月原茂皓の発言 (本会議)
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○月原茂皓君 私は、森総理の所信表明演説に対して、自由民主党・保守党を代表して質問させていただきます。
初めに、九月十日からの豪雨によってお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げます。また、被害に遭われた皆さん、避難を余儀なくされている三宅島の方々に心からお見舞いを申し上げます。
まず、教育基本法の見直しについてお尋ねいたします。
教育の目的は将来の社会を担う人材を育成することであり、国づくりの基本であります。日本の伝統、文化、歴史に誇りを持ち、家庭を愛し、独立と自律の精神に富む人材を育成することが教育の基本であると我が保守党は考えております。このような立場から、教育の根幹である教育基本法の見直しを強く主張しているところであります。
総理は、四月、教育改革国民会議の冒頭、教育基本法の見直しを含め議論すべき時期に来ている、七月の臨時国会では、教育基本法についても抜本的に見直す必要があると語っておられましたが、今国会の所信表明では、幅広く国民的な議論を深めると、トーンを落としているように見えます。
来年の通常国会を教育改革国会と位置づけるなら、時期を見て、教育の根幹をなす教育基本法についての考え方を吐露して、みずから先頭に立って国民の合意を形成する姿勢こそ大切ではないかと思いますが、総理の御見解をお尋ねいたします。
次に、社会保障の総合的見直しについてお尋ねいたします。
少子高齢化社会を迎え、年金、医療、介護、雇用等、生涯を通じた社会保障の全般について総合的な見直しを進めることは当然のことでありますが、我が国の社会保障の基本は社会保険方式に置くべきであるとの立場をとられています。現在の社会保険方式では給付の切り下げと保険料の引き上げは避けられません。長期的にこれをそのまま維持することは不可能と考えております。
年金一つを見ても、逆進性、保険料未納者の増大などによる空洞化、保険料納入の十数%に達する行政管理運営費など、諸問題は一層深刻になっています。ちなみに主要国の運営費は一%強であります。
基礎年金、高齢者医療、介護について公的負担をふやしていくことが与党の合意であると認識しておりますが、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
次に、公共事業に関してお尋ねいたします。
我が国経済は、小渕前内閣以来、迅速にして大胆な経済政策によって、昨年春ごろを底に、緩やかながらも改善しつつあります。総理は、昨日、七、八合目とおっしゃいましたが、トレンドはよいとしても少し高目の判断ではないでしょうか。
しかし、最近の経済諸指標を見ても、景気はまさに勝負どころ、自律的回復に向けた動きをより確かなものにするためには、四大分野に重点を置いた補正予算の編成は当然のことであると思います。
さて、二十一世紀に入っても活力ある社会を築くためには、社会資本の整備は重要です。しかし、現下の諸情勢は、公共工事の入札・契約手続の透明性、そして競争性の向上等を図り、もって国民の信頼と理解を得て、社会資本の整備を進めることを強く要請されております。これまた公共事業にかかわる負の部分を断つためにも大きな役割を果たすものと考えます。
公共工事の入札・契約手続の適正化を図るための法律案を提出するとのことでありますが、その趣旨及びその対象を含めた内容について建設大臣から簡潔に御説明願いたいと思います。
そして、特殊法人、地方公共団体にも及ぶだけに、その成立、実施に多くの困難が予想されるだけに、保守党党首としての立場を含めて、その決意のほどをあわせてお伺いしたいと思います。
次に、総理が重要課題として取り組んでおられるIT革命への対応についてお尋ねいたします。
日本新生の最も重要な柱にIT戦略、E—ジャパン構想を置き、五年後には我が国を世界情報通信の最先端国家に仕上げると表明されております。沖縄サミットでのIT憲章、また、世界的に注目を集めているインドのバンガロールまで足を運ばれたその総理の並々ならぬ姿勢に私は強い共感を覚えるものであります。
計画を進めるに際し注意しなければならないのは、政府の過剰介入であります。インターネット世界構築の流れと可能性を阻止することになるからであります。民間主導が原則ですが、官民の担う分野を具体的にどのように考えられているのか、総理にお伺いしたいと思います。
一方、高度な情報社会の実現は、同時にハッカーやサイバー攻撃などによる被害、つまり当該社会の負の側面である脆弱性の増大を伴います。国家の重要インフラが脅かされる事態も深刻に懸念されております。
先般の報道によると、米下院政府改革委員会は、米国政府の主要な二十四省庁のコンピューターネットワークについて、ハッカーによる侵入やサイバー攻撃への防御態勢は、不合格であるF評価が六省庁、全体の平均は辛うじて合格のDマイナス評価とのことであります。
情報セキュリティーについて、情報先進国の米国においてさえこのような状況であります。政府がとるべきIT革命への対応は、単に情報通信技術の導入といったハード面のインフラ整備にとどまらず、負の側面、やみの部分への対応である情報セキュリティーの確保について、総理のもとに国家として一元的にしっかりと取り組む体制を整える必要があると思います。
国家による情報セキュリティーの確立には、専門家の確保、脆弱性の評価、官民の研究開発、情報の共有、国家的な組織的体制の構築など、なさなければならないものが多いと思います。このような課題に取り組んで初めて、人々が心の底から安心して暮らせる真の高度情報通信社会が実現するものと考えます。
そこで、政府として、今後、情報セキュリティーの確保に向けてどのように取り組もうとされておるのか、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
次に、行政改革大綱に関連してお尋ねいたします。
来年度の特殊法人の資金調達を見ると、その計画を見ますと、財投計画全般のうち財投機関債によるものはわずかに金額的に二%と極めて低いわけであります。財政投融資制度を改めるに際して、市場評価を通じて財投機関の事業の見直しや効率化を図るとしていましたが、やはり当初から予想されたとおり、大変危惧されたとおりでありまして、絵そらごととなりそうな感じがいたします。
総理は、特殊法人の統廃合、事業内容の検討は、まさに政治の場で判断するほかはないと考えられておられますが、その所信表明の中にも、年内に行政改革大綱を策定すると表明されておりますが、特殊法人の組織の統廃合も含めてそれを対象とされているか、総理の御見解をお伺いしたいと思います。まさに政治が判断すべき問題だと私は思っております。
次に、首都圏機能に関してお尋ねいたします。
首都機能の移転は、平成二年の国会決議により検討が開始されました。政治、行政機能の確立、一極集中の排除、大地震対策などが目的でした。新都市の建設費は十二兆三千億円、公費負担は四兆四千億円という試算も発表されております。首都機能移転の目的はそれなりに評価されるにしても、今日の国、地方の経済財政状況、現首都をリフレッシュすることも比較考量して、保守党は、首都機能の移転について一たん白紙に戻すことを決めました。
判断の大きな要素である財政事情について、平成二年度と十二年度の比較を総理にお答え願いたいと思います。
次に、喫緊の課題である少年法改正についてお尋ねいたします。
青少年犯罪は、凶悪化、低年齢化しております。青少年の健全育成、社会復帰、更生など、より広い見地からの検討は重要であることはもちろんであります。しかし、少年法に限って申し上げれば、与党三党は、事実認定の手続、刑事処分が可能とする年齢の引き下げ、被害者への配慮、保護者責任の明確化、内省を促す審判方式などで合意を見ました。少年法の問題点及びその処理について総理の見解をお伺いしたいと思います。
次に、安全保障についてお尋ねいたします。
近年になり、日本の領海を含む我が国近海において、中国の海洋調査船、情報収集艦の活動が活発化しています。日本政府は、中国側の活動の自制、その意図の確認や海洋調査船の活動について事前通報制度の確立を求めるなど、積極的に対応しております。ともすれば、今までの我が国は相手国の立場に配慮する余り言うべきことを言わない対応に陥りがちでありましたが、こうした言うべきことを言う森政権の対応は、我が国の外交、安全保障を進める上で極めて評価できることと思っております。
一方、朝鮮半島における状況に目を向けますと、南北首脳会談が開催され、これに伴い南北間の関係に進展が見られていますが、我が国との関係について言えば、総理が所信表明演説でも述べられているように、人道上の問題や安全保障上の懸案がまだ残されております。北朝鮮は、すべてに軍事先行の原則に立つ先軍政治方式を標榜し続けております。さらに、最近軍事演習を活発化させているとも伝えられております。軍事的な対峙には特段の変化が見られないのも確かであります。
日朝間の関係改善の努力は、我が国を初め北東アジアの安定のためにも重要であります。しかし、総理、北朝鮮との関係改善を進めるに当たっては、人道上や安全保障上の問題について日本政府の明確な主張をきちんと明らかにしていくことが日朝両国関係をさらに改善していく上では重要なことだと考えております。
こうしたことも踏まえ、北朝鮮との関係改善についてどのようにお考えか、さきの金大中大統領との会談も踏まえて、総理の見解をお伺いしたいと思います。
また、不透明、不確実な国際環境に対応していくためには、引き続き日米安全保障体制の信頼性の向上を図っていくことが重要であると考えます。
船舶検査活動は、昨年の周辺事態安全確保法の審議の際に、別途立法するとの前提で同法案から削除された経緯があります。今般、与党三党合意が成立し、立法化の環境が整ったと考えております。船舶検査活動法案の成立をぜひとも今国会において図るべきだと考えますが、総理の御見解をお伺いします。
最後に、防衛庁の省昇格について御要望申し上げます。
日本の防衛に第一義的責任を持ち、大規模災害、さらにはPKOを初め国際協力に活躍しているのが自衛隊・防衛庁であります。国家の安全保障環境醸成のため、国際交流など積極的に活動し、隊員二十九万、五兆円の予算を執行しているのが自衛隊・防衛庁であります。
残念なことに、このような組織が適時適切に責任ある行動を制約されているのが外局の地位であります。ミニストリーでなくエージェンシーの地位にあるのであります。小渕総理ももうエージェンシーの問題ではなくミニストリーにせぬといかぬなとよく、予算委員会で私がたびたびお尋ねするものですからもう頭にこびりついておりましたが、そのことを少し紹介しておきます。
さて、新しい世紀、来年一月からは改編された中央省庁が活動を開始いたします。国を憂うる人々による署名運動も進んでいると聞いております。防衛庁を省に昇格させるのはこのときをおいてほかにありません。保守党は強くそれを望んでおります。
防衛庁を外局の地位に置くことを喜ぶのはだれか。自国に誇りを持たず、気概もなく、他国の顔色をうかがう、自立性を欠く人々であります。喜ぶのはどこの国か。力の恫喝にひれ伏す弱い日本を望む国家であります。
安定した力を持ってきた内閣総理大臣として、また自由民主党総裁として、防衛庁、省昇格について強いリーダーシップの発揮を期待して、私の代表質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕