大島理森の発言 (文教・科学委員会)

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○国務大臣(大島理森君) 第百五十回国会におきまして科学技術振興に関して御審議をいただくに当たり、一言申し上げさせていただきます。
 二十一世紀まであと二カ月となりました今日、情報技術革命、少子高齢化、環境対応など、大きな時代の変化に対応して、国民の皆様が安心して夢を持って暮らせる国家を実現する必要があります。このためには、これまでの我が国の経済社会のシステムを新時代、新世紀にふさわしいものに改革していかなければなりません。
 先般、白川英樹筑波大学名誉教授がノーベル化学賞を受賞されるという大変喜ばしいニュースがございました。これは同教授による二十年以上前の導電性プラスチックの研究が評価されたものであります。この研究成果は今や二十一世紀のIT社会を支える重要な基盤技術に発展してきており、基礎研究の重要性が改めて認識されたところであります。
 このように、科学技術の振興は、新技術、新産業の創出等により経済構造の改革を実現するために不可欠のものであるとともに、人々の健康の増進と生活の質の改善に重要な役割を果たし、また地球温暖化等世界各国が共通して直面している諸問題の解決に資するものであります。
 政府といたしまして、これまで科学技術創造立国の実現に向けて科学技術基本法及び科学技術基本計画を着実に実行してまいりましたが、まさにこれからが正念場であり、次期科学技術基本計画の検討を鋭意進めているところでございます。
 私は、このような機会に臨み、以下に申し述べますような柱を中心として、科学技術の振興施策を機動的、戦略的かつ重点的に展開し、科学技術創造立国の実現をより確かなものにすべく最善を尽くす所存です。
 第一の柱として、人々が健康で活躍でき、安全、安心で快適な暮らしができる国の実現を目指します。
 二十一世紀におきまして、国民すべてが活力ある高齢化社会を迎えられるよう、医療福祉の向上に資するたんぱく質の構造、機能の解明等を一層推進するとともに、脳科学、ゲノム情報科学等のライフサイエンスの研究の充実に努めてまいります。また、この分野の研究が適切に行われるよう、生命倫理の問題につきましても適切に対処するため、今国会にヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律案を提出いたしました。何とぞよろしく御審議をお願い申し上げます。
 最近、鳥取県西部地震の発生などにより、自然災害に対する国民の不安が増大しています。このため、実大三次元振動破壊実験施設の整備の加速等、地震調査研究、地震防災研究等を強化いたします。また、資源循環型社会への転換を図るため、環境に優しい材料の研究開発を進めるとともに、地球規模の気候変動等の解明、予測を目指す幅広い研究の一環として地球シミュレーターの開発、利用を推進いたします。
 原子力開発につきましては、昨年の臨界事故を教訓に、安全確保対策の徹底及び防災対策の強化を進めてまいります。この一環として、去る二十八日、原子力災害対策特別措置法に基づき、関係省庁等とともに今年度の原子力総合防災訓練を実施いたしました。また、国民に対し二十一世紀の原子力の全体像と長期展望をお示しすべく、新たな原子力開発利用長期計画の取りまとめを鋭意進めてまいります。
 第二の柱として、絶え間のない知の創造と技術革新により、持続的な経済発展をなし得る国の実現を目指します。
 基礎研究を着実かつ持続的に推進していくとともに、日本新生プランを加速的に実施すべく、IT革命の推進に資する宇宙インフラの整備や技術現場及び研究開発のIT化の促進等情報科学技術に積極的に取り組みます。また、ナノテクノロジー等二十一世紀を切り開く重要分野を戦略的に強化し、あわせて、世界をリードする研究成果が期待できる研究インフラの整備を図ってまいります。
 さらに、研究者の創造性を最大限に発揮できるよう、より柔軟で開かれた研究開発のシステムの構築や若手研究者の育成を図るとともに、すぐれた研究者に研究機会が与えられる競争的資金の拡充を図ってまいります。同時に、技術基盤の強化及び技術革新による国際競争力強化等のため、技術者の能力開発、再教育プログラムの開発に取り組むとともに、APEC域内における技術者資格の相互承認プロジェクトに適切に対応してまいります。
 経済新生のためには研究開発成果の社会還元が極めて重要です。研究成果の特許化や新技術開発促進のための施策を強化するとともに、産学官連携を軸として、地域の持つ科学技術に関する能力を活用、発展させる研究成果活用プラザの整備などの施策の充実にも取り組みます。
 第三の柱として、科学技術を活用し、人類の未来に寄与できる国の実現を目指します。
 今月、若田宇宙飛行士がスペースシャトルに搭乗し、国際宇宙ステーションの建設に係る諸作業を成功裏に終えて帰還いたしました。若田飛行士の活躍は米国でも高く評価され、若者を初め多くの国民に夢と希望を与えたところであります。引き続き、国際宇宙ステーション計画における我が国の役割を着実に果たしてまいります。
 一方、我が国の今後の宇宙開発の中核を担う次期主力ロケットHⅡAにつきましては、信頼性を確実なものとするため、注意深い手順を踏みながら開発を進めつつ、今年度冬季予定の初号機の打ち上げ成功に向けてあらゆる努力を傾注してまいります。さらに、我が国の宇宙開発の中長期戦略の策定を進めてまいります。
 また、世界屈指の海洋国として、国際的リーダーシップを発揮し、地震の発生機構の解明や新しい資源開発に大きく貢献する深海掘削船の開発等を進めてまいります。さらに、米ロの核軍縮努力によって発生するロシアの余剰兵器プルトニウムを処分するため、我が国の平和利用技術を用いて国際協力に積極的に参加し、世界の平和と安定に貢献してまいります。
 私は、科学技術の振興こそ日本新生をなし遂げる重要な原動力であると考えております。このため、国民の皆様方の科学技術の重要性に対する理解と関心を増進するとともに、次代の科学技術を担うすぐれた人材を育成することが必要であり、ITを活用した革新的な科学技術、理科教育の推進、日本科学未来館の整備などの諸施策を的確に講じてまいります。また、来年一月に控えた科学技術庁と文部省の統合が円滑に進み、その効果が十分発揮できるよう、引き続き両省庁の緊密な連携、融合を進めてまいります。
 私は、科学技術行政の責任者として、その重大な使命を全うすべく、全力を尽くす所存であります。委員長を初め委員各先生方の御指導、御協力を心からお願い申し上げます。
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発言情報

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発言者: 大島理森

speaker_id: 1754

日付: 2000-10-31

院: 参議院

会議名: 文教・科学委員会