大島理森の発言 (科学技術委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○大島国務大臣 ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 近年の生命に関する科学技術の著しい発展に伴い、生命科学をどこまで人間に適用することが許されるのかという新たな問題が生じております。平成九年二月、英国において、哺乳類で初めての羊の成体の体細胞の核移植により、クローン羊が誕生したとの発表がありました。これにより、人についても、成体の体細胞の核移植によるクローン個体を誕生させること、すなわち人に対するクローン技術の適用が現実の問題として懸念されることとなり、同年六月のデンバー・サミットにおいて、これを禁止するとの首脳宣言が採択されました。
 このような動きを受けて、我が国においては、同年九月、総理の指示により科学技術会議に生命倫理委員会が設置され、自然科学系の研究者だけではなく法学者、宗教学者、言論人等国民各般の多様な意見を代表する委員により、この問題について精力的に議論が行われてまいりました。この間、委員会の取りまとめに対し、広く国民からの意見公募なども行われました。その結果、昨年十二月に、人クローン個体の産生は、人の尊厳等を侵害するものとして、罰則を伴う法律により禁止するべきとの最終的な結論を取りまとめ、公表いたしました。
 また、クローン技術と同等もしくはそれ以上の重大な影響を人の尊厳に与える可能性があるものとして、ヒトの細胞と動物の細胞を融合または集合させる技術、これを特定融合・集合技術と呼びますが、この技術により生じた胚から、人と動物のいずれであるかが明らかでない個体がつくり出される可能性があることなども、生命倫理委員会において指摘されています。
 本法律案は、このような生命倫理委員会での検討の結果を踏まえ、また、この研究分野における国際的動向をも勘案し、人クローン個体等の産生を禁止するとともに、クローン技術等により作成される、特定胚と呼ぶさまざまの胚の適正な取り扱いを確保するための措置等を講ずるものであります。
 なお、本法律案はさきの通常国会に提出いたしましたが、残念ながら十分な審議時間が確保できず審議未了、廃案となりました。しかしながら、その後のクローン技術の一層の進展等により、人クローン個体等の産生の危険性がますます高まっており、本法案を早期に成立させる必要があることから、本臨時国会に再度提出したものであります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、本法案を制定する目的であります。
 本法案は、クローン技術等が、その用いられ方いかんによっては人の尊厳の保持、人の生命及び身体の安全の確保並びに社会秩序の維持に重大な影響を与える可能性があることにかんがみ、クローン技術等を規制し、社会及び国民生活との調和のとれた科学技術の発展を期することを目的としています。
 第二に、人クローン個体等の産生を禁止することであります。
 具体的には、クローン技術または特定融合・集合技術により作成される胚を人または動物の胎内へ移植した場合、特定の人と同一の遺伝子構造を有する人、もしくは、人と動物のいずれであるかが明らかでない個体をつくり出すおそれがあり、そのような胚を人または動物の胎内へ移植することを禁止することとしております。
 第三に、クローン技術等により作成される特定胚の適正な取り扱いの確保のための措置であります。
 文部科学大臣は、特定胚の作成、譲り受けまたは輸入及びこれらの行為後の取り扱いの適正を確保するため、総合科学技術会議の意見を聞いて、その取り扱いに関する指針を作成、公表しなければならないものとし、特定胚を取り扱おうとする者は、この指針に従って行うとともに、一定の事項を文部科学大臣に届け出なければならないものとしております。
 また、この届け出をした者は、文部科学大臣がその届け出を受理した日から六十日を経過した後でなければ、その届け出に係る特定胚の取り扱いをしてはならないものとし、文部科学大臣は、届け出をした者の特定胚の取り扱いが指針に適合しないと認めるときは、届け出をした者に対し、当該特定胚の取扱計画の変更、取り扱いの中止その他必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとしております。
 さらに、文部科学大臣は、届け出をした者に対し、必要な事項について報告を求め、または、その職員に、事務所等に立ち入り、必要な物件を検査させ、もしくは関係者に質問させることができることとしております。
 第四に、届け出をした者は、特定胚の取り扱いについての一定の事項に関する記録を作成し、保存するとともに、特定胚に係る個人情報の漏えいの防止等必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとしております。
 第五に、禁止行為に違反してクローン技術または特定融合・集合技術により作成された胚を人または動物の胎内に移植した者等に対し、懲役等の罰則を設けることとしております。
 第六に、この法律の施行後五年以内に、クローン技術等を取り巻く状況の変化等を勘案して、特定胚に係る制度について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしております。
 以上が、この法案の提案理由及び要旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

発言情報

speech_id: 115003911X00120001107_007

発言者: 大島理森

speaker_id: 1754

日付: 2000-11-07

院: 衆議院

会議名: 科学技術委員会