白浜一良の発言 (本会議)
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○白浜一良君 私は、公明党を代表し、さきの森総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
初めに、伊豆諸島、有珠山の噴火被害、さらに東海豪雨は国民生活に大きなつめ跡を残し、甚大な被害をもたらしました。亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害をこうむり不自由な生活を余儀なくされている皆様方に心からお見舞いを申し上げます。
災害が起きたとき、いつもながら痛感することは、応急の災害救助は国として当然のこととしても、被災者の生活再建に対する国の支援体制が不十分なことであります。
例を挙げれば、阪神・淡路大震災を教訓に制定された被災者生活再建支援法による支援額は、複数家族世帯に対し満額でわずか百万円、しかも支給対象は家屋全壊の世帯のみに限定される貧弱さであります。二万世帯以上の床上浸水、四万世帯の床下浸水の大被害を受けた東海豪雨の場合は、再建支援法の適用の可能性がある全壊世帯はわずかに二十数世帯。全島避難によって職業も住居も捨てざるを得なくなった三宅島噴火の場合、現時点で半壊家屋が数戸確認されたのみという理由で、法の適用ができるかどうかすら決まっていないありさまであります。
治山治水は国の基と昔から言われ、被災者支援は政治の基本であります。果たして、このような形ばかりの再建支援策によって国の信頼をかち取ることができるのか、また、法改正を含む新たな生活再建支援方策をとる考えはないのか、総理の見解を求めるものであります。
またあわせて、扇国土庁長官に、三宅島噴火への早急かつ弾力的な法適用を本日明言されることを求めるものであります。
さて、ことしの夏以来、大手乳製品会社が引き起こした食中毒事件や、それに続く異物混入事件の多発、とどまることのない医療事故、自動車会社のリコール隠し、また最近の秘書給与詐欺事件に至るまで、国民の信頼を大きく裏切る事件が続発しております。
我が国においては、長く、人と人の信頼を基礎に日本的な社会づくりが進められてまいりました。それが、近年における金融システムの破綻や指導者的立場にある人たちの犯罪、そして信じがたい事件の続発など、これまで国民が培ってきた社会的な信頼は音を立てて崩壊しております。
政治もまたそれと無縁ではありません。私たち国会議員は襟を正し、改めて我が国社会の信頼の構築に取り組まなければなりません。
私たちの目の前には、社会保障の改革や経済新生、さまざまな社会的規制の撤廃など、数多くの課題があります。私は、すべての改革は少なくとも二〇〇五年までになし遂げるべきであると考えます。それには、政治の、中でも総理の強いリーダーシップが何より不可欠であります。私は、そうした観点から、総理の力強い指導力に期待し、重点的な課題に絞って質問をいたします。
過日開催された国連ミレニアム・サミットにおいて、加盟国だけではなく、非政府組織、民間企業とも幅広く連携し、貧困、麻薬撲滅、核廃絶などに取り組む、文字どおり国家を超えた取り組みを目指す姿勢が打ち出されました。
そういう意味で、総理が今回のサミットにおいて日本政府主導で国連に設立された人間の安全保障基金の拡充を訴えられ、国家と国家という観点の前に、人間一人一人の生命と生活を守るという哲学を国連でアピールされた点については高く評価しております。
しかし、総理は、国連安保理改革を訴えながらも、肝心の我が国の常任理事国入りについては言及されませんでした。あらゆる機会を通して常任理事国入りを目指し各国の協力を求めておられましたが、その反応はいかがだったでしょうか、総理にお尋ねいたします。
次に、政治倫理の確立のために何点かお伺いいたします。
さきの総選挙において、今求められているのは二十世紀末の大転換にふさわしいかじ取りを政治の責任で行うことですと選挙公報に記載したのは、ほかならぬ山本譲司前衆議院議員でありました。山本氏は、この選挙公報の文言と民主党支援の風に乗り当選を果たしました。しかも、総選挙前に名義だけの政策秘書を雇い、その給料をだまし取っていたのではないかとの疑惑があったにもかかわらず、そのことにしらを切り通しての立候補でありました。事件の全容が明らかになり、民主党離党、議員辞職に追い込まれたのは、何と総選挙の後のことであります。
クロをシロと言って国民を欺いた山本容疑者と民主党の責任は余りにも大きいと言わざるを得ません。
また、日本共産党も、衆参の国会議員の公設秘書百三十八人全員が、党職員との給与の差額に当たる合計約三億八千万円を党中央委員会に寄附してもらっていると九九年分の政治資金収支報告書に記載しています。同報告書にある他の事例も含め、そのほとんどは、事実上、献金を秘書採用の条件とするもので問題であります。
衆参両院合同で議員秘書制度について近く検討に入ることになりましたが、今回の事件に関連し、秘書給与の口座管理のあり方や献金を秘書採用の条件とすることについて本来どうあるべきか、官房長官の見解をお示しいただきたいと思います。
また、政治不信の回復と政治倫理の確立に向けて、あっせん利得処罰罪の制定は喫緊の課題となっております。同法案の審議に向けて総理はどのような決意で臨まれるか、お答え願います。
次に、参議院の選挙制度改革についてお伺いいたします。
現在、与党三党では、現行の参議院比例区選挙の拘束名簿式を見直し、非拘束名簿式の導入と定数削減を内容とした改正法案を作成中であります。非拘束名簿式は、一部批判されているような党利党略ではありません。諸外国では、オランダやベルギー、スイス、オーストリア、スウェーデン、デンマークなど二十四カ国で既に採用されております。
また、政党名のみの比例区選挙は、導入時から問題が指摘され、平成二年の第八次選挙制度審議会の答申、そして平成六年の全会派による参議院選挙制度に関する検討委員会において大勢の意見としての取りまとめの中で非拘束名簿式の導入が明確にされています。今国会で議長のもと正規に特別委員会の設置が決まったにもかかわらず、議論すべき委員も出さない会派は、議会制民主主義を否定する以外何物でもありません。
参議院比例区選挙に非拘束名簿式が導入されれば、拘束名簿式での順位の決定の不透明さが解消されるとともに、有権者が候補者を選択できますので、有権者の意思がより直接に反映され、顔の見える選挙として国民の関心が高まることが期待できます。また、候補者名や政党名の投票をすべて政党の得票として集計するため死に票が生まれず、比例代表の長所である民意をより正確に反映することもできます。
我が党は、来年の参議院選挙はこうした利点を持つ非拘束名簿式で実施すべきであると考えます。非拘束名簿式の意義と導入について、総理はどのようにお考えか、お尋ねします。
次に、現在継続審議扱いとなっている永住外国人地方選挙権付与法案について伺います。
我が国で永住権を持つ外国人は約六十二万人に上っていますが、公明党は地方選挙権の具体化を主張してまいりました。憲法九十三条には、地方議会や地方自治体の首長の選挙については、その地域に住む住民によって主体的に行われるべきことが示されています。現に、九五年二月には、最高裁が永住外国人に地方レベルの選挙権を付与することについて憲法上禁止されていないとする判断を下しております。今世紀中の決着を図るため速やかに成立させるべきであります。
総理はどのような姿勢で臨まれるか、お伺いいたします。
経済問題についてお伺いいたします。
九月十日に発表された四—六月期の実質GDP成長率は前期比で一・〇%となり、景気回復に向けた足取りは一層確かなものになりつつあります。しかしながら、他方、公共事業などの公需が依然として景気の下支えをしていることや、七月以降の経済指標を見るならば、必ずしも楽観は許されないものと認識しております。
民需主導の安定した景気回復を図るためには、いましばらく財政による下支えは不可欠であり、総理が補正予算の編成を含む新たな経済対策の策定を指示されたことは、まさに時宜を得た適切な対応であると高く評価するものであります。
経済対策の策定に当たって最も重要なことは、少子高齢社会、IT社会をにらみつつ、我が国経済の構造改革を進めていくという明確な視点を持つことであろうと考えます。
また、二兆八千億の事業費削減ともなる二百三十三に及ぶ既存公共事業中止などを内容とする与党三党の公共事業の抜本的見直しに関する合意を踏まえ、硬直化したシェア配分の壁の打破や時代の変化に対応した公共事業関係費の範囲を見直すべきであります。これまでの発想の大転換を図り、従来型の社会資本整備中心でなく、将来に対して真に国民のために必要な事業や中期的な観点から経済効果の高い事業に特化して重点配分すべきであります。
総理が提唱された日本新生プランに基づく重点分野であるIT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備を中心にめり張りのきいた予算となるよう強く期待するものであります。総理の答弁を求めます。
あわせて、原油価格の高騰についてお伺いいたします。
国際的に原油価格が十年ぶりの高値で推移しており、さきのG7蔵相会議でも主要テーマになっております。アメリカも原油の備蓄放出に踏み切り、若干の値下がりが見られるとのことですが、国内経済・景気への影響も予想されます。
政府は、最近の原油価格の動向についてどのように認識し、万一の場合どのように対処されるのか、またOPECなど産油国への増産要請などの対応策を検討されているのか、森総理大臣の答弁を求めます。
次に、青少年問題についてお伺いします。
今国会に与党三党で少年法改正案を提出することになりました。この改正案は、少年法の青少年の健全育成という理念のもとに、近年の少年犯罪の低年齢化や凶悪化へ対応し、安心して暮らせる社会を望む国民の声にこたえるものであります。青少年の健全育成といった観点から、今回の改正を総理はどのように受けとめておられるか、お聞きします。
また、少年法改正だけで少年犯罪の防止、その他の青少年問題の解決を図ることは到底できません。子供は社会の鏡と言われるように、近年の青少年をめぐる問題は、現代社会における大人社会の閉塞感、社会不安のあらわれであります。二十一世紀を生きる青少年の健全育成のため、総合的観点からさまざまな手だてを講ずることが肝要であると思われます。
それには、国のための教育とか社会のための教育とかいったこれまでの発想を改め、教育のための社会や子供の幸福のための教育といった視点から我が国の教育を変えていく必要があります。そこで、例えば、教育に関する恒常的な審議の場として、政治から独立した機関を創設し、教育の新しいグランドデザインを担う新たな仕組みの導入も考えるべきであります。
公明党は、それぞれの地域においては、難しい年代と言われる少年のための相談システムの整備やスクールカウンセラーの制度化、PTA、地域住民による協議の場の設置など、学校を中心とした取り組みに加え、体験学習や青少年の社会参加活動の推進などを提案してきました。教育政策に一家言をお持ちの総理はそれらをどうお考えになっていますか、御見解をお示しいただきたいと思います。
次に、報道による人権侵害問題についてお伺いします。
松本サリン事件の河野義行さんは、御自身が受けられた報道被害に立ち向かい、壮絶な人権闘争を展開されたことは周知のことであります。実際、報道被害を受けた人の無力感と怒り、命を削るような苦痛と絶望はいかばかりでありましょうか。我が党の同僚議員もつい最近、悪質な名誉毀損を受けたばかりであります。出版社の全面謝罪と画期的な高額慰謝料の支払いという結果ではありましたが、傷ついた名誉は決してもとに戻ることはありません。
このような報道被害を防ぐためには、報道する側が責任感とモラルを持つことは当然でありますが、もはやそれだけでは不十分な状況ではないでしょうか。
法務省も、名誉毀損やプライバシーの侵害に対する何らかの法的整備について調査研究を始めようとしております。人権擁護の観点から、被害者の救済措置として、名誉毀損に対して懲罰的な意味合いを持つ損害賠償の仕組みを検討する必要があると考えますが、総理のお考えをお伺いします。
次に、我が党の介護問題対策本部が、総選挙直後に介護保険の実施状況について全国にわたる緊急調査を行いました。その中から何点か総理、厚生大臣に質問いたします。
まず、高齢者保険料の特別徴収に関することであります。
これまで納めなくてよかった保険料がいよいよ徴収されることになりますが、高齢者やその家族から市町村へ苦情や問い合わせがふえるなど、若干混乱の様相が見えます。市町村もPR等に努力していますが、政府のあと一押しの支援が必要であります。政府の対応をお聞かせいただきたいと思います。
また、一部の市町村で低所得の高齢者の保険料徴収を免除する動きが見られますが、社会保険である以上、好ましいことではありません。しかし、中には、実質的には生活保護世帯と同じ状態の世帯や災害損失をこうむった高齢者に限って免除しようとする自治体もあります。社会保険といっても一概にはいかない事例があります。こうした点も含めて、保険料免除の動きに厚生省はどう対処されるのか、伺います。
また、短期入所サービスが激減している点について、厚生省は本年七月、平成十四年一月からの訪問通所サービスと短期入所サービスの支給限度額を一本化する改善案を示されました。しかし、十四年からというのはいかにも遅過ぎます。最大限の努力をし、一日でも早く実施すべきであります。どう対処されるか、答弁願います。
最後に、日ロ外交問題についてお伺いします。
今月、日本で開催された日ロ首脳会談で、特に焦点となった北方四島の返還問題については継続協議になりましたが、今後も粘り強い交渉を続け、一日も早い領土問題の解決を望むものであります。
今回の首脳会談で、プーチン大統領が一九五六年の日ソ共同宣言の有効性について認めたことは、これまでの領土交渉をめぐる双方の隔たりを一歩縮めたとの評価もあります。ところが、日ロ首脳会談後にロシアの高官が、日ソ共同宣言の有効性どころか、これは解釈の相違がある、さらに解釈協議が必要と発言しています。私は、これまでの歴史的経緯に照らしても解釈協議の必要は全くないと考えています。
公式にロシアから話があった場合、我が国としてどのように対処をされるのか、ロシア訪問を控え重要な問題でもありますので、総理のお考えを承りたいと存じます。
的確な御答弁を期待し、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕