平田健二の発言 (本会議)

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○平田健二君 私は、民主党・新緑風会を代表して、さきに行われました大蔵大臣の財政演説について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 森総理、あなたは国民の声が聞こえますか。今や、どの世論調査を見ても、内閣の支持率は軒並み二〇%を切っています。国民は、森内閣に対し、既に不信任を突きつけています。
 以下、森総理に対し、我が国の内閣の信頼をかくも喪失させた諸問題につき質問をいたします。
 かつてライオン宰相と言われた浜口雄幸総理は、宰相たるものがうそをつくということでは国民は一体何を信頼すればいいのかと語ったそうです。しかし、今まさに国民は、森総理がうそをついているのではないかという疑惑を抱いています。言うまでもなく、中川前官房長官が国会における虚偽答弁疑惑により辞任に追い込まれた一件であります。
 党首討論において、我が党の鳩山代表は、中川前官房長官にかかわるさまざまな官邸疑惑について森総理に問いただしました。しかし、森総理は、正面から答えることなく問題をすりかえ、あげくの果てには開き直る始末であります。官邸疑惑はますます深まるばかりでした。本人が辞任したから問題は決着ということで臭いものにふたをするのでは、国民の信頼を取り戻すことなど到底望むことができません。政治家の疑惑は、政治家みずからが政治の場で晴らすべきであります。
 中川前官房長官が覚せい剤に関する警察の捜査情報を漏えいしたと言われる疑惑について、任命権者である森総理みずからが、中川前官房長官の証人喚問を実現させるなどして、政治の場で真相を解明する意思があるかどうか、お伺いをいたします。
 また、数々の不祥事によりこれまた国民の信頼を失った警察についても、中川前官房長官に捜査情報を漏えいしたのではないかという疑惑を持たれています。警察法の改正も重要ですが、こうした疑惑を解明することはもっと重要なことであります。森総理にそのようなお考えがあるのかをお答え願いたい。
 森総理は、著書の中で、「自分のためではなくチームのため、チームメイトのためにプレーをするラグビー精神が、私は好きだ。」と述べています。
 しからば問いたい。果たして森外交は、自分のためだけでなく、国のため、国民のために行われているのか。
 森総理は、英国のブレア首相との会談において、三年前の与党訪朝団と北朝鮮との外交交渉の内幕をみずから暴露するという失策を犯しました。しかも、これが失策だということも理解できず、今まさに日朝交渉が進行中であるというのに、拉致問題にかかわるいわゆる第三国発見方式について、発言を二転三転させております。さらには、与党や外務省があずかり知らぬところで、北朝鮮労働党の金総書記あての親書をなぞの人物に託したともうわさをされています。
 これでは、チームプレーどころか、功を焦った森総理の個人プレーではありませんか。そのために失った国益の大きさを森総理は考えたことがありますか。
 いわゆる第三国発見方式は北朝鮮との外交カードとしてまだ残っているのか、金総書記に対しては親書の形式を問わず本当に何らメッセージを送っていないのか、お答えをいただきたいと思います。
 中小企業や個人事業主を食い物にする財団法人KSDの古関忠男前理事長が、KSDを私物化し横領を働いた疑いで逮捕されました。
 KSDは、百七万人の会員から集めた二百五十億円にも上る巨額の資金を、本業の災害補償事業そっちのけで、古関前理事長の私的な支出や天下り官僚への高額報酬、さらには自民党や自民党政治家への資金提供に流用したと言われております。中でも、自民党村上正邦参議院議員との関係はとりわけ深く、報道によれば、幽霊党員集めやその党費肩がわりも請け負うなど、村上議員の選挙マシンとしての指摘がなされているところであります。KSDの錬金術は、まさに古関前理事長と自民党、労働省や大蔵省などの官僚が一体となって編み出してきたものであり、政官業癒着の象徴と断ぜざるを得ません。
 森総理は、政治の場でKSDの疑惑を解明する意思がありますか、明確にお答えください。
 また、与党が参議院選挙制度の改革を強行したのは、参議院自民党比例区のこのような実態を覆い隠すことが真の目的だったのではないですか、お答えください。
 また、与党の一角をなす保守党の西川太一郎衆議院議員の私設秘書が逮捕されました。これは、銀行の貸し渋りで苦しんでいる中小企業を救済するため、本当に困っている方々のための制度です。困っている人たちのためにあえて保証要件を緩和したことを悪用するなどということは、極めて卑劣な、破廉恥と言うほかはありません。扇建設大臣の保守党党首としてのコメントを求めます。
 次に、今次補正予算の前提となっている景気の現状及び経済対策について伺います。
 このところ鉱工業生産、輸出数量、機械受注等の経済指標を見ておりますと、昨年春以降、既に一年半にわたって景気回復局面が持続しております。GDP統計でも、二年連続の実質プラス成長が確実視されております。消費に弱さが残るものの、IT関連の投資、さらに輸出によって景気は拡大しつつあると考えますが、政府はまず景気の現状についてどのように見ているのか、お伺いをいたします。
 そこで、政府が十月十九日に決定された経済対策について伺います。
 この経済対策は、バブル崩壊以降十三回目の経済対策であり、今回の対策を合わせますと事業規模は総額百三十五兆円になります。それにもかかわらず、我が国経済は本格的な回復に至らないどころか、潜在成長率は八〇年代の四%から現在では二%へ低下してしまいました。百三十五兆円という途方もない額の国民の貴重な税金を投入しながら、我が国経済の活力を奪ってきたのが自民党政権であります。
 一方、欧米諸国は、我が国同様に八〇年代後半にバブルを経験いたしましたが、その後、ほとんど財政を景気対策に用いることなく、主として規制緩和で市場のダイナミズムを引き出すことによって、現在は我が国に比べ極めて良好な経済パフォーマンスと財政状況を維持しています。なぜ我が国だけがこの世紀末の十年を失われた十年としてしまったのか、将来の世代に余りにも過重な負担を残してしまったのか、新世紀を迎えるに当たって真剣な総括と反省が不可欠だと考えます。
 以下、具体的な質問に入りたいと思います。
 今般の経済対策でもEジャパン構想を提唱されています。しかし、肝心の中身がさっぱりわかりません。IT革命の飛躍的推進とは具体的に何を指すのか、明確な国家戦略の中身は何か、この点が欠落していては、国家ビジョンとしては当然のことながら、経済対策としても意味をなさないと考えます。この経済対策の中では年内にIT国家戦略を取りまとめるとされていますが、現段階において森総理御自身はどのようなEジャパン構想を描いておられるのか、伺います。
 第二に、IT普及国民運動について伺います。
 いわゆるIT講習券は、マスコミ等からはばらまきと批判され、また与党内からも反発を買ったために挫折いたしました。IT普及国民運動はこれにかわって打ち出されたもので、主に講習会を中心とする内容になっています。しかし、ここでも光ファイバー敷設と同様、各省が似たような事業をばらばらに打ち上げ、受講予定人数ばかりが水膨れしています。景気対策として実行される以上、着実に目標を達成することが望まれると思いますが、実際の対象者が大幅に減少した一昨年の地域振興券の二の舞を繰り返さない自信はありますか、総理にお伺いをいたします。
 第三は、公共事業についてです。
 与党は総選挙が終了した直後に、私たち民主党が長らく求めてきた公共事業改革を突然唱え出しました。この改革の中身は、公共事業の総量は減らさないの一言からわかるように、全く看板倒れでありますが、この看板倒れの改革さえ反映していないのが今回の経済対策です。整備新幹線には既に今年度公共事業等予備費によって五百六十億円の財源を確保したにもかかわらず、さらに九十億円の上積みを図っています。森総理は、バブル以降繰り返してきた過ちを懲りもせずにまた繰り返そうとするのですか。
 さらに今回の経済対策には問題があります。内容もさることながら、公共事業の実施において重大な難点があります。
 既に地方各自治体において財政状況が危機的な状況にあります。先月、日本経済新聞が行ったアンケート調査では、今回の経済対策に積極的に対応するという都道府県は一つもありませんでした。九月の補正後の都道府県の公共事業予算で見ると、埼玉県の前年同期比マイナス二〇%を筆頭に、香川、宮城、高知と軒並み二けた減となっています。このような状況の中で、さらに公共事業の上積みを求めたところで、本当に政府が想定するような事業規模が確保できるのか、その結果として本当に政府が掲げる経済対策の効果が望めるのか、総理に見解を伺います。
 第四は、住宅金融対策です。
 対策では、住宅金融公庫の事業費十一兆一千六百億円、融資戸数五十五万戸に対し、事業費で一兆円、融資戸数を五万戸上乗せすることにしています。昨年の経済対策においても融資戸数で十万戸の上乗せをいたしました。結果的には融資戸数の増加が五万戸にとどまり、この実績に応じた上積みをした格好になっております。
 しかし、住宅購入をめぐる状況は昨年よりも悪化をしております。住宅建設着工戸数は本年度上半期で見ると一・七%減となっており、また住宅金融公庫の個人向け融資の第二回募集分は前年同期比で四〇%と激減をしております。加えて、現在の状況で考える限り、住宅ローン減税の効果が落ちることは明らかです。
 このような状況の中でも、なお前回並み五万戸の上積みを達成するだけの根拠があるのか、あるいはこの措置は事業規模を確保するための見せかけなのか、総理の答弁を求めます。
 次に、財政について伺います。
 今や、景気の足取りは重いものの、回復基調にあることは政府も認めているところであります。これ以上安易に旧来型公共事業などの追加的な財政出動に頼って景気対策を行うことは、我が国の経済構造改革をおくらせたり、長期金利上昇など、かえって悪い結果を招きかねません。今日、我が国の財政状況が危機的な状況にあることは今さら説明するまでもありません。
 そこで伺います。
 宮澤大蔵大臣は、今春以来、大型補正は必要ないと再三言っておりましたが、今回の五兆円弱の補正予算の提出についてどのようにお考えですか。一体いつまで公共事業中心の補正予算を組み、借金財政を続けていくつもりですか、お伺いをいたします。
 第二は、補正予算の中身についてであります。
 今回の補正予算に関連して提出された平成十一年度剰余金処理に関する特例法案によって約五千億円の財源が生み出されておりますが、これは前年度剰余金の最低二分の一を国債償還に充てなければならないという財政法の原則をねじ曲げるものであり、国債残高が国民だけでなく世界の人々まで不安に陥れているこの時期に、このような措置を行うことは全く信じられません。
 そこで、総理にお伺いをいたします。
 我が国最大のモラルハザードを起こしているとも思える我が国の財政状況について、総理はどのように考えておりますか。仮に危機感をお持ちであるとしたら、今回の国債償還に充当すべき剰余金をなぜ歳出に振り向けたのですか、お伺いをいたします。
 第三は、公共事業の裏負担のための地方債が今回も約九千億円発行され、その元利償還費用の地方交付税算入措置がなされている点についてであります。
 近年、政府は厳しい財政状況に直面する自治体を経済対策につき合わせるためにこの措置を活用してきました。これは、直接的な財政負担が見えないために、当座の対策としては活用しやすく、ここでもモラルハザードを生じていたと考えられます。その結果として、基準財政需要額が拡大し、当然に地方交付税総額が膨らみました。本年度で見ると、地方交付税の財源である法定五税の繰入額と必要な交付税額の差は八兆円という悲劇的な数字となっております。
 今まで行ってきた地方債元利償還の地方交付税算入措置によって将来的にどの程度地方交付税財政を圧迫するのか、この措置の対象となっている地方債残高が一体幾らあり、そして、その結果として毎年度幾ら地方交付税に算入されていくのか、具体的な数字を自治大臣にお伺いをいたします。
 次に、税制改正をめぐる論議について伺います。
 このところ、与党内での来年度税制改正の議論が連日のように新聞に報じられております。
 まず、来年度からの株式譲渡益課税の申告分離方式一本化について伺います。
 株式投資家を優遇する不公平税制ということで既に決定されておりますが、政府・与党内では源泉分離課税を存続させる方向で議論されているということではありませんか。昨年度税制改正で既に廃止が決まっている源泉分離課税を存続させることは朝令暮改ではありませんか、大蔵大臣の所見をお聞かせください。
 第二は、無利子国債の議論です。
 国債の円滑な消化のために相続税をまけてやるという考え自体、本末転倒もいいところであり、累進相続税を実質的に放棄するに等しい金持ち優遇の愚策と言わざるを得ません。七千億円の国会対策費とやゆされ、結果的に何の景気対策にもならなかった地域振興券に匹敵するか、それ以上の驚くべきモラルハザード、まさに何でもありの典型と考えますが、大蔵大臣はどのようにお考えですか。
 以上、補正予算に関連し、森内閣の政治基本及び経済政策全般にわたり質問をいたしてまいりましたが、今や森内閣に対する国民の信頼は地に落ち、また経済政策も失敗と言わざるを得ません。御自身の足元である自民党内からでさえ不信任を突きつけられているぶざまな実態であります。それでも森総理は、小渕総理のときは支持率が低くても支持してくれたのに、なぜ自分のときはだめなんだ、権力闘争をしているから支持率が下がると支持率の低さを加藤氏とマスコミのせいにしております。失策を失策として認識できず、支持率の低さも分析できないこの分析能力は絶望的と言わざるを得ません。現状認識ができず、改善はあり得ません。
 総理、この上は、総理の座右の銘である滅私奉公を実践し、私を滅し、公のためにできる唯一の行為である森内閣の速やかな退陣を強く要求し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 115015254X01020001114_002

発言者: 平田健二

speaker_id: 3710

日付: 2000-11-14

院: 参議院

会議名: 本会議