樋高剛の発言 (本会議)

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○樋高剛君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案に関して質問いたします。
 まず、法案の質疑に先立ち、ただしておかなければならない問題について伺います。
 その第一は、森総理が、イギリスのブレア首相と二十日にソウルで会談した際に、北朝鮮による日本人拉致問題に関連して、行方不明者として第三国で発見する打開案を北朝鮮に打診していたと発言したことについてであります。
 発言が、人命、人権のみならず主権、国益にかかわる重大発言であることに加えて、問題がまだ解決もしていないのに内密に交渉した事柄を明らかにするというのであれば、外交交渉など成り立ちません。これで、拉致問題の解決を初め日朝交渉はますます困難になることは明らかであります。
 失礼ながら、森総理は総理大臣としての資質に欠けると指摘せざるを得ません。森総理は責任をとって総理大臣を辞任すべきであります。総理はいかにお考えか、お答え願いたい。
 第二に、KSDで不透明な経理操作が行われている問題について伺います。
 KSDの資金から億単位の金額が財団幹部に流れていたとされ、KSDが任意団体として設立したKSD豊明会は自民党に対して年間数千万円の政治献金を行っており、補助金流用の疑いもあります。また、関連の政治団体、豊明会中小企業政治連盟を通じ、国政選挙前に閣僚経験者ら自民党の立候補予定者を中心に陣中見舞いとして多額の資金を提供したり、昨年秋の自民党総裁選では九万九千人もの党員、党友を集め、党費を立てかえていたと言われております。
 この問題は、単にKSDだけの問題ではありません。また、党費立てかえ問題の本質は選挙制度にあるものでもありません。党費立てかえとはまさに買収であり、公益法人と自民党との癒着、政治家と業界の癒着体質そのものを改革しなければなりません。この問題の徹底解明とあわせて、森総理の自民党総裁としての御所見をお聞かせください。
 第三に、中川秀直官房長官の右翼団体幹部との交友疑惑について伺います。
 中川官房長官は、先月二十八日の衆議院予算委員会で、質問者から指摘された右翼団体幹部との関係について、直接的には存じません、事実無根と答弁しておられました。また、政府は、中川官房長官は日本青年社とは何らかかわりがないなどとする答弁書をこの十七日に閣議決定したばかりであります。しかるに、十八日発売の週刊誌には右翼団体幹部と会食する写真が掲載されて、さらに、書かれている内容が事実とするならば、政治家の行為として到底あってはならない記事が記載されているのであります。少なくとも、問題の写真についてはもはや言い逃れはできません。
 中川官房長官がなお事実無根であるとおっしゃるのであれば、みずからそれを立証する責任があると考えますが、週刊誌発売後の記者会見で、幾ら記憶をたどっても十分記憶がない、面識があるという認識はないと発言している以上、みずからの立証は困難であり、そうであるならば、おやめいただくしかありません。(拍手)
 また、答弁書を作成した森内閣自身の責任も問われなければなりませんが、中川官房長官と森総理からそれぞれ御答弁ください。
 では、次に、IT基本法案に関連してお尋ねしてまいります。
 森総理大臣は、さきの所信表明演説で、ITという言葉を二十数回も連発され、IT施策の重要性を強調されました。しかし、今月十二日に開催されたある団体の大会でのごあいさつで、子供がテレビゲームに興じ、お父さんやお母さんがパソコンに打ち込んでいる家庭の姿を見ていると、これでいいのかと疑問がわく、正直言って、社会全体がすべてIT化していくことには個人としてはためらいもあるとお述べになったと報じられております。総理大臣にためらいながらIT社会を建設されたのでは、国民はたまったものではありません。
 我々自由党は、戦後保守が置き去りにしてきた教育や地域共同体の崩壊は、少年犯罪の凶悪化に象徴されるように社会経済の根幹を揺るがすまでになっており、日本経済の再生は、グローバル化に対応し得る人材の育成と構造改革なしには不可能であると考えております。
 長い歴史と伝統を踏まえ、日本人の心と誇りを大切にする国家を築くことによって、初めて自由で創造性あふれる自立国家日本をつくることができるのであり、IT社会の建設は家庭や社会を大切にする心をはぐくむ教育と矛盾するものではないと考えますが、森総理の御所見をお聞かせください。
 この六月にiモードが一千万台を突破するなど、今やIT社会は国民生活に深く浸透しつつあります。自由党は、この際、IT革命により世界に誇り得る新しい日本型経済モデルを築くため、その突破口として、携帯型インターネット接続機器を全国民に無料で配布するよう提唱いたします。
 だれもがインターネットを利用できるように、操作の簡単なモバイル端末、すなわち携帯型インターネット接続機器を全国民に無償で配布して、それによりハード、ソフトの両面でサプライサイドの大規模な設備投資を促し、だれもがその機器により買い物、決済、行政サービスの利用、納税手続などをその場でできるシステムを築き、IT革命をてこに我が国経済社会のすべてにわたる構造改革を断行するという自由党の提案について、森総理はどうお考えになるか、補正予算に組み込まれるお考えはないか、お尋ねしたいのであります。
 次に、IT戦略を推進する上での体制整備について伺います。
 政府が先ごろ決定した経済対策である日本新生のための新発展政策には、IT関連の事業がメジロ押しであります。これまでも、看板となるようなキャッチフレーズをつくり、それに各省庁が競い合って関連事業をひねり出し、予算の獲得を目指すという手法が行われてまいりました。今回またそれが繰り返されようとしております。IT革命によってどのような社会をつくろうとするのか、その姿は一向に見えてまいりません。
 法案の基本方針に挙げられている「世界最高水準の高度情報通信ネットワーク」とはどのような社会なのでありましょうか。何から何まで公費で手当てするのはかえって民間の活力を損ない、逆効果であります。ITを看板に各省庁が事業費を奪い合うようなやり方はやめて、民間を中心にIT社会を構築していく必要があると考えますが、官と民との役割分担についてどのようにお考えか、森総理のお答えをいただきたいのであります。(拍手)
 あわせて、各省庁の縦割りではなく、政府が一体となって取り組む体制が不可欠と考えますが、法案にある戦略本部が十分な機能とリーダーシップを発揮するとは到底思えません。官房長官がIT担当大臣を兼任するという現状を含め、改める考えがおありかどうか、総理の御意見をお聞かせください。
 次に、IT社会を建設する上での条件整備についてお伺いいたします。
 総務庁が九月末に発表した昨年の全国消費実態調査では、三十歳未満の電話代が五年前の約二倍、四十歳代のパソコン購入費はやはり五年前の十倍にも上っており、国民が食べるものや着るものを節約してITの費用を捻出しているという実態が明らかになっております。インターネットをさらに普及させていくためには通信料金を大幅に引き下げていく必要があると思いますが、森総理に具体策があれば伺います。
 また、IT分野での大幅な規制緩和と競争促進策を講じていくことが、IT社会を建設していく上での最重要課題であると考えます。例えば、周辺業法規制の撤廃・緩和、光ファイバー網や電柱、共同溝などの通信施設の開放、公共放送の範囲や受信料制度のあり方の見直しなど、既存の法制度について大胆に改革していくお考えがおありかどうか。法案では「規制の見直し」という表現で触れているだけでありますが、撤廃、緩和まで踏み込んでいく決意はないのか、森総理大臣の御見解をお聞かせいただきたいのであります。
 最後に、IT革命が進行する中で、それに伴う負の部分についても克服していかなければなりません。最近の少年犯罪もインターネットの影響を受けたものが増加しておりますし、電車や町中での携帯電話の使用のあり方などについてのモラルや、ネットの匿名性を利用した不法行為など、いずれも冒頭申し上げた教育の問題が深くかかわってまいります。
 人間としてなさねばならないこと、してはならないことを、教育現場はもとより、家庭、地域社会、国民全体が強く自覚して新しい日本を築いていかなければならないと痛感するものでありますが、御所見があれば森総理大臣にお伺いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕

発言情報

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発言者: 樋高剛

speaker_id: 28048

日付: 2000-10-24

院: 衆議院

会議名: 本会議