。
 青少年の健全な育成の確保につきましてお尋ねがございました。
 次代を担う青少年の育成は社会全体の責務であり、地域、学校、家庭が一体となって取り組むことが必要であります。政府といたしましては、学校教育においては知識を一方的に教え込む教育を改め、教育内容を厳選し、基礎、基本の確実な定着を図るとともに、子供たちにみずから学びみずから考える力などの生きる力を育成することが重要であると考えております。また、情報メディアにつきましても、青少年に配慮した自主的な取り組み等をさらに進めていくことが重要であると考えております。
 私は、所信表明で心の豊かな美しい国家を目指すべきであると述べましたが、これは子供の健全な育成に社会一丸となって取り組むことを願ってのことであります。今後とも関係省庁が連携して青少年の健全育成に関する社会全体の取り組みが促進されるよう努めてまいります。
 教育予算の増額等についてのお尋ねでありますが、次代を担う子供たちがたくましく心豊かに成長できる環境を整備し、各分野で活躍し得る創造力豊かな人材の育成を図ることは極めて重要な課題であります。こうした観点から、十二年度予算においては、国立大学施設の老朽・狭隘化に対応して教育研究環境の改善整備を図るとともに、科学研究費補助金の充実、第六次教職員配置改善計画の完成などを図っているところであります。
 なお、三十人学級についてのお尋ねですが、今後の学級規模及び学習集団のあり方等については、教育水準向上という観点から、現在進めております協力者会議での検討を踏まえ、財政負担にも十分考慮して適切に判断していく必要があると考えております。
 サミットを機に沖縄の実態をアピールすべきとの御指摘がありましたが、各国との会談等さまざまな場で九州・沖縄サミットに関連し沖縄の現状についても取り上げてきているところであります。
 九州・沖縄サミットでは、二十一世紀がすべての人々にとってよりすばらしい時代となるという希望を世界の人々が抱けるような明るく力強いメッセージを沖縄から発信することが重要です。また、沖縄の現状を世界に発信し、かつさまざまな形で沖縄の発展につながる機会となることを期待いたしております。
 沖縄県の公立小中学校の卒業式等における国旗・国歌の実施状況は、私が文部大臣在任の昭和五十九年ごろはほとんど実施されていなかったと記憶いたしておりますが、平成元年三月の学習指導要領の改訂を受け、沖縄県教育委員会が努力された結果、平成三年春の卒業式、入学式以降現在に至るまで一〇〇%実施されていると聞いております。
 先日の発言は、学校における国旗・国歌の指導に万全を期していただきたいとの私の思いを申し上げたものでございます。
 米軍施設・区域の問題とサミットについてお尋ねがありました。
 沖縄には全国の米軍施設・区域の約七五%が所在しており、我が国の平和と安全のために沖縄県の方々にさまざまな御負担をおかけしていることは、私としても十分認識をいたしております。
 また、河野外務大臣が二月に訪米しクリントン大統領に対して沖縄でのサミットの開催につき説明した際、同大統領から、日米関係の戦略的重要性に関する発言とともに、自分としても米国としても沖縄県民の気持ちに敏感でいたい旨の発言があったと承知しております。沖縄県民の心への配慮という点では、クリントン大統領のお気持ちも我々と変わらないものと考えております。
 いずれにせよ、沖縄県の方々の御負担の軽減については、米国政府との間でもSACO最終報告の実現に向け引き続き緊密に協議する旨、種々の機会に確認してきているところであり、政府としては今後ともその着実な実施に最大限努力してまいります。
 アジアの声についての御指摘がありましたが、私としても、九州・沖縄サミットは七年ぶりにアジアで開催されるサミットであり、グローバルな視点に立ちつつアジア諸国の関心を十分に反映させたいと考えております。
 御指摘の東南アジア非核兵器地帯条約については、我が国はASEAN諸国の東南アジア地域における平和と安定の強化に向けての努力のあらわれであると受けとめております。すべての核兵器国を含む関係国による附属議定書署名に向けた努力を歓迎するものであり、条約当事国と核兵器国との協議の動向を引き続き注視していきたいと思っております。
 いずれにせよ、九州・沖縄サミットの議題については、国際情勢を踏まえつつ引き続きG8各国とよく相談をしながら調整していくこととなります。
 いわゆる核密約の問題に関する調査についてのお尋ねでありますが、歴代の総理、外務大臣が繰り返し明確に述べているとおり、事前協議に関する安保条約の関連取り決めは、岸・ハーター交換公文及び藤山・マッカーサー口頭了解のみであり、それ以外に密約といったものはありません。
 衆議院の解散・総選挙についてお尋ねがありました。
 私としては、まずは予算の早期成立の効果を減殺しないように予算関連法案の早期成立に全力を尽くし、予算の速やかな執行に万全を期していくことが必要であると考えております。また、北海道有珠山噴火対策や九州・沖縄サミットの準備にも万全を期すことも必要でございます。したがって、衆議院の解散は現時点では全く考えておりませんが、国家国民の立場に立って、国民の信を問うべき事態になったと判断されれば、ちゅうちょなく断行する考えであります。(拍手)

発言情報

speech_id: 114715254X01520000412_006

発言者: 森喜朗

speaker_id: 27194

日付: 2000-04-12

院: 参議院

会議名: 本会議