佐藤観樹の発言 (本会議)

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○佐藤観樹君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま御報告がございました参議院選挙制度に関し、与党三党による改正案に反対の討論をいたします。(拍手)
 私は、本院に議席を得て以来、国民と議会とを結ぶ選挙制度こそ民主主義の基本であるとの考えから取り組んでまいりました。衆参の定数是正、衆議院の小選挙区比例並立制、参議院全国区制を拘束名簿式比例代表制に変える問題、選挙の公営化、政治資金規正法の強化など、数々の改革に関与してまいりました。
 今振り返ってまいりますと、今回の非拘束名簿への改正は、来年七月の参議院選挙を控え、拉致三国発見説、中川スキャンダル、KSDと、三点セットに支持率が低下を続けております森内閣を支える与党三党の断末魔のあがきとしか私には見えません。選挙制度を変えないと勝てないのでしょうか。このような強引な政治手法を続けるならば、政治はますます国民から離れ、与党三党は墓穴を掘っていくことを冒頭申し上げ、以下、三点に絞って本改正案に反対の理由を申し上げます。
 その第一は、国民の代表たる国会議員の身分にかかわる重大な案件を、与党は次々と議会制民主主義のルールを踏み倒し、与野党で今日まで積み上げてきた議論を全く無視し、強行に強行を重ねてきた姿勢そのものであります。
 参議院は、議長のもとに、昨年六月、参議院選挙制度改革に関する協議会を設置し、与野党で協議を重ねてきました。本年二月二十五日に至って、現行の拘束名簿式比例代表制の仕組みそのものを改めるとなると抜本的な改革となり、その実現は容易でないことから、当面は現行の拘束名簿式比例代表制を維持することを前提として議論を進めることになったのであります。つい八カ月前のことであります。
 その後、六月には衆議院選挙で民主党が大幅に議席を伸ばし、このままでは来年の参議院選挙で自公保の過半数割れが必至だと危機感を抱いたのでしょう、参議院自民党の青木幹事長が言うように、自民党は比例選挙で獲得した票が小選挙区よりも八百万票も少ないことに恐怖感を覚えたのでしょう、久世金融再生委員長の党費立てかえ問題を選挙制度論にすりかえ、国会に突如与党三党が提出してきたのがこの非拘束名簿式比例代表制であります。この動機の不純さが、異例続きだった国会迷走の始まりであります。
 まず、与党は、参議院の特別委員会の設置を強行し、さらに議長職権で委員を任命するという前代未聞の挙に出たのであります。そして、与党のみで審議することわずか四日、委員会強行採決、斎藤議長のあっせん案もけり、議長が与党のみの本会議開会に応じないと、良識の府たる参議院議長の首をすげかえ、与党のみで法案を通すという暴挙すら平然と行ってきたのであります。
 本院においても、ようやく本格的議論の緒についた昨日、わずか三日間の審議で暴力的に打ち切り、採決の強行を図る愚行に出ました。
 そもそも、与党は、民主主義の土俵を築く国会構成のルールづくりの問題を、十分に議論を尽くす気持ちも余裕も毛頭持ち合わせていないと断ぜざるを得ません。
 ましてや、我々の考え方を明確にし議論を深めるために、民主党は対案を提出しております。しかしながら、与党は、自分たちの非拘束名簿に対する自信のなさを裏づけるように、対案を委員会におろさず、議論の場に付することを阻んだのであり、審議打ち切り、採決に及んだのであります。明らかに、言論の府たる国会、議会制民主主義を冒涜、破壊するものであります。
 反対する第二の理由は、非拘束比例制が、あの悪評高かった全国区の再来であるということであります。
 戦後から昭和五十七年まで行われました全国区制は、すさまじい金権選挙、企業ぐるみ選挙、役所ぐるみ選挙を生み出し、国民の怨嗟の的となったのであります。言うまでもなく、選挙区は北海道から沖縄までと日本国じゅうですから、選挙の前の事前運動に、ポスター、パンフレット、はがき、電話、遊説、事務所費など膨大にかかり、十当九落、つまり十億円かければ当選するが九億円では落選すると、今から十七年前にも言われておったのであります。
 候補者に割り当てられた業界、企業、役所などは、運動の結果が票数にはっきりとあらわれますので、与党の締めつけの中、補助金と引きかえに従業員に強制し、票集めに狂奔させたのであります。
 今度の非拘束式も個人票の多い順に当選していくのですから、当然、同じ党内の候補者よりも一票でも多くとるように、金をかけ、業界、企業、役所を補助金をえさに締め上げ、自民党名簿にある候補者の票獲得にハッパをかけさせる選挙にならざるを得ません。いや、むしろ、このために制度を変えるのであります。
 提案者は、有権者に顔が見える選挙になるといいますけれども、四十八議席、候補者数四百人から五百人が、日本の有権者数一億人を相手に顔が見える選挙をするということがどだい無理な話であります。提案者は、ポスターや選挙事務所、はがきなど枚数を減らしたり、新聞広告、政見放送など党営で実施するので、全国区制とは違うと強弁いたしておりますけれども、党内の他候補としのぎを削る選挙で自制などはとても考えられません。全く選挙実態として全国区選挙の復活であり、金権、企業ぐるみ、役所ぐるみの選挙に有権者が顔を背けたくなるような選挙になることは、火を見るよりも明らかであります。
 反対する第三の理由は、この非拘束制は、全国区よりももっと悪い欠陥を持った、票の横流しが行われる制度だということであります。ここに提案者のねらいがあるのであります。
 与党案では、候補者の個人票も政党票にカウントされますので、得票数の少なかった候補者は、結果として得票の多い候補者から票の横流し、おすそ分けにあずかる制度になっています。
 例えば、自民党に三百万票をとった人がいたといたしましょう。全国区制度はその人一人しか当選できません。非拘束名簿では、今おおよそ七十五万票で一議席が得られますので、ほぼ四人分となりますから、残りの三人分の票は、結果的に得票の少なかった候補者に横流し、上積みされることになり、個人に投じた票が政党の議席をふやす結果となります。
 つまり、実際には顔が全く見えなかった候補者でも国民が選ばなかった候補者でも、票の横流し、おこぼれの結果、選ばれた参議院議員として議席を得るという詐欺まがいのことが起こり得る制度になっているのであります。
 また、大量得票者が買収などを行い、あるいは連座制にかかって当選無効になった場合、前に申し上げた票の横流しによって議席を得た議員も当然当選無効にするのが国民の素直な実感でありますが、政党の得票と読みかえておりますのでそうはなりません。このような欠陥は、政党名簿に登載された個人名はすべて政党得票にするという、国民の投票意思とかけ離れた行為を平然と行う制度だからであります。
 以上述べてきたように、矛盾と欺瞞に満ちたこの非拘束名簿式比例代表制に断固反対を表明するものであります。
 最後に、最も大事なことは、選挙制度でございますから、選挙を行いますいわば選ばれる側ではなくて選ぶ側の国民、有権者の意見を聞かなければなりません。私たち民主党は、かねてから再々にわたりまして中央公聴会、地方公聴会の要求をしてまいりましたけれども、今委員長報告にございましたように、全くそういうことは一顧だにいたしませんでした。国民の皆さんは、この与党案の欺瞞を見抜けぬほど愚かではありません。
 民主党は、今後とも国民の皆さんの先頭に立って、来年の参議院選挙を勝利して、日本の民主主義を守り発展させることを表明し、かつ国民、国益のためにならない森内閣の一日も早い退陣を求めて、私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 115005254X00720001026_020

発言者: 佐藤観樹

speaker_id: 20147

日付: 2000-10-26

院: 衆議院

会議名: 本会議