阿部知子の発言 (本会議)
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○阿部知子君 社会民主党の阿部知子でございます。
私は、社会民主党並びに市民連合を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案並びに医療法等の一部を改正する法律案の両案に反対する立場から見解を述べたいと思います。(拍手)
冷たい雨が昨夜来続いております。
一昨日のこの本会議場での少年法の強行採決、そして、昨日の厚生委員会における全く一方的な審議打ち切り並びに強行採決によって本日この本会議の場にかけられた先ほどの二法案は、本当に、この国が、いかなる態度をもって子供たちと高齢者に接していくのかにおいて、極めて非情で、横暴で、かつ理性なき社会に至っているかを指し示していると思います。
一体だれのための政治であり、何のための政治であるか。
昨日、この本会議場で、イラン国ハタミ大統領は、暴力と憎悪渦巻いているイスラム国家間の対立を粘り強い民主主義的討論によって和平と協調へと導いた、そのお話をなさいました。また、既に、南北朝鮮両首脳の本当に勇気ある対談によって、今、東アジア情勢も大きく和平へと踏み出しております。
その中にあって、我が国のみが、かかる横暴な議会運営を繰り返すことによって、世界からも取り残され、そして、国内においては、全く憲法に保障された民主主義をないがしろにする森内閣に対して、一刻も早い退陣を望むものです。一日森内閣が延命されれば、また一つ悪法ができ上がります。
では、この医療法並びに保険法の改正、いかなる悪法か、以下に申し述べます。
まず第一の、健康保険法の改悪でございます。
この改悪は、本当の意味で、思想における改悪であります。なぜならば、高齢者に定率負担を強いた今般の健康保険法の改悪こそ、本来、だれも望んで老いたり病になったりするものではない、そして困ったときこそ、一番弱いときこそ国が差し伸べるべき医療や福祉の手を本当に無情にも振り払い、金がなければ命の切れ目とした政策にほかなりません。
既に本年四月から導入された介護保険におきましても、患者窓口一割負担が重くて、わずか四割の利用率にとどまっておられることを、政府・与党はどのように総括されるでしょうか。
窓口負担というこのことが、本当に、老いてつましい収入の中からお暮らしになる御高齢者を、医療からも介護からも遠ざけております。このことに心から私は怒りを持ち、なおかつ、医療現場に働く者として、このような悪法がこれからの医療現場を縛っていくことを心から悲しく思います。
第二に、医療の供給体制についてでございます。
既に何人かの委員が御指摘のごとく、一対三、これは患者一対看護婦三ではございません。患者が三対看護者が一でございます。この数値がいかなる人員不足であるか。そして今、医療現場では、私どもを初めとして、非常に過酷な労働の中、ミスのないよう本当に張り詰めた労働をいたしております。
しかるに、昨日の厚生委員会の場での津島厚生大臣の答弁においては、厚生省は看護婦の労働実態においてみずから調査する手段を持たず、看護協会等々との協力の中でその情報を得ている由でした。このような厚生省の無責任かつ本当に非常識な姿勢が、今般の医療ミスの多発の根幹に大きく横たわっております。
命こそだれにとってもかけがえのないものであるならば、その命の火が消えなんとするときに、いかなる十分なぬくもりと人の手をもって遇するかが、この国の二十一世紀の根幹でございます。ましてや、医療、介護、福祉の分野に人手を割くことは、長い目で見れば、この国の経済基盤をしっかりと守り立てて、高福祉社会へと大きく一歩を歩ませるものでございましょう。
また、今般の医療法改正の一番至らぬ点、いわゆるカルテ等情報開示の問題でございます。この問題は、本来二十一世紀の医療を決する極めて大切な事項でありながら、単なる規制緩和の広告項目の一部として挙げられております。例えば、患者さんが、あるいは御家族が、あるいは御遺族がみずからに対してなされた処置、知りたいと思ったとき、今いかに大きく厚く非情な壁に阻まれているかは、先般来のエイズ薬害事件でも明らかでございました。私は、このカルテ情報開示こそ、まず率先して、医療法改正の中心であるべきであったと思います。
そして、私阿部知子、長年小児の医療現場におりました。今、小児の医療、本当に窮状にあります。よく少子高齢化、まくら言葉のように高齢化の上に少子がつけられますが、その程度の認識で、本当に診療報酬だけに偏った非常に利潤追求型の医療が、手間暇かかる小児医療をここまで押しやり、そして先般、千葉での女医さんの過労死を生みました。もうこれ以上、放置することも黙視することもできません。(拍手)
二十一世紀は、子供たちと御高齢者、そしてその真ん中をしっかり支える中堅層にこそ、安心と安全のネットワークを提示して初めて開かれます。しかるに、森内閣、わずか一五%支持の森内閣には、これを行う決意もアクションプログラムもございません。
そして、最も未来を託すべきは、実は若い医師の教育にございます。これが医師法の改正でございます。医師法の改正は、ただ単に義務化を決めただけで、何らの賃金保障を明示せず、また指導医に対しての指導体制も明示してございません。このような中で、日々ハードワークとアルバイトに追い立てられた若年医師が再生産する医療とは、決して国民にとって幸せをもたらすものではございません。
以上、私は、社会民主党・市民連合を代表して、健康保険法改正、医療法改正、医師法改正の三分野にわたり反対の討論をいたしました。そして、こうした国民的課題に対して、国民の声が全く届かない現森内閣には、早急に総辞職することを重ねて要求いたします。
以上で私の反対討論を終わります。(拍手)