森喜朗の発言 (本会議)
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○国務大臣(森喜朗君) 雇用の改善や個人消費回復のため、経済対策において的確な対策をとるべきという御指摘がございました。
我が国経済は緩やかな改善を続けておりますが、雇用情勢は幾分改善したもののなお厳しく、消費の動向も一進一退の状況にあります。そのため、今回の日本新生のための新発展政策においては、IT革命の推進、環境対応、高齢化対応、都市基盤整備の四分野に重点を置くとともに、生活基盤、防災のための施策や中小企業等金融対策、住宅金融対策等、国民生活に直結した分野を織り込んでおります。特に、雇用対策といたしましては、働く人すべてのIT化対応を目指したITに係る多様な職業能力習得機会の確保、提供などの施策に取り組むことといたしております。
これらの諸施策によりまして、有効需要が創出され、国民の購買力向上につながるものとともに、雇用の改善にも資するものと考えております。
従来のばらまきを引き継いだ新発展政策と補正予算では、日本経済のゆがみを一層拡大させるのではないかという御指摘でありました。
今回の日本新生のための新発展政策は、規制改革などの法制度の整備、二十一世紀の新たな発展基盤の整備など、時代を先取りした経済構造改革を推進する包括的な政策であります。
また、補正予算におきましては、先ほども申し上げましたように、IT革命の推進、環境対応、高齢化対応、都市基盤整備の重要四分野に社会資本整備の三分の二以上を集中させるとともに、IT基礎技能講習、災害対策、中小企業等金融対策、住宅金融・雇用対策等の必要な措置を織り込んだところであります。
これらの諸施策を強力に推進することにより、景気を自律的な回復軌道に乗せるとともに、我が国経済を二十一世紀にふさわしい構造に改革するよう取り組んでまいりたいと考えております。
補正予算の公共事業費の内容についてお尋ねがありました。
今回の補正予算により追加される公共事業につきましては、二十一世紀の我が国発展基盤の構築に向け、IT革命の推進、都市基盤の整備など、日本新生プランの具体化策を中心としつつ、緊急に必要な生活基盤の充実、防災対策のための施策を重点的に措置したところであります。
例えば空港、港湾、道路等につきましても、こうした趣旨を踏まえ、IT革命の推進を図るための道路等管理用光ファイバー網収容空間の整備、都市機能の向上を図るための大都市圏拠点空港、中枢・中核港湾の整備、交通渋滞を解消し、地域間の交流、連携の促進に資するバイパス等の整備といった事業を中心とし、事業効果が高いと見込まれるものにつき重点的に予算措置を講じているところでありまして、従来型の公共事業の看板をかえただけといった御批判は当たらないものと考えております。
光ファイバー網についてのお尋ねがありました。
五年後には我が国を世界の情報通信の最先端国家に仕上げていくため、超高速インターネットを整備する上で重要なインフラとなる光ファイバー網について、政府目標である二〇〇五年の全国整備に向け、引き続き整備を推進することが必要と考えております。
また、光ファイバーの効率的な利用が進むよう、今後とも、より低廉な料金の実現や大容量コンテンツの普及発展を図るための環境整備にも積極的に取り組んでまいります。
大企業の収益が改善している中での雇用や賃金についてのお尋ねでありますが、一般に雇用や賃金の回復は景気の回復におくれる傾向もあり、雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。ただし、このところ雇用者数が前年に比べ増加しており、また、賃金についても夏季賞与が増加に転ずるなど、雇用や賃金についても改善の動きが見られるところであります。
企業のリストラの規制、労働時間短縮、サービス残業の規制についてのお尋ねがありました。
リストラに伴う解雇については、裁判例の考え方を踏まえ、労使間で十分に話し合われるべきものであり、一律に規制することは適切でないと考えております。また、労働時間の短縮については、週四十時間労働制の遵守の徹底や長時間残業の抑制、年次有給休暇の取得促進に努め、その短縮を図ってまいります。さらに、サービス残業につきましては、監督指導等を実施し、労働基準法違反の是正に取り組んでまいります。
国民に負担増を強いる社会保障政策はやめるべきとのお尋ねがありました。
今回の健康保険法等の改正は、医療保険制度を持続可能な安定的な制度とするための抜本改革の第一歩として行うものであります。高齢者の定率一割負担制の導入に当たっても、高齢者の負担に上限を設けるなど、現行制度とほぼ同水準の負担といたしております。
また、介護保険制度は、介護の必要な高齢者を支援するとともに、家族の負担を軽減するため、良質な介護サービスの提供を目指すものであり、その保険料負担についても、低所得者の方の負担が過大にならないよう十分配慮しているところであります。
いずれにせよ、これらの制度においては、国民の負担に支えられつつ、国民が安心して質のよい医療、介護といったサービスや必要な給付が受けられることが重要であることを御理解いただきたいと存じます。
財政事情の認識及び今回の補正予算における剰余金の処理についてお尋ねがありました。
我が国の財政事情は、平成十二年度末の国、地方を合わせた長期債務残高が六百四十兆円を超えるなど、極めて厳しい状況にあると認識いたしております。このため、今般提出した補正予算の編成に当たっては、平成十一年度の剰余金について、金融環境の変化や国債をめぐる諸情勢等を総合的に勘案し、国債発行額を極力抑制するとの観点から、臨時異例の措置として財政法の特例を設け、その全額を一般財源に充当することとしたものであります。
なお、国債の発行に当たっては、今後とも、市場のニーズ、動向等を踏まえ、償還年限別の発行額を適切に設定することなどによって円滑かつ確実な消化を図ってまいります。
また、医療、介護保険対策などの分野につきましては、今回の補正予算においても高齢化対策、雇用対策等の施策の充実を図ったところでありますが、いずれにせよ、今後の少子高齢化の進行や雇用情勢の変化に的確に対応しつつ、生涯を安心して暮らせる社会を築くため、将来にわたり持続可能で安定的、効率的な制度を構築してまいりたいと考えております。
財政再建の展望を示すことが景気対策として重要との御指摘がありました。
我が国の財政は厳しい状況にあり、財政構造改革は必ずなし遂げなければならない課題でありますが、まずは経済を自律的な回復軌道に乗せるため、景気回復に軸足を置いた経済・財政運営を行っていくことといたしております。
同時に、財政が将来も持続可能な仕組みをつくり上げるための準備を今から始めるとの観点から、財政の透明性の確保を図り、効率化と質的改善を進めながら、我が国の景気回復をより確かなものとし、その上で、財政構造改革については、税制のあり方、社会保障のあり方、さらには中央と地方との関係まで幅広く視野に入れて取り組んでまいりたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕