森喜朗の発言 (本会議)

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○国務大臣(森喜朗君) 有珠山噴火対策につきましてのお尋ねがありました。
 累次お答えを申し上げておりますとおり、政府としては、これまでも避難所の生活環境の改善、保健・医療対策、応急仮設住宅の緊急整備への着手、農林水産業、観光業などの生業支援のための資金手当てなど、各般の施策を講じてまいりました。今後とも、避難されている方々のニーズにきめ細かく、かつ迅速に対応することが必要と考えており、引き続き警戒態勢に万全を期しつつ、地元地方公共団体と協力して、政府一丸となって全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
 今回の政権交代に関し、官房長官の対応と閣僚の再任に関しての御質問がございました。
 小渕前総理が突然病に倒れられて総理臨時代理が決定されるまでの間の経緯については、昨日官房長官から詳細に御説明したところでございます。私としては、予測しがたい突然の状況のもとで官房長官は懸命の対応をなされたものであると、こう考えております。
 また、組閣に当たって前内閣の全閣僚にそのまま再任をいただくことにしたのは、私はこれまで自由民主党の幹事長としての立場から支えてきた小渕前総理が病に倒れられた後を受けての総理に就任したものであり、前総理の敷かれた路線を継承し、また行政にいささかの空白時間もつくってはならないとの認識に基づくものであります。
 国家公安委員長は、警察庁を管理する国家公安委員会を代表する者として、国民の警察に対する批判を真摯に受けとめ、失われた警察に対する信頼の回復と国民の安全確保に向けてまさに陣頭に立って全力を尽くして取り組んでおり、私もそれが最もあるべき責任のとり方ではないかと考えております。
 自衛隊員等による違法射撃事案については、防衛庁長官の指示に基づき現在徹底的な再調査を行っているところと承知をいたしております。事実を早急に解明した上で厳正な対処が必要と考えており、今後このようなことが起こることのないよう再発防止を徹底することが必要であると考えております。
 自由党の政権離脱と新たな連立政権についての御質問がございました。
 自自公連立内閣は、安定した政権基盤のもとで速やかに意思決定を行うことが国家の発展と国民生活の安定を図る上で肝要だとの認識に立ち、広範な政策合意をもとにして連立政権のもとで政策を進め、大きな成果を上げてまいりました。
 今般樹立いたしました自由民主党、公明党・改革クラブ、保守党による連立政権は、これまでの成果を踏まえながら、強い信頼関係に立脚した安定した政局のもとで、二十一世紀への新しい日本の国づくりを目指した各般の政策を積極的に推進することを目的とするものでございます。現下の重要課題は、経済の新生、大胆な構造改革に挑戦していくことであります。三党の強い信頼関係を基礎に、緊密な連携を図りつつ、三党一丸となって山積する課題に果敢に挑戦し、国民の皆様からの負託にこたえていく決意であります。
 次に、私の政治姿勢について御質問がございました。
 小渕前総理は、二十一世紀の日本を見据えて、国家国民のことを第一に考え、数々の重要な政策を推し進めてこられました。御指摘のあった政策は、いずれも国会において議論を積み重ね、正統な手続に基づいて実施されることとなったものであり、数の力による強権政治との御指摘は当たらないと考えます。
 小渕前総理を引き継いだ私としましては、日本新生を目指して、国民と痛みを分かち合い、手を携えて進んでまいる覚悟であります。国民とともに歩み、国民から信頼される政府を信条として、政策について国民の御理解を得られるよう、国会における論議等の充実に最大限の努力を行っていく考えであります。
 ドメスティック・バイオレンスについてのお尋ねがありました。
 そうした暴力は女性の人権を著しく侵害し、男女共同参画社会の実現を阻害するものであり、決して許されるものではありません。
 現在、各省庁において被害を受けた女性への各種施策を進めておりますが、さらに男女共同参画審議会で女性に対する暴力への対応について調査審議を進めており、その結果も踏まえ、今後とも施策の充実に努めてまいります。
 小渕前総理は教育改革を内閣の最重要課題として取り組まれてきましたが、私としても、所信表明演説で述べましたとおり、前総理と同じ思いで教育改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 このため、教育の基本にさかのぼって幅広く社会のあり方まで含めた抜本的な教育改革について議論していただくために発足した教育改革国民会議において、ことし夏ごろまでをめどに中間報告を提出していただき、その後、広く国民の皆様の御意見を伺いながら教育改革を推進し、国民的な運動につなげていきたいと考えております。
 平成十一年度の経済成長率についてのお尋ねでございます。
 最近の我が国経済は、全体として需要の回復が弱く、厳しい状況をなお脱しておりません。しかし、各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響から、景気は緩やかな改善が続いております。企業の活動に積極性も見られるようになるなど、自律的回復に向けた動きが徐々にあらわれております。
 このように、我が国経済はおおむね政府経済見通しで描いた回復過程をたどっているものと考えており、平成十一年度はおおむね実績見込み程度の成長の実現を期待いたしております。
 中高年世代の失業状況と地域に密着した公的な関与による雇用創出についてのお尋ねでありますが、二月の完全失業率が四・九%と過去最高水準となるなど、雇用失業情勢が依然として厳しい中で、特に中高年層については一たん失業すると再就職が難しいなどの問題があると認識しております。
 政府としては、民間企業による雇用の促進を図ることを基本として、各種雇用対策を実施しているところでありますが、現下の厳しい情勢を踏まえ、臨時応急の措置として緊急地域雇用特別交付金事業を実施しているところでありまして、本事業を通じて各地方公共団体による地域の実情に応じた短期的な雇用就業機会の創出を図ってまいります。
 財政再建の進め方についてのお尋ねでありますが、極めて厳しい我が国財政の現状を見れば、財政構造改革は必ず実現しなければならない重要課題であり、我が国経済が本格的な回復軌道に乗ることを見きわめた上で、速やかに取りかからなければならない課題であります。
 ただ、まずは緩やかな改善を続けている我が国経済を本格的回復軌道に確実に乗せることが重要であり、それに向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。その上で、財政構造改革については、単に財政面のみの問題にとどまらず、税制や社会保障のあり方、さらには中央と地方との関係や経済社会のあり方まで視野に入れて取り組むべき課題であると考えております。
 社会保障のビジョンについてのお尋ねでありますが、社会保障については、急速に少子高齢化が進行する中で、生涯を安心して暮らせる社会を築くため、持続的、安定的、効率的な制度を構築することが必要であると考えております。
 このため、さきに設置された社会保障構造の在り方について考える有識者会議の議論も踏まえ、国民の理解を得ながら、医療、介護、年金などの諸制度について横断的な観点から検討を加えてまいります。
 警察や自衛隊の不祥事根絶に向けた改革策についてのお尋ねがありました。
 不祥事を根絶するためには、監視システムの強化のみならず、職員の士気向上方策等も含めた対策が必要であると考えます。政府といたしましては、警察に関しては、警察刷新会議の精力的な御論議を初めとする関係方面の御意見も伺いながら、全力を挙げてその刷新改革に取り組んでまいる所存であります。防衛庁における不祥事に関しましては、その再発防止に取り組む一方、事実関係を早急に解明し、厳正に対処することで国民の信頼を回復することが重要であると考えます。
 あっせん利得行為の禁止に関する法整備について御提言をいただきました。
 この問題につきましては、各党各会派の間において十分御議論をいただくことが基本であると考えており、政府といたしましては、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 党首討論の改革についてお尋ねがありました。
 国会において政府としての考え方を説明し、あるいは議論を重ねていくことは、国政を預かる者としての責務であると考えておりますが、一方で、行政府の長として行政運営に当たることや外国要人との会談など、総理大臣の果たすべき職責も幅広いものがあることも事実であります。
 党首討論及び総理の国会出席のあり方については、国会改革の一環として国会において決定されたものであり、その改革についても国会において御議論いただきたいと思います。
 私としては、国会審議の活性化を図るべく、野党党首との討論が質の高い政策論争を中心とした実りのあるものになるよう、最大限努力してまいりたいと考えております。
 日朝関係についてのお尋ねでありますが、政府としては、韓米両国との緊密な連携のもと、北東アジアの平和と安定に資するような形で、第二次大戦後の正常でない関係を正すよう努めていく方針であり、約七年半ぶりに再開した国交正常化交渉に粘り強く取り組んでまいります。
 私自身も九七年十一月に訪朝し、問題解決の重要性をよく理解いたしておりまして、交渉に際しては日朝間の諸懸案の解決に向けて全力を傾ける決意であります。
 自然エネルギーについてのお尋ねですが、自然エネルギーの中でも太陽光発電などの新エネルギーについては、地球環境問題への対応やエネルギー安定供給の確保の観点から、その開発導入を積極的に推進することが重要と考えております。
 新エネルギーについては、二〇一〇年度において一次エネルギー総供給の約三%にするという目標を設定しておりますが、これは現在の導入量の約三倍となるものであります。現時点では、経済性、安定性などの難しい課題も伴いますが、まずはその目標の実現に向けて最大限の努力を行ってまいります。
 食料自給率目標についてのお尋ねですが、食料・農業・農村基本計画においては、基本的には五割以上を目指すことが適当であるとした上で、平成二十二年度までに生産、消費両面にわたる課題の解決により実現可能な水準として四五%を設定いたしたものであります。
 今後、生産基盤の整備等による優良農地の確保、育成すべき農業経営に対する経営安定対策の実施、技術開発の推進等を図るとともに、望ましい食料消費の姿を目指した栄養バランスの改善等に努め、自給率目標の達成に向け、農業者、消費者その他の関係者と一体となって積極的に取り組んでまいります。
 次に、森林・林業についてのお尋ねでありますが、国土の保全、水資源の涵養等の森林の公益的機能の発揮に対する国民の要請はますます高まっている一方、林業採算性の悪化等により森林の管理水準の低下が危惧されていることから、現在、森林・林業・木材産業に関する基本政策の検討を急いでいるところであります。
 林業基本法につきましては、これらの検討を踏まえた上でそのあり方について検討することといたしております。
 次に、農林水産分野におけるWTOへの対応についてのお尋ねですが、WTO農業交渉においては、いずれの国にとっても公平でかつ各国の農業が共存できる国際規律の確立を図ることが重要であります。
 このため、我が国といたしましては、国民的理解を得ながら、農業の多面的機能や食料安全保障の重要性への配慮、輸出国と輸入国の権利義務バランスの確保された貿易ルールの確立を積極的に主張していきたいと考えております。
 憲法観についてのお尋ねがありました。
 憲法の基本理念である民主主義、平和主義及び基本的人権の尊重は、憲法が制定されてから今日に至るまでの間、一貫して国民から広く支持されてきたものであって、将来においてもこれを堅持すべきものと考えております。
 他方、憲法第九十六条は、憲法の改正手続を規定しており、憲法が法理的に永久不変のものとは考えておりません。また、憲法をめぐる議論が行われていること自体は何ら制約されるべきものでないことは言うまでもございません。しかしながら、国の基本法である憲法の改正については、世論の成熟を見定めるなど慎重な配慮を要するものであると考えます。
 憲法に関する問題については、これまでも各方面からさまざまな意見が出されております。特に、今国会から憲法について広範かつ総合的に調査を行うため、我が国憲政史上初めて衆参両議院に憲法調査会が設置され、将来の我が国の基本的あり方を見据えて幅広く熱心な議論が行われているところであり、私としてもこれを十分見守ってまいりたいと考えております。
 我が国の国際貢献のあり方について御質問をいただきました。
 我が国が世界から信頼される国家となるためには、国際社会で求められている責任、役割を着実に果たしていくことが必要であると考えており、このためには、我が国みずからの安全保障基盤を強固なものとしながら、国際的な安全保障の確立に貢献することも重要な課題であると考えております。
 かかる認識のもと、PKF本体業務の凍結解除につきましては、国会での御議論等も踏まえつつ対処してまいりたいと考えております。
 また、有事法制につきましては、自衛隊が文民統制のもとで国民の安全を確保するために必要なもので、平時においてこそ備えておくべきものであると考えており、先般の与党の考え方も十分に受けとめながら、今後、政府としての対応を考えてまいる所存であります。
 衆議院の解散・総選挙についてお尋ねがありました。
 先ほどもお答え申し上げたところでありますが、私としては、まずは予算の早期成立の効果を減殺しないように、予算関連法案の早期成立に全力を尽くし、予算の速やかな執行に万全を期していくことがまず必要であると考えております。また、北海道有珠山噴火対策や九州・沖縄サミットの準備にも万全を期すことも必要であります。したがって、衆議院の解散は現時点では全く考えておりませんが、国家国民の立場に立って、国民の信を問うべき事態になったと判断されれば、ちゅうちょなく断行する考えであります。(拍手)
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発言情報

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発言者: 森喜朗

speaker_id: 27194

日付: 2000-04-12

院: 参議院

会議名: 本会議