森喜朗の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(森喜朗君) 冒頭、久世氏の任命についてのお尋ねをいただきました。
 まず事実認識についてでありますが、三菱信託銀行関連及び霊友会関連の問題については、金融再生委員長に任命するに当たって、過去の報道で指摘された点につき調査を行いましたが、既にきちんとされている過去の問題であり、現在は問題がないとの説明であり、そのように承知したものであります。大京関連の問題につきましては、任命時においては必ずしも十分に承知していたわけではありませんでしたが、その後、久世氏本人は、大京関連の資金については久世氏個人に支払われたものではなく、政治資金規正法上の問題ではないと御説明されていると承知をいたしております。
 次に、久世氏を任命した理由と辞任に至ったことをどう考えるかについてでありますが、新内閣の発足に当たっては、日本新生プランの実現のために適材適所の観点から大臣を任命いたしたところです。結果として辞任をせざるを得ない大臣を任命したということは、まことに残念であり、遺憾であると考えており、また、深く反省するとともに、国民の皆様に率直におわびを申し上げたいと思います。
 任命権者としての責任については、今後、金融システムの安定化、我が国経済を自律的回復軌道に乗せていく諸施策、そして日本新生プランの実現など、現在取り組んでいる諸課題に対し、内閣として、これらに一致結束をして全力を挙げて取り組んでいくことにより、その責任を果たしてまいりたいと考えております。
 そごう問題についての考え方についてのお尋ねがございました。
 いわゆるそごう問題は、そごうの自主的経営判断により民事再生法の適用申請がなされたところであり、今後、こうした法的処理の枠組みの中で経営者や株主の責任も明らかにされていくものと考えております。
 なお、いわゆるそごう問題は、経営責任の明確化や意思決定過程の透明性に十分配慮し国民の理解を求めることの重要性を示したものとして、重く受けとめております。
 今回の問題を教訓に、企業の再建はあくまでも自己責任が原則であり、公的資金を用いた破綻処理の過程で債権放棄は安易に認められるべきでないとの認識のもと、関係各方面や国民に十分な説明をしつつ、適切な対応を図っていかなければならないと考えております。
 瑕疵担保特約についてのお尋ねでありますが、瑕疵担保条項は、現行金融再生法の枠の中で、長銀の速やかな譲渡や国民的負担抑制の観点から、民商法の法理を用い、交渉の過程で盛り込まれたものであります。仮に瑕疵担保条項がなければ、譲渡候補先が見出せず、国民負担が相当程度増加することが見込まれたことから、やむを得ないものであるというのが金融再生委員会の判断であると考えております。
 瑕疵担保特約の対象になる企業についてのお尋ねでありますが、瑕疵担保特約に基づき将来預金保険機構が取得する債権がどの程度出てくるかは、今後の新生銀行の債務者の状況等により異なってくることから、予断を持って申し上げることができないことを御理解いただきたいと考えております。
 なお、本年二月末を基準日とする予備的な貸借対照表においては、瑕疵担保特約の対象となり得る貸出金の総額は約七兆九千億円、当該事業先は約四千四百と承知をいたしております。
 日債銀の譲渡問題についてのお尋ねですが、六月三十日に最終譲渡契約書が締結され、その中には瑕疵担保条項が含まれております。
 瑕疵担保特約については、これをめぐる現下の各方面からの御意見、譲渡予定先のソフトバンクグループの意向を踏まえ、今国会における御議論や国民の意見に十分耳を傾けるとともに、その理解を深めていただくために、一カ月譲渡予定日を延長する決定がされたところでありまして、十分な説明が行われ、議論が尽くされることを期待いたしております。
 破綻金融機関の処理スキームについてのお尋ねですが、金融システムは、しばしば経済の動脈に例えられるとおり経済の基盤をなすものであり、その安定は我が国経済が景気回復軌道に復帰するためには必要不可欠なものでありまして、また、預金者等を全額保護するとの観点から、金融機関の破綻処理について公的資金での対応をお願いしているところであります。
 中尾元建設大臣の逮捕に関連してお尋ねがありましたが、私自身、今回の事件については大変遺憾に思っております。国民の税金によって賄われる公共事業の執行については厳正に行わなければならないのは当然であり、かりそめにも国民の疑惑を招くようなことがあってはならないということは言うまでもありません。また、政治家の倫理が強く求められている中で、まず一人一人の政治家がみずからの襟を正していくことが大前提であると考えております。
 本件につきましては司直の手にゆだねられておりますが、私としても、徹底的な捜査により真相究明が行われるべきものと考えており、重大な関心を持って見守ってまいりたいと考えております。
 野党が共同して提出しているあっせん利得罪の法案について御質問をいただきました。
 私としては、かかる法制については、その目的について吟味した上で、解釈次第で適用範囲が変わることのないよう犯罪の構成要件を明確にする必要があると考えており、少なくともこの点につき十分に論議する必要があるものと考えます。
 繰り返しになりますが、この問題については、まずは各党各会派の間において十分に御議論いただくことが基本であり、政府としましては、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 企業・団体献金の禁止について御質問がありました。
 私は、政治資金制度は政党本位、政策本位の政治を目指すという政治改革の理念に沿ったものであるべきと考えており、こうした政治改革の理念を踏まえ、既に今年から政治家個人に対する企業・団体献金が禁止されたところであります。一方で、政党に対する企業・団体献金につきましては、最高裁の判例でも、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を持つことは認められており、これをおよそ悪と決めつける論拠は乏しいと考えております。
 政治資金のあり方については、各党各会派で御議論いただく問題でありますが、私としては、政治資金は民主主義に必要なコストであり、何よりも国民の疑惑を招かないよう政治資金の透明性の確保が大切であると考えております。
 公共事業予算の執行過程の透明化についてお尋ねがありました。
 これまでも、箇所づけについてはすべての事業で新規採択時の評価を行い、予算成立後速やかに公表するとともに、建設業者の選定に関しましては、一般競争入札方式の導入、入札結果等の公表等入札、契約制度の改革を進め、その透明性の向上に努めてきたところであります。今後とも、予算執行過程のより一層の透明性の向上に努めてまいります。
 公共事業評価制度の確立についてのお尋ねがありましたが、既に新規事業採択時の評価や実施中の事業について再評価を実施し、必要に応じ事業の中止、休止等を行っており、また事業評価の試行にも着手いたしております。評価の実施に当たりましては、環境の視点も含めて実施するとともに、評価結果等の国民への公表も行っているところでありまして、引き続き事業評価制度の確立に努めてまいります。
 財政構造改革に関連して、消費税のあり方についてお尋ねがありました。
 財政構造改革については、明るい兆しの見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、財政面にとどまらず、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係まで視野に入れて取り組んでまいります。
 消費税を含む今後の税制のあり方については、公平、中立、簡素といった租税の基本原則等に基づきながら、今後の少子高齢化の進展など経済社会の構造変化や財政状況等を踏まえ、国民的な議論によって検討されるべき課題でありますが、いずれにしても、歳出面のむだはないか等について十分見直しを行うなど、国民の理解を得ることなしに増税を行うことは適切でないと考えております。
 サミットでの沖縄県民へのメッセージのお尋ねがありました。
 小渕前総理が万感の思いを込めて決定された九州・沖縄サミットでは、沖縄の力、二十一世紀に向けての明るく力強い平和へのメッセージを発信することができたと考えております。
 なお、沖縄の米軍施設・区域に関する問題につきましては、サミットという多数国間の場では議論されませんでしたが、日米首脳会談においてSACO最終報告の着実な実施に取り組むことで一致したことに加え、その他の機会においても、私からクリントン大統領に対し、沖縄の人々に対する気持ちを大事にお持ちいただきたい、沖縄県民の多年の希望につき、自分も努力するが、大統領もぜひ一緒に努力してほしいと申し上げたところであります。
 政府としては、こうしたことも踏まえ、今後とも沖縄県民の方々の御負担の軽減に努めてまいる考えであります。
 普天間飛行場の移設に関するお尋ねがありました。
 先般の日米首脳会談の際、普天間飛行場の代替施設に関する使用期限の問題については、私より、既に貴国政府との話し合いの中で数回にわたり取り上げてきたところであり、今後、国際情勢の変化に対応して、同飛行場の代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき貴国政府と協議していくこととしたい、我が国としては国際情勢の肯定的変化のための外交努力を積み重ねていく考えであり、右についても貴国と協力をしていきたいと述べました。
 これに対し、クリントン大統領からは、在沖縄米軍を含む在日米軍の兵力構成等の軍事態勢については、SACOの最終報告及び一九九六年の日米安保共同宣言を踏まえ、日本側と緊密に協議をしていきたいという旨の言及があったところであります。
 これを踏まえ、政府としては、今後とも昨年末の閣議決定に従い、適切に対処してまいる考えであります。
 九州・沖縄サミットの開催経費についてのお尋ねがありました。
 今回のサミットは、我が国にとって初めての地方開催となり、かつ、首脳会合、外相会合及び蔵相会合もそれぞれ別の場所で行われたために、通信インフラや道路等関連施設の整備費、警護費用、準備段階を含めた移動の費用等が必要となったこともあり、このような予算額となったものであります。
 特に、首脳会談の行われた沖縄については、サミット開催に伴う各種インフラの整備に加え、サミット開催に伴い、沖縄が内外にアピールされ大きな関心を集めたことは、今後の沖縄の産業、経済界にはかり知れないプラスの影響を与えるものと考えます。
 なお、一部報道で伝えられる過去のサミットの経費については、その額にどのような費目が含まれているか等、その積算根拠が不明であり、また、それぞれの開催地によって既存のインフラの整備状況も異なるわけであり、単純に比較することは適当ではありません。(拍手)
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発言情報

speech_id: 114905254X00220000731_027

発言者: 森喜朗

speaker_id: 27194

日付: 2000-07-31

院: 衆議院

会議名: 本会議