小里貞利の発言 (本会議)
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○小里貞利君 私は、自由民主党を代表して、森総理大臣の所信表明演説に対し質問いたします。
まず、有珠山及び伊豆諸島周辺における災害に際し、被害を受けられた皆様や今なお不安な日々を過ごしておられる皆様に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。
さて、私どもの日本は今、歴史的大きな節目にあります。
国や地方の財政赤字、少子高齢化や国際的大競争の時代にあって、果たして自分たちの国がこれからどうなるのか、自分たちの社会が、子供たちが、老後がどうなるのか、極めて不透明な中で、言い知れぬ不安感を国民が抱いているのが現状であります。その不安感が財布のひもを締めさせ、景気低迷の大きな要因となっております。
国を取り巻くこれらの問題にいかに対応して、たくましい新世紀日本を開くか、その指針を国民に明確に示すことが、今日の政治の最大の責務であります。
来年一月、国の行政は一府二十二省庁から一府十二省庁へと大きな改善を遂げます。
さらに、政治、財政、経済、教育、福祉等、各分野にわたる改革を力強く断行して、国際社会のリーダーとして、誇り高い日本を築かなければなりません。そして、すべての国民が夢と自信を持って生涯安心できる社会に向けて、いよいよ勝負のときだと考えます。
志半ばにして無念の殉職を遂げられた小渕前総理の後を受けて、この難局に真正面から取り組んでおられる森総理の真摯な政治姿勢を高く評価申し上げるとともに、総理が新時代への改革の道を力強く進まれることを確信しつつ、時間の関係上、テーマを絞って個別の質問に入らせていただきます。
まず、そごう問題について質問いたします。
政府においては、金融再生法に定める費用を最小限に抑える原則に照らして、債権放棄を受け入れざるを得なかったのでありますが、税金で一民間企業を救済すべきではないなどの批判が高まり、そごうの売り上げが激減するなど、債権放棄による事業再建は困難となり、我が党からの要請により、そごうが債権放棄要請を撤回して民事再生法による自主再建を決断したのであります。
今後予想される一般企業の債権放棄については、預金保険機構はこれに応じないことを明らかにするとともに、金融機関の責任を明確にすべきだと思います。
また、長銀譲渡の際の瑕疵担保条項が今回の核心でありましたが、法制上の問題はなかったのでありましょうか。
さらに、今回の法的処理について、プロセスがより透明になったことを国民は評価しているのであり、一方、これにより国民負担がふえる可能性のあることを含め、今後とも、政府は国民に対し、より一層説明責任を果たしていく必要があると思います。総理のお考えをお聞かせください。
あわせて、先ほど森総理から釈明がありましたが、時あたかも重要な任務の途次、金融再生委員長のこのたびの交代は、まことに遺憾であり、この際、秋霜の反省とともに総理の御意見を重ねて承りたいと存じます。
次に、景気対策について質問いたします。
我が国経済は、政府・与党挙げての各般の政策努力の結果もあって、自律的回復に向けた動きが徐々に強まってきておりますが、いまだ楽観できる状況にはありません。
こうした中、二十一世紀における我が国経済の新たな発展の道を切り開いていくことが重要であり、現在、情報通信分野などを中心に芽生えつつある新たな産業発展の芽を大きく育て、新たな産業と雇用の創出を図ることが、我が国経済社会を覆う停滞感を払拭し、自律的な発展を実現するために不可欠であります。
公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくため、今後の経済運営に総理がどのように臨まれるのか、お伺いいたします。
次は、財政問題について伺いたいと思います。
経済を本格的な回復軌道に乗せることが現下の最優先課題であることは当然でありますが、一方で、我が国の財政が大変厳しい状況にあることは、改めて申し上げるまでもありません。
我が国財政への内外の信任を回復し、子供たちに豊かな社会を引き継いでいくことが我々の責務であり、我が国の将来のあるべき姿を見据え、国民が安心して新たな発展を担っていけるような仕組みを構築していくことが不可欠であります。
そのためには、公共事業予算の配分について、要らざるを切り必要なものをやるとの確固たる信念のもと、これを大胆に見直すことを初めとする予算システムの改革、国と地方の関係、税制のあり方、社会保障制度のあり方などを含め、単なる財政再建ではなく、二十一世紀における我が国経済社会を支える財政システムの再構築、すなわち字義どおりの財政構造改革を実現しなければならないと考えます。総理の取り組み姿勢をお伺い申し上げます。
次に、情報通信技術革命への対応について伺います。
総理は、早々に戦略本部などの枠組みをつくられたわけでありますが、まず、国家戦略において、国民にとって自分たちの生活がどう変わるのか、企業にとってどのようなスケジュールで制度が整っていくのかという点を明確にするべきであります。
また、情報通信技術革命の寵児が生まれる一方で、これを活用できず取り残されてしまう人々が生まれないよう、全国民が恩恵を享受できるような社会を実現することが肝要であります。中小企業や地方の方々に対し、総理はどういうメッセージを発していかれるお考えか。高齢者や身障者の方々には、パソコン一つでもなかなか親しみが持てないという声もよく耳にいたします。小さいころからの情報化教育も強く求められます。
この分野では、総理自身が指導力を発揮され、教育面を含めた総合的かつ画期的な対応策を構築していくことを求めたいと思います。総理の御決意をお聞かせ願います。
次に、少年犯罪対策及び教育についてお尋ねいたします。
昨年三月十日には、少年法等の一部を改正する法律案が国会に提出されましたが、衆議院の解散により審議未了、廃案となりました。少年犯罪の被害者の御家族や御遺族の方々に対し、国会は怠慢のそしりを免れません。一日も早く少年法の改正を行うべきだと考えます。
私が深く憂慮するのは、少年による凶悪な事件が多発していることに加えて、親が自分の欲望や利益のために我が子の命を奪うといった、にわかには信じられないような事件が相次いでいる現状であります。心の荒廃は子供たちだけの問題ではなく、大人社会全体のゆがみを映す鏡であると言っても過言ではないと思います。我が国と世界の将来を担う子供たちを健やかに教育することは、大人全体の後世に対する崇高な責務であります。
そこで、すべての教育の出発点であり基本となるのは家庭教育ですが、政府としても、家庭教育に対する支援を積極的に行っていくべきであると考えます。あわせて、家庭と地域と学校がいかに連携して子供たちの育成を図っていくか、いま一度見直すべき時期にあると思います。さらに、子供たちの心に届く道徳教育を展開するとともに、倫理、徳育の規範が明確になるよう、教育基本法を見直す必要があると考えます。
以上、少年犯罪対策及び教育について、総理の御所見をお聞かせいただきます。
次に、沖縄サミットについてお尋ねいたします。
世界じゅうの人々が二〇〇〇年という節目の年に開催されるサミットに期待を持って見守る中、世界の一層の繁栄と心の安寧、そして世界の安定に向けてG8首脳間で熱の入った議論がなされ、その実現に向けて確かなメッセージを沖縄から世界へ発信できたと評価をいたします。
特に、沖縄で開催されたサミットの意義は、二十一世紀こそ戦争のない平和と共存の世紀にしたいという沖縄の思いを世界に訴えることだったと思いますが、サミットの成果について、議長を務められた総理に再度お伺いいたします。
最後に、中央省庁改革についてであります。
我が党が、橋本、小渕、森内閣と引き継ぎながら着実に進めてきた改革であり、いよいよ来年一月六日に実現します。これは、明治以来の政府の仕組みを初めて抜本的に改革するものであり、内閣機能の強化等政治主導を初め、国の役所を一府十二省庁に再編し、我が国の将来を見据えた二十一世紀型の行政システムへの転換を果断に行う歴史的な大改革であります。
新省庁体制への移行をいよいよ半年後に控え、かつてこの改革に皆様とともに必死にかかわった一員として、深い感慨を覚えます。
改めて、実行段階に入った中央省庁改革に取り組む森総理の御決意をお伺いいたします。
終わりに、明治初期における廃藩置県、職業選択の自由、学制公布等々の一連の改革は、単に維新国家の体裁を整えるということだけでなく、あすの日本のあるべき姿を見据えて、新たな国家、社会をつくり上げるという時代の大変革でありました。その中には士族特権の剥奪など、情において忍びがたいものがありましたが、変革の先にある明るい未来を信じて、明治の先達はこれらの改革を果敢に実行していったのであります。
西郷隆盛遺訓にある、万民の涙苦を自分の涙苦とし、万民の歓楽を自分の歓楽とする政治の無私の精神と、犠牲を乗り越えて必要な施策を断行する勇気は、今の時代こそ必要であります。(拍手)
二十一世紀の日本はいかにあるべきか、国家百年の計を誤ることのないよう、その針路を明確に国民に示し、なすべき改革をしっかりと実行することが、国民の将来への展望を開き、心豊かな活力に満ちた国民生活につながると信じます。
私ども一体となって、森政権を支え、ともに政治の責任を果たしてまいりますことを確認しつつ、質問を終えます。(拍手)
〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕