森喜朗の発言 (本会議)

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○国務大臣(森喜朗君) 参議院選挙制度改革につきまして、参議院選挙制度改革に関する協議会の協議との関連で御質問がございました。
 その件につきまして、昨日の北澤議員に対する私の答弁についても御指摘がございました。
 参議院選挙制度改革に関する協議会においては、昨年六月から各党、会派により参議院議員の選挙制度改革について熱心な議論が行われたと承知をいたしております。
 本年二月に取りまとめられた報告書においては、「参議院の在るべき役割に適合した選挙制度の改革の検討が必要であるというのが一致した意見であった。」とされたものと承知しております。
 また、当面の改革についての検討の中では、現行の拘束名簿式と非拘束名簿式のおのおのについて長所と短所が指摘されており、非拘束名簿式そのものが否定されているわけではないと承知しています。
 昨日、北澤議員に対して、非拘束名簿方式については、問題があるが、これは否定はしていないというふうに私は報告を受けたと答弁いたしましたのは、このことを申し上げたものでございます。
 なお、協議会報告では、現行の拘束名簿式の仕組みそのものを改める抜本改革の実現は容易でないとしていますが、その後、国民に対して責任を負うべき与党として来年の通常選挙を控え、参議院選挙制度の改革をこれ以上先延ばしはせず、これに正面から取り組まなければならないと判断したものと承知しております。
 いずれにせよ、参議院選挙制度改革につきましては、議会政治の根幹にかかわる問題であり、各党、会派の間で精力的に議論していただきたいと考えております。
 次に、非拘束名簿方式は制度的欠陥を持っているとの御指摘がございました。
 選挙制度というものはどんなものでも一長一短があり、現行の拘束名簿方式は政党主体の選挙を目指すものでありますが、一方では有権者がどの候補者を当選させたいのかという意思表示ができないという問題点が指摘をされております。
 これに対し非拘束名簿方式は、有権者が候補者個人を選択することができるので、拘束名簿方式に比べどの候補者を当選させたいかについての有権者の意思がより反映され得るものであると考えます。
 参議院選挙制度改革は自民党の党利党略との御指摘でありますが、昭和五十七年に現行の拘束名簿式比例代表選挙が導入されて以降、制度改革についてさまざまな議論が行われてきております。
 今般、与党において取り組みが進められている参議院選挙制度改革は、これまでの議論を踏まえ、二院制のもとで参議院が国民の多元的な意思をよりよく反映でき、国民が政治に関心を持てるような選挙制度を目指しているものと承知いたしております。
 久世前金融再生委員長の件について明らかにすべきとのことでありますが、本件につきましては従来からお答えを申し上げているとおりでございます。
 与党提出のあっせん利得罪処罰法案についての御質問をいただきました。
 与党三党間において、法制化に向け大変熱心に御議論をいただき、与党案としてまとめていただきました。
 法制化に当たって、私は、構成要件を明確にし、かつ国民の要望を幅広く行政に反映させるという政治の役割にも配慮する必要があると繰り返し申し上げてまいりました。
 与党案においては、こうした論点を十分に踏まえ構成要件や対象行為等を定められたものと承知しており、さきの臨時国会に提出された野党案に比べ、構成要件を明確にしつつ、処罰対象を大幅に拡大しているものと承知しております。
 政治に対する国民の信頼を高めるためにも、十分御議論の上、ぜひとも今国会中に成立させられることを期待いたしております。
 企業・団体献金に関してお尋ねがありました。
 政治家個人に対する企業・団体献金は、政党本位、政策本位の政治を目指す政治改革の理念を踏まえ、既に本年から政治家個人に対する企業・団体献金が禁止されたところであります。
 一方で、政党に対する企業・団体献金につきましては、最高裁判例でも、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を持つことは認められており、これをおよそ悪と決めつける論拠は乏しいと考えております。
 いずれにせよ、政治資金のあり方につきましては、民主主義のコストをどのように国民に負担していただくかという観点から、各党、各会派において御議論をいただくものと考えます。
 介護保険の利用状況についてのお尋ねでありますが、これまで自治体から報告を受けたところでは、利用料の負担が重いためサービスの利用を抑えている例は少なく、むしろ介護保険の導入により全国的にもサービス利用者の増加や提供量の拡大といった効果があらわれております。
 なお、個別の自治体におけるサービスの利用状況は、サービスの提供基盤の整備状況など、さまざまな要因によって決まるものであると認識いたしております。
 利用者の軽減措置についてのお尋ねでありますが、この措置は、制度施行前からの訪問介護の利用者の多くが利用料がゼロであったことを踏まえた経過的な措置であり、新規のサービス利用者や施行前から一定の負担をいただいていた他のサービスの利用者については、原則どおり一割の負担を求めることといたしております。
 低所得者の保険料と利用料の負担についてのお尋ねでありますが、介護保険制度におきましては、低所得の方に大きな負担とならないよう、利用料について月々の負担上限額を一般の方より低い額とし、また保険料につきましても課税状況に応じて低く設定するなど、必要な配慮を行っているところであります。
 保険料や利用料の減免措置の拡大についてのお尋ねでありますが、保険料は介護を国民皆で支えるという観点から負担していただくものであり、また利用料はサービスを受ける方と受けない方との負担の公平性の観点から設けられているものであります。
 政府としては、保険料や利用料の意義や必要性についても、今後とも広く国民の皆様に理解を求めてまいりたいと考えております。
 健康保険法等の改正法案についてのお尋ねでありますが、今回の高齢者の定率一割負担の導入は、医療費に対するコスト意識を喚起するなどの目的から行うものであります。
 この定率負担の導入に当たっては、定額の月額上限を設け、高齢者の方々に無理のない範囲で現行制度とほぼ同じ水準の負担をお願いすることとしており、さらに低所得者の方々の入院時の負担については軽減措置を講じることとしております。これらの点を踏まえれば、今回の措置は十分御理解をいただけるものと考えております。
 農産物の価格と自給率に関するお尋ねでありますが、豊作に伴う農産物価格の下落に対しましては、農業経営に及ぼすその影響を緩和するための対策を講じております。また、食料・農業・農村基本計画に定めた食料自給率目標の達成を図るためには、消費者ニーズに即した農産物生産の取り組みを促進することが必要であります。このため、消費者ニーズが生産者に的確に伝わるようにするとともに、生産基盤の整備、経営規模の拡大、技術開発の推進等、各般の施策を通じて生産者の取り組みを支援してまいります。
 米の需給と価格の安定に関するお尋ねがありました。
 政府におきましては、現在の米の需給及び価格の動向に対応して総合的な米対策を早急に取りまとめることといたしております。
 なお、御指摘の値幅制限の復活や、政府買い入れを抜本的に拡大したり、国際的に約束したミニマムアクセス米の削減を行うことは、米政策の基本方向から見て適当でないと考えます。
 また、食糧援助については、相手国のニーズ、WTO協定等の国際ルールとの整合性、財政負担等に留意しつつ適切に対応することといたしております。
 野菜の輸入に対する一般セーフガードについてのお尋ねがありました。
 野菜の輸入状況等を注視しておりますが、輸入の増加等の状況等から見て、現在のところセーフガードを発動すべきとの認識には至っておりません。いずれにせよ、今後とも野菜の輸入動向の把握等に努めてまいります。
 企業収益と雇用情勢、消費及び企業倒産との関係についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、企業収益は前年に比べ大幅に増加しておりますが、企業の過剰債務、過剰雇用等の解消が進んでいる過程にあります。また、ITや介護の分野では新しい雇用需要が増加しておりますものの、これに対応する労働者側の技術習得が必ずしも間に合っていないという、いわゆるミスマッチの問題も見られます。
 こうしたことから、賃金の上昇を通じた消費の本格的な回復や雇用情勢の大幅な改善が見られるまでには至っておりません。また、倒産件数についても高い水準になっております。こうしたことは、我が国経済が古い殻を破って新しい構造に転換する真っ最中にあることを示しております。
 サービス残業の規制と労働時間短縮による雇用の拡大、リストラに伴う解雇の規制についてお尋ねがありました。
 サービス残業は労働基準法違反であり、政府としては、法の趣旨の徹底を図るとともに的確な指導を行っているところであり、引き続きその解消に努めてまいります。
 雇用の拡大のために労働時間の短縮を行う場合には、雇用との関係で賃金、労働時間等の労働条件をどのような水準にするかということが問題となります。この点に関しては、労使の話し合いを見守り、その合意を尊重したいと考えております。
 リストラによる解雇については、裁判例の考え方を踏まえ労使間で十分話し合われるべき問題であり、一律に規制することは適切でないと考えております。
 パートタイム労働者の賃金、労働条件についてお尋ねがありました。
 パートタイム労働者に対しても通常の労働者と同様に労働基準法等が適用されておりますので、パートタイム労働法とあわせて周知徹底を図るとともに、これらの法令に基づく指導を的確に行うことにより、適正な労働条件が確保されるように努めてまいります。
 また、社会保険、雇用保険の加入促進にも努めてまいります。特に、雇用保険については、加入要件に関し年収要件の撤廃を行うこととしているところであります。
 パートタイムの労働条件の改善についてのお尋ねがありましたが、パートタイム労働法においては、事業主は通常の労働者との均衡等を考慮してパートタイム労働者の適正な労働条件の確保等を図るために必要な措置を講ずることとされております。今後とも、同法に基づき、必要に応じて事業主に対し指導、勧告等を行うことなどを通じて、通常の労働者との均衡を考慮した処遇がなされるように努めてまいります。
 パートタイム労働法を改正し差別禁止を盛り込むことについては、現状では労使の合意が得られていないことなどから困難でありますが、今後とも、同法に基づき、通常の労働者との均衡が図られるよう、事業主に対する指導に努めてまいります。
 また、ILO第百七十五号条約の批准については、パートタイム労働法の改正が今申し上げたとおり困難であることなどから、現時点では考えておりません。
 補正予算と景気回復についてのお尋ねがありました。
 我が国経済は、金融システムに対する信認の低下などを背景として、平成九年秋以降、五四半期の連続のマイナス成長を続け、デフレスパイラルに陥るのではないかとの懸念すらありました。
 しかしながら、これまで政府・与党が大胆かつ迅速に取り組んできた広範な政策の効果もあり、我が国経済は緩やかながら改善いたしております。ただし、先ほどもお話し申し上げましたように、雇用情勢は厳しく、消費は一進一退の状況にあるなど、我が国経済はまさに正念場でありまして、もう一押しが必要な状況にあると考えております。
 このような状況を踏まえ、日本新生プランの具体化策等を中心とした経済対策に係る補正予算を編成し、新しい産業が育っていく環境を整えるなど、我が国経済の再構築を進めるとともに、民需中心の景気の自律的回復に向けた動きをより確かなものとしてまいりたいと考えております。
 国債の増発が長期金利等に与える影響についてお尋ねがありました。
 補正予算がどの程度の国債の発行を伴うか、さらにはそれが長期金利にどのような影響を及ぼすかについて現時点でお答えすることは困難でありますが、いずれにしても国債の発行に当たっては、従来どおり市場のニーズを踏まえることによって確実かつ円滑な消化に努めてまいります。
 また、国債の追加発行を極力抑制するよう、補正予算の編成に当たっては、歳出歳入の見直し、平成十一年度決算剰余金の活用などに努めてまいる所存であります。
 補正予算に伴う国債等の増発は市場環境から見て難しいのではないかとのお尋ねがございました。
 補正予算がどの程度の国債の発行を伴うか、さらにそれが長期金利にどのような影響を及ぼすかについて現時点でお答えすることは困難でありますが、いずれにしても政府としては、公債の発行に当たっては、従来どおり市場のニーズを踏まえることによって確実かつ円滑な消化に努めてまいります。
 また、国債の日銀引き受けについてのお尋ねでありますが、現行財政法において、国債の日銀引き受けを原則として禁止し、国債は日銀以外の市中資金により消化するという市中消化の原則を定めているところであり、政府としては、こうした財政法の趣旨を遵守することが必要であると考えております。
 国債の償還財源についてお尋ねがありました。
 国債の発行に当たっては、従来どおり市場のニーズを踏まえることによって確実かつ円滑な消化に努めており、現在、直ちに国債の発行に支障を来すような状況にはないと考えております。いつまでも多量の国債に依存する財政運営が適当でないことは言うまでもないことであり、財政構造改革は必ずなし遂げなければならない課題でありますが、性急に財政再建を優先させれば景気回復を危うくさせることにもなりかねません。まずは、経済を自律的な回復軌道に乗せるため、景気回復に軸足を置いた経済・財政運営を行ってまいります。
 なお、消費税率の問題を含む将来の税制のあり方については、今後の少子高齢化の進展など経済社会の構造変化や財政状況等を踏まえ、国民的な議論によって検討されるべき課題でありますが、いずれにしましても、歳出面のむだはないか等について十分見直しを行うなど、国民の理解を得ることなしに増税を行うことは適当でないと考えております。
 教育基本法についてお尋ねでありますが、先般の教育改革国民会議の中間報告においては、教育基本法は必要に応じて改正されてしかるべきであり、幅広い視点からの国民的な議論が必要であるとの提言がなされているところであります。
 私としては、教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、制定以来半世紀を経た教育基本法の抜本的な見直しなど、教育の根本にさかのぼった改革を進めていく必要があると考えており、今後、教育改革国民会議の最終報告を受けて、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得てまいりたいと考えております。
 教育行政についてお尋ねがありました。
 これまでも政府としては、学校における教育内容の見直しや教職員定数の改善等の教育条件整備に努めてまいりました。
 今後の教育については、次代を担う子供たちがたくましく心豊かに成長し、生きる力をはぐくむことができるよう、各学校が主体的に特色ある教育活動を展開することが重要であると考えております。このため、基礎、基本の確実な定着と個性を生かす教育の充実を図るとともに、小人数授業の実施等を含む教育条件の整備に努めてまいりたいと考えております。
 教育のあり方についてのお尋ねがありました。
 私は、二十一世紀の日本を支える子供たち一人一人が多様な個性や能力を伸ばし、人間性豊かで創造性に富む立派な人間として成長することこそが重要なことと考えております。
 そのためには、たくましく生きるための健康や体力を持ち、倫理観や規範意識、道徳心を身につけ、みずから学び、みずから考える力を備えた、体育、徳育、知育のバランスのとれた健全な人間を育てるための全人教育が最も大切であると考えております。
 同時に、子供たちに豊かな人間性をはぐくむためには、大人社会全体のモラルの低下を問い直す必要があり、有害情報から子供を守るといったことも含め、我々大人一人一人が子供の手本となるような行動や態度をとることも重要であると考えております。
 奉仕活動についてのお尋ねがありました。
 学校における課外活動などの教育活動や社会体験を通じて、児童生徒に奉仕の精神を養い、将来奉仕活動等に参加する意欲や態度を培うことは、社会性や豊かな人間性をはぐくむ観点から、教育上極めて有意義であると考えております。
 いわゆる従軍慰安婦の問題についてのお尋ねでありますが、この問題についての政府の基本的立場は、平成五年八月四日の河野官房長官談話のとおりであり、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であると認識しております。
 いわゆる従軍慰安婦問題に関するお尋ねですが、本件問題を含め、さきの大戦に係る賠償並びに財産及び請求権の問題については、政府としてはサンフランシスコ平和条約等に従って誠実に対応してきており、これら条約等の当事国との間においては法的に解決済みであり、補償を行うことは考えていません。
 しかしながら、政府としては、本件問題は多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとの認識のもと、アジア女性基金の事業に対し最大限の協力を行ってきております。基金はこれまでに百七十名以上の元慰安婦の方々に事業をお届けしており、事業はおおむね順調に進んでおります。
 政府としては、アジア女性基金を通じた取り組みに対し引き続き最大限の協力を行っていくとともに、関係国、地域の関係者の利益を得られるよう努力してまいりたいと考えております。(拍手)

発言情報

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発言者: 森喜朗

speaker_id: 27194

日付: 2000-09-27

院: 参議院

会議名: 本会議