清原慶子の発言 (交通・情報通信委員会)
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○参考人(清原慶子君) このたびは意見陳述の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。
私は、情報通信ネットワークやメディアと私たち国民のライフスタイル、ワークスタイルの関連性につきまして、メディアの利用者の視点から、最近では特に高齢者、障害者を対象にいたしました調査研究をし、そして政策研究をさせていただいている立場から意見を申し上げたいと思います。
まず、日本が望ましい高度情報通信ネットワーク社会形成の方針を示すことの意義について意見を申し上げたいと思います。
申すまでもなく、国際的な情報通信ネットワークが普及いたしまして、国際的に情報交流や電子商取引、あるいは仮想的な地域社会とでも申しましょうか、バーチャル・コミュニティーが拡大してきておりまして、まさに国境を越えたいろいろな交流が進んでおります。しかしながら、国際的なデジタルディバイド、情報格差問題もまた顕在化しております。
そのような状況を認識いたしますと、私たちは情報通信技術の革新と関連し合いながら変動しております国際社会において、日本が情報通信政策についての基本方針を明確に示すことは意義あることと考えます。
とりわけ、日本は少子高齢化が急速に進展しておりまして、それに対応する情報通信政策のあり方を具体的に示すことは、今後、少子高齢化の後を追いかけてきます世界に先駆けてモデルを提示するという社会的、国際的な意義もあると考えます。
政府がIT戦略本部を置かれ、IT戦略会議とともにITをめぐる政策を進めていらっしゃる中で、確かに国民のITへの関心というものは高まってまいりまして、いろいろな側面に浸透してきております。けれども、ともすると経済政策の側面のみに注目が集まっているようなところがございまして、幅広く社会政策としての取り組みを明確に示すことは、政府が主導するというのではなくて、国民主導と国民参加による高度情報通信ネットワーク社会の形成が具体的に見えてくるという意味で意義があると考えます。
国民の視点に立ちまして、創造性豊かな高質の高度情報通信ネットワーク社会の施策を各省庁、自治体が連携して推進していくために、基本法の策定には積極的な意義が存在すると認識します。
それでは、具体的に少子高齢化に生かす情報通信ネットワークのあり方でございますが、これを国としては提示していただきたいと思うのですが、まず私たちの身近になっておりますインターネットと携帯電話の爆発的とも言える普及、また特にNTTドコモさんのiモードに代表される携帯端末によるインターネット利用者が増大してきております。しかし、今の現状は、幼児期に主として接触するメディアが異なる世代が同時に生きる希有な時代ということも言えます。白黒テレビもなかった世代と、生まれながらにしてテレビの主人公としてVTRなどに収録された自分の映像を見ることができる世代が共存しているわけです。
急速な高齢化の進展、核家族化の定着と、過疎地のみならず、都市部に増加する高齢者のひとり暮らし、二人暮らしという問題は、安全の保障の面でも重要な課題を私たちに提示しております。退職後の人生をいかに健康に、安全に、生きがいを持って生きていくかが共通の課題でございます。
特に、中高年期に加齢や疾病、事故等によりまして中途障害を得る者が増加しております。この中途障害者は点字や手話などを身につけることが困難でございますので、障害種別による利用にはバリアが存在します。ITを使う有効性と、しかしそれを生かすためには操作性や料金等で課題も存在します。
「シニアSOHO普及サロン三鷹」、「仙台シニアネットクラブ」などの実践は、私たちに高齢者もまたコンピューターリテラシーを持つことにより相互に学び合ったり、若い人たちに教えることを通して世代間交流も始まっております。社会人や学生によるパソコンボランティア活動や、企業が積極的にパソコン講習会やサポート活動を並立的に行うことによって、とりわけ高齢者や障害者、移動に困難のある人、不登校や病気療養中の児童生徒もフォローアップがなされております。
医療、保健、福祉の連携、防災基盤などを推進していくためにも、効率的で開かれた小さな政府の基盤としてITを活用していただきたいと思います。
高齢者、障害者にとって、ITは移動を代替する機能を基礎にしながら、教育、就労等社会参加のために必要な情報提供や交流手段としての光の面の有効性が期待されております。また、テレワーク、SOHO、スモールオフィス、ホームオフィスと言われるものは、雇用を削減するという部分ではなくて、むしろ新しい雇用や企業の創業などワークスタイルの創出の効果が期待されております。この意味で、私たちは情報バリアフリーの方向性を推進しつつ、参加の拡大のためにITを使いたいと思います。
情報保障はIT時代の基本的な人権として共通認識を持つべきと考えます。
通産省、郵政省等が機器等のアクセシビリティーの指針を示してくださっていますし、いろいろな取り組みをされていますが、さらにそうした取り組みに高齢者、障害者等利用者一般の参加が保障されて、よりよい使い勝手が目指されることが重要だと思います。
こうしたデジタルディバイドに配慮しつつ、情報格差に配慮しつつ、だれもがITの利便性を享受できますように、情報機器のユニバーサルデザイン化をメーカーの方に御協力いただくとともに、地域社会でもITに関する学習機会の整備等、学校を新たな拠点として取り組んでいただくことが有効と思います。
三点目としまして、先導的な取り組みとしての電子政府推進の意義を申し述べたいと思います。
政府は、ミレニアムプロジェクトとして電子政府の実現を進められています。行政情報を利用しやすくする総合クリアリングシステムや自治体との接続を推進する総合行政ネットワークの実験も実施されております。電子政府の構想が霞が関の中から自治体、地域に広がりつつありますけれども、これはいろいろな効果が見えております。
審議会、委員会等の公開について、インターネット放送を含む新しい手法によりまして、国民はリアルタイムに、即時的に国の動向、国会の動向等を知るということは、まさに民主主義として行政そして議会を身近なものに感じさせるという意義があるでしょう。
国民の参加の前提である公開と透明性を推進するということは、今後も積極的に果たしていただきたいと思います。
特に、税の電子申告による利便性というのは、今後、自治省による法人住民税や個人住民税の電子申告に向けてのモデル事業が推進されると伺っておりますけれども、実感として多くの国民に電子的な国とのやりとり、役所とのやりとりが効率的で信頼性のあるという実感を得ることになるでしょうし、電子申請や電子決済等電子商取引として有効なものを公的な信頼性のある機関とやることによってそのメリットを実感するという可能性を秘めております。
ただ、もちろん税の申告を初め許認可申請手段として直ちに電子申告・申請のみを唯一の手段とするということは望ましくないでしょう。私たちは、多様な世代が多様なメディア利用を行っておりますので、ぜひ多元性を確保するという御配慮もいただきたいと思っております。
終わりに、情報通信技術に依存しました情報利用とコミュニケーションというのはいわばバーチャルな、仮想的な社会をつくり出すわけですが、私たちが五感で人間関係を持ち、感じ取ることができる現実の社会とのバランスが保たれませんと、国においては安全保障、企業等においては危機管理、個人においては健全な身体と精神とのバランスの保持が困難になるおそれがあります。ITのみが推進されることが私たちの幸福を招くということはございませんので、ITを賢く使いながら、私たちが精神的にも豊かな暮らしをつくっていかなければなりません。
このような技術の変化が激しい中、子供だけでなく大人も新たな社会への適応を求められております。高度情報通信社会基本法におきましても、時間的に硬直的な法律ではなく、変動を調査研究しつつ、適合的に修正や補強をしていく必要があると思います。また、時限的に目標を具体的に定めた重点計画の実施に際しましては、ぜひ国民、民間の主体的な活動と国等の取り組みとの関連づけを有効に図っていく仕組みをつくっていただければと思います。
私たちは、情報通信技術に翻弄されることなく、広い意味で少子高齢社会における国民の生活、とりわけ人間のコミュニケーションや人間関係に与える影響を踏まえた取り組みを強く求められていると思います。
以上、早口で申し上げましたが、参考にしていただければありがたいと思います。
ありがとうございました。