山谷えり子の発言 (科学技術委員会)

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○山谷議員 ただいま議題となりましたヒト胚等の作成及び利用の規制に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 さきの第百四十七回国会におきまして、政府は、ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律案を提出しました。しかし、ヒト胚という、科学技術の発展、生殖医療そして生命倫理にまでかかわる深遠なテーマを扱いながら、政府案は技術面のみに突出しており、多くの問題点があると民主党は指摘してきました。
 政府は、この国会に、若干の手直しをして同趣旨の法案を提出してきましたが、その本質は前回のものと変わるものではありません。大まかに言って、政府案には四つの問題点があると考えます。
 第一に、政府案は、行政の裁量でつくる指針にゆだねる部分が大きく、かえってクローン研究を促進するとも懸念されています。
 第二に、政府案は、ヒト胚の保護、生殖医療との関連等を欠いた法案であります。ヒトクローン禁止の単独法案は世界でもまれなものです。
 第三に、政府案は、余剰胚が野方図に作成、利用されている現状を放任し、これらの問題についての対策を盛り込んでいません。
 第四に、政府案を策定するに当たって、生命倫理全般にまたがる問題を考えていかなければならないにもかかわらず、科学技術庁主導の縦割り論議のプロセスに問題があります。議論が十分に尽くされていなかったと伺っています。
 国内外の世論にこたえるため、私たちも、クローン人間などの生成を禁止するために早急に法整備を行うべきだと考えております。同時に、クローン技術等の有用性にも着目し、一定の歯どめを講じつつも、科学的合理性及び必要性のあるものについては研究を認めていく立場であります。
 こうした視点に加え、生命倫理の尊重、科学の暴走への歯どめなどを重視する立場から、ヒト胚の作成等の規制、生殖補助医療及び生殖補助医学研究に関する法整備への道筋の確立をも含めた包括的な法案を提出することといたしました。生命とは何か、人間とは何か、国民の皆様に大いに議論していただきたいと、法案を提出いたします。
 以下に、政府案との相違点にも若干触れつつ、ヒト胚等の作成及び利用の規制に関する法律案の概要を各章ごとに申し上げます。
 第一章は、総則を定めています。
 法律の目的は、人の生命の萌芽であるヒト胚の人為による作成、利用が人の尊厳の保持、人の生命、身体の安全の確保に重大な影響を及ぼすおそれがあり、また人の属性を有する胚が人の尊厳の保持、人の生命、身体の安全の確保に重大な影響を及ぼす個体の人為による生成をもたらすおそれがあるため、ヒト胚の作成、利用について必要な規制を行い、人の属性を有する胚の人または動物の胎内への移植を禁止するほか、その他必要な規制を行うことにより、人の尊厳の保持並びに人の生命及び身体の安全の確保を図ることとしています。
 さらに、胚、配偶子、卵子、ヒト胚、人の属性を有する胚、余剰胚、ヒト胚性幹細胞等について定義を行っています。
 基本的理念は、人の生命の萌芽たるヒト胚は、みだりにこれを作成、利用してはならないこと、ヒト胚の取り扱いに当たっては、人の尊厳を侵すことがないよう特に誠実かつ慎重に行うべきこと、人の属性を有する胚の作成、利用は、その胚からの個体の生成につながるものであってはならないことを明記しています。
 第二章は、ヒト胚の作成等に係る規制を規定しています。
 生殖補助医療または生殖補助医療に係る医学研究を除いて、何人も、人の胎外においてヒト胚を作成してはならないこととしています。利用についても同様の制限を課しています。
 余剰胚を生殖補助医学研究以外に使用しようとする者は、文部科学大臣の許可を受けなければならないこととしています。その際、文部科学大臣に、厚生労働大臣、審査委員会等からの意見聴取義務を課しています。
 許可の基準等は、使用目的がヒト胚性幹細胞の樹立に係る研究であって、ヒト胚を使用することが当該研究において科学的な合理性及び必要性を有するものと認められるもの、使用及び使用後の取り扱いが指針に適合するものであることとし、その指針は文部科学大臣が総合科学技術会議等の意見を聞いて定めることとしています。
 第三章は、人の属性を有する胚の作成等に係る規制であります。
 何人も、人の属性を有する胚を人または動物の胎内へ移植してはならないこと等の規定を定めています。
 人の属性を有する胚の作成、使用は、文部科学大臣の許可を受けなければならないこととしています。特定胚の取り扱いを単なる届け出制としている政府案とは大きく異なります。
 許可の基準等は、作成、使用の目的が人の属性を有する胚を作成し、または使用する方法以外の方法では行うことのできない研究であって、人の属性を有する胚を作成し、または使用することが当該研究において科学的な合理性及び必要性を有するものと認められるものであることなどを定めています。
 人の属性を有する胚についても指針を定めることとしています。
 第四章は、人の配偶子等の提供に関する規制であります。
 ヒト胚または人の属性を有する胚の作成、使用の際の人の配偶子等の提供者の同意、財産上の利益の供与の禁止、提供者の個人情報の保護などに関する規定を定めています。
 第五章は、ヒト胚等の作成及び利用に関する審査委員会についてであります。
 文部科学省に、ヒト胚等の作成及び利用に関する審査委員会を置くこととし、学識経験のある者のうちから、両議院の同意を得て、十一人の委員を選ぶこととします。
 第六章は雑則であり、政府が毎年この法律の施行の状況を国会に報告しなければならないこと等を定めています。
 第七章は、罰則について定めています。
 人の属性を有する胚を人や動物の胎内に移植した場合、十年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金に処し、またはこれを併科すること、また生殖補助医療及び生殖補助医学研究以外に人の胎外においてヒト胚を作成した場合等、五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金に処し、またはこれを併科することなど、詳細に罰則を定めています。
 最後に、附則について御説明申し上げます。
 この法律は、公布の日から起算して六カ月を経過した日から施行することとしています。
 さらに、政府は、この法律の施行後三年以内に、総合科学技術会議における検討を踏まえ、生殖補助医療及び生殖補助医学研究におけるヒト胚の作成及び利用の規制について法制上の措置その他必要な措置を講ずる旨を明記いたしました。換言すれば、三年以内に、欧州諸国等に並ぶ生殖補助医療、生殖補助医学研究に関する法制度を整備するための道筋をしっかり確立したものと自負しています。
 なお、本案施行に要する経費は、平年度約二千三百万円を見込んでいます。
 以上が法案の概要であります。熱心な御審議をいただきまして、議員各位の御賛同をいただき、私どもの法案を今国会中に成立させることをお願い申し上げまして、趣旨説明を終わります。

発言情報

speech_id: 115003911X00120001107_009

発言者: 山谷えり子

speaker_id: 7820

日付: 2000-11-07

院: 衆議院

会議名: 科学技術委員会