森喜朗の発言 (本会議)

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○国務大臣(森喜朗君) 現下の雇用失業情勢については、有効求人倍率など一部に上向きの指標も見られるものの、二月の完全失業率が四・九%と過去最高水準となり、また世帯主の失業率についても過去最高の三・六%になるなど、依然として厳しい状況にあるものと認識しております。人々の雇用不安の解消のため全力を尽くしてこの対策に当たってまいりたい、こう考えております。
 雇用対策について各般からのお尋ねでありますが、政府は一昨年四月以来四度にわたる雇用対策を講じ、これらの対策が雇用失業情勢に一定の下支え効果を発揮しているものと認識しております。今後とも、政府全体で緊急雇用対策や経済新生対策等を積極的に推進し、国民の雇用不安を払拭するため雇用対策に万全を期してまいります。
 具体的には、厳しい雇用失業情勢の影響を強く受けている中高年の非自発的失業者や学卒未就職者を重点にした雇用対策、中小企業の創業支援や大規模なリストラの実施により大きな影響を受ける地域における雇用創出対策等を行うことにより、雇用の創出・安定、再就職の促進、能力開発に全力で取り組んでまいります。
 労働契約承継法案についてのお尋ねですが、この法案は商法における会社分割制度の導入に伴って必要となる労働者保護を図ろうとするものであります。
 御指摘の営業譲渡や合併に伴う労働者の承継については、判例法理や現行法制で対応することが適当であると考えております。また、企業組織の再編のみを理由とした解雇は判例法理に照らして許されず、労使協議は労使の自治により行われることが適当と考えており、労働契約承認法案の見直しは必要ないものと考えております。
 財政面からの雇用対策についてのお尋ねでありますが、現下の厳しい雇用失業情勢に対応するため、平成十二年度においても、雇用対策関係経費として総額約四兆三千四百億円、そのうち一般会計として約四千五百億円の予算を計上しており、政府としては必要な予算を措置しているものと認識しております。
 今後とも、一般会計による施策と雇用保険三事業による雇用対策を総合的かつ効果的に実施することにより、雇用の創出・安定を図り、国民の雇用不安が払拭されるよう全力で取り組んでまいります。
 社会保障についてのお尋ねですが、社会保障制度については、急速に少子高齢化が進行する中で、国民の間にその将来に不安を感じる声も出ており、生涯を安心して暮らせる社会を築くため、持続的、安定的で効率的な制度を構築することが必要であると考えております。
 このため、政府としては、これまでも年金制度改正等の諸課題に精力的に取り組んできたところであり、今後とも、さきに設置された社会保障構造の在り方について考える有識者会議の議論も踏まえ、国民の理解を得ながら、年金、医療、介護などの諸制度について横断的な観点から検討を加えてまいります。
 年金制度を抜本的に再構築すべきではないかとの御指摘でございましたが、国民の老後を支える年金制度については、将来の少子高齢化の進行や経済基調の変化を踏まえながら、将来にわたって安心して信頼できるものにしていかなければならないと考えております。
 このため、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、適正な水準の給付をお約束するとの考え方に立って年金法改正を行ったものであり、これにより制度に対する国民の信頼を揺るぎないものとすることができるものと考えております。
 今後とも信頼できる年金制度の確立のため努力してまいります。
 医療制度の改革についてのお尋ねでございますが、急速な高齢化などにより医療費が増加していく中で、医療制度の改革は重要な課題と認識をいたしております。
 平成十二年度においては、薬価差の縮小とあわせ、医療の質の向上を図る観点から、薬価と診療報酬の改定を行うとともに、現在国会に提出している健康保険法等の改正案においては、老人の患者負担について月額上限つきの定率一割負担制を導入することなどを盛り込んでいるところであり、抜本改革に向けて第一歩を踏み出したと考えております。
 極めて厳しい我が国財政の現状を見れば、財政構造改革は必ず実現しなければならない重要課題であり、我が国経済が本格的な回復軌道に乗ることを見きわめた上で速やかに取りかからなければならない課題であります。
 ただ、まずは緩やかな改善を続けている我が国経済を本格的回復軌道に確実に乗せることが重要であり、それに向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 過去二年間の景気対策の効果についてのお尋ねがありました。
 我が国経済は、金融システムに対する信認の低下などを背景として、平成九年秋以降、五四半期連続のマイナス成長を続け、デフレスパイラルに陥るのではないかとの懸念すらありました。
 しかしながら、政府・与党が大胆かつ迅速に取り組んできた広範な政策の効果もあり、我が国経済は、雇用情勢などの面で厳しい状況をなお脱していないものの、緩やかな改善を続けております。設備投資を初めとする企業活動に積極性が見られるなど、自律的回復に向けた動きも徐々にあらわれ、経済は明るさを増しつつあります。
 政府としては、この期を逃さず、今後とも公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくよう全力を尽くしてまいります。
 財政再建の一つの選択肢としての増税についてお尋ねがありました。
 先ほども申し上げましたとおり、財政構造改革については、まずは我が国経済が民需中心の本格的な回復軌道に乗ることを確認することが必要であり、現時点ではその中身について具体的に申し上げられる状況にないと考えます。
 いずれにせよ、将来の税制のあり方については、公平、中立、簡素といった租税の基本原則等に基づきながら、今後の少子高齢化の進展など経済社会の構造変化や財政状況等を踏まえ、国民的な議論によって検討されるべき課題であると考えております。
 財政構造改革のビジョンをいつごろまとめるかについてのお尋ねでありましたが、財政構造改革は、我が国経済が本格的な回復軌道に乗ることを見きわめた上で速やかに取りかからなければならない課題であり、単に財政面のみの問題にとどまらず、税制や社会保障のあり方、さらには中央と地方との関係や経済社会のあり方まで視野に入れて取り組むべき課題であると考えております。
 ただ、常々申し上げておりますように、まずは緩やかな改善を続けている我が国経済を本格的回復軌道に確実に乗せることが重要であり、それに向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 公共事業の目的は、国民の安全で豊かな暮らしや活力ある経済発展を支えるための社会資本を整備することであり、国民のニーズも十分踏まえつつ、必要な事業を行ってまいります。
 また、長期計画の作成に当たっては審議会等の外部の意見を聴取しているところであり、さらに費用対効果分析、再評価システムの活用により事業の各段階ごとに評価を実施するなど、国民の目から見てわかりやすい事業の実施に努めております。
 なお、公共事業に関しては、予算において事業ごとに所要額を計上し、国会の議決を得るとともに、個別の公共事業の箇所づけについては予算成立後速やかに公表し、事業の透明性の向上に努めております。
 最近の予算編成は財政規律が弛緩しているのではないかとのお尋ねがありました。
 各年度の予算編成においては、その時々の経済情勢、直面する政策課題の優先度等を見きわめ、限られた財源の中で必要な施策に配分を行っており、御指摘の公共事業等予備費、ウルグアイ・ラウンド農業合意対策、特別枠等についてもこうした考え方に基づいて措置したものであり、これらについていやしくも放漫財政やばらまきといった御批判は当たらないものと考えております。
 今後とも、予算編成に当たっては、従来の予算配分の考え方にとらわれず、個別の施策が効率的なものとなるよう不断の見直しを行うとともに、我が国将来の経済社会の発展に真に必要となる施策に重点的、効率的な配分が行われるよう全力を尽くす所存であります。
 構造改革についてのお尋ねがありました。
 日本経済新生のためには、景気回復と経済の構造改革を車の両輪として進める必要があり、単に景気を立ち直らせるだけではなくて、本格的な景気回復と構造改革の二つをともに実現することが重要であります。
 このような認識のもと、政府としては、これまでも公共事業を初めとする景気回復策とともに、企業関連諸制度の改革、中小企業・ベンチャー企業の振興、技術開発の活性化、高コスト構造是正のための抜本的な規制緩和、金融システム改革等、日本経済の構造改革を着実に実施してきております。
 今後も、二十一世紀型社会資本の戦略的な整備や規制改革の一層の推進、科学技術の振興などの構造改革を強力に推進し、またIT革命を起爆剤とした経済発展を目指すなど、二十一世紀における新たな躍進を目指した政策に取り組み、本格的な景気回復と構造改革をともに実現するために全力で取り組んでまいります。
 規制改革の推進についてお尋ねがありました。
 規制改革は、我が国経済社会の抜本的な構造改革を進めていく上で極めて重要な課題であると認識しております。政府としては、去る三月三十一日に規制緩和推進三カ年計画の再改定を行ったところであり、今後これを着実に実施に移していくなど、引き続き規制改革の一層の推進に努めてまいる所存であります。
 強力な規制改革推進組織をつくるべきとの御指摘がありました。
 規制改革委員会は、総理である私を本部長とし、全閣僚で構成する行政改革推進本部のもとに置かれているものであり、その見解は行政改革推進本部の決定を経て規制緩和推進三カ年計画の閣議決定に最大限盛り込まれる仕組みとなっており、これにより規制改革の着実な推進が図られているところであります。したがって、規制改革委員会の機能は十分に果たされており、あえて改める必要性はないものと考えております。
 ペイオフ解禁の一年延長の決定の経緯と理由についてのお尋ねですが、ペイオフの解禁時期の問題につきましては、与党間における真摯な論議の末、昨年末、一年延長することが適当である旨の合意がなされたところであります。
 本件につきましては、政府といたしましても、我が国の経済を確実に安定軌道に乗せるためには、一部の中小金融機関について、経営の一層の実態把握を図り、その改善を確実なものとすること等により、より強固な金融システムの構築を図る必要があるとの観点から、与党間の合意も踏まえ、ペイオフ解禁の一年延長の措置をとることが適当と判断したものであります。
 政府といたしましては、平成十四年三月末までの間に、与えられた枠組みを活用してさらに強固な金融システムの構築を図るべく最大限の努力を行うことが重要と考えております。
 ペイオフ凍結解除の延期は金融機関の経営健全化の機運をそぐのではないかとのお尋ねがございました。
 金融取引の多様化、国際化の進展に伴い競争が激化する中で、個々の金融機関においては、収益性向上、自己資本充実等による経営の健全性確保に努めているほか、他の金融機関との統合や業務提携等の再編の動きが急速に進んでいるところであります。これらの動きはまさに生き残りをかけて行われているものであり、ペイオフ解禁の一年延期により金融機関の努力が緩められることはないと考えます。
 いずれにしても、政府としては、平成十四年三月末までの間に、与えられた枠組みを活用してさらに強固な金融システムの構築を図るべく最大限の努力を行うことが重要と考えております。
 ペイオフ解禁の一年延長の決定は、与党の選挙対策優先の先送りに屈したものであり、政府の見識と責任が問われているのではないかとのお尋ねがありました。
 今回の決定は、先ほど申し上げましたとおり、より強固な金融システムの構築を図る必要があるとの観点から、ペイオフ解禁の一年延長の措置をとることが適当と判断したものであり、与党の選挙対策優先の先送りに屈したものではございません。
 なお、今回の決定に伴い財政悪化を招くことになるとの点について申し上げれば、金融監督庁設立後、現在までに検査の一巡していない信用金庫及び信用組合についても、平成十二年度末までには検査が一巡する見込みであり、仮に経営状況の回復の見込みがないと判断されるものがあれば、金融再生委員会及び金融監督庁においてできるだけ早期に破綻処理を行うことになります。
 したがって、ペイオフ解禁の一年延長に伴って国民負担が大きくふえることはないと考えております。
 日本版ペコラ委員会の設置についてでありますが、委員会の設置にかかわる問題は国会において御論議いただくべき事柄であると考えておりますが、いずれにいたしましても、破綻金融機関については、金融再生法の規定に基づいて経営破綻に至った原因の調査が行われているほか、その旧経営陣に対して民事・刑事上の厳格な責任追及が行われているものと承知いたしております。
 以上、御質問に対してお答えを申し上げましたが、最後に、小渕総理の政策をそのまま引き継ぐのですかという、そういう確認のお尋ねがあったような記憶をいたしておりますが、たびたび申し上げておりますように、突然の小渕前総理の急病によりまして、私がかわってその政権をお受けしたわけでございます。
 したがいまして、前小渕政権の閣僚によって、この政策課題が国民の皆さんの前で今御討議をいただいております。予算も自自公三党で予算編成をし、その関連法案も今御審議をいただいていることになります。
 したがいまして、私どもとしては、自由党の離脱はございましたけれども、自由党の皆さんの過半数を超える皆様が引き続き連立を維持していこうというお申し出がございまして、ありがたくそれを受けとめまして、今の政権を私がお引き受けしている以上は、小渕前総理のお考えに基づいて今の政権を運営していくことは当然であろうと私はそう考えております。(拍手)
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発言情報

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発言者: 森喜朗

speaker_id: 27194

日付: 2000-04-12

院: 参議院

会議名: 本会議