手島典男の発言 (憲法調査会)

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○手島典男君 手島でございます。
 御要請によりまして、意見を述べさせていただきます。
 衆議院の事務当局の方からいろいろな資料等をちょうだいいたしました。どこまで理解できたかわかりませんが、その中で私が一番関心を持ちましたのは、先ほどもちょっと御紹介ございましたが、衆議院の欧州各国調査団の報告書でございます。特に、各国の戦後における憲法改正の回数が非常に多い。例えば、ドイツは四十六回ということでございますが、これは私もそうでございますが、私どもの周りでも、こんなに多いということを知っていた人はほとんどおりませんでした。
 ドイツを例にとりまして、なぜこんなに多かったのだろうかということをちょっと調べてみますと、やはり再軍備、徴兵制の問題、災害などの緊急事態あるいは外部から侵略された場合の防衛事態に対する対処、それから東西のドイツ統合、EU統合という内外の大きな事件に対応するために改正されたということでございます。そのほかに、日本と違いまして、ドイツの場合は、州と連邦とから成り立っておりまして、州の力が非常に強いものでございますから、州と連邦との利害調整に問題が起きたときに、その都度改正しておったという結果が、四十六回という数字になったのだそうでございます。
 これは、向こうの専門家によりますと、国家を現実に適合させる必要があったためというふうに要約して言っておられます。
 そのほか、スイス、イタリア、フランス、いろいろございますが、スイスのごときも、昨年の全面改正で、最新の問題、遺伝子技術の乱用防止まで入れておる。世の中がどんどん変わっているので、これからも、今まで以上のペースで憲法を改正することもあるのだということを申していらっしゃるようです。
 こういうふうにきめ細かく改正を続けているということになると、初めて、憲法が我々の生活に直結した非常に関係の深いものであるということが国民の方に認識されるのではないかなということを感じた次第であります。
 なお、この報告書の中に一部ございました、ローマ史を研究されている御婦人の作家の塩野七生さんが、ローマ法は、法に人間を合わせるのでなく、人間に法を合わせるのが特徴だ、憲法の場合もしばしば変わる可能性を持った方がよいという趣旨の発言をなさっておられました。そして、改憲がしやすいように、改憲のハードルを少し下げたらどうだという御提案をなさっていらっしゃいます。
 一方、我々の憲法について顧みますと、現憲法の国民主権、平和主義・民主主義、基本的人権の尊重という三つは、非常に高く評価され、今後とも堅持されるべき大原則だと存じますが、一方で、法制定から五十年も経過しまして、内外の状況は大きな変化を遂げております。
 私ども、特にビジネスに当たっている人間から見まして検討してほしいと思われる点を述べます。
 例えば、戦争放棄という現行の理想に加えまして、現在も大量殺傷兵器の問題が大分出ておりますので、この廃絶を一歩進んで訴えるとともに、やはり自衛権を明記すべきではないか、そのための組織。
 それから、先ほどドイツでもございましたが、有事の際の危機管理、緊急事態に備えるための危機管理の原則を明文化すべきである。これは、いかなる企業もすべてこういうものを中で持っております。国がそういうものを持たない方がおかしいというふうに考えております。
 それから、国際機関の行う平和維持、人道支援活動のために公務員や自衛隊の一部を派遣する場合があること、これは既にPKOで実施されておりますが、こういうことも明記すべきではないだろうか。
 それから、プライバシーの保護、地球環境権規定の新設、これは最近の新しい各国の憲法ではほとんど入っておるというふうに理解しております。
 それから、総理大臣のリーダーシップを強化して、重要課題に迅速、機動的に対応できるようにする。要するに、各省庁の縦割り行政を打破してこういうことをやっていただきたい。
 それから、地方分権でございますが、現在の憲法では地方自治の本旨ということが書いてあるだけでありまして、この本旨というのが何なのか、中央集権と対峙する地方分権という思想がもうちょっと明確に出てもよろしいのではないか。
 それから、いろいろな法律問題について、憲法裁判所、これはヨーロッパ等で出ておりますが、検討されるべきではないだろうか。
 最後に、憲法改正規定の条件緩和、これは塩野さんがおっしゃったとおりでございまして、両議院の三分の二以上の賛成、発議、それで国民に提案して過半数の賛成を得るという条件がシビア過ぎるのではないか、これで結局改正をヘジテートしてしまうんではないだろうかということが考えられます。
 以上申し上げたどれが一体緊急なのかということは、これは私ども順番に申し上げただけでございますが、国会の中でぜひ御検討いただきまして改正の手続に入っていただいてはどうでしょうか。すべてを完璧に直そうとしますとまた膨大な年月がかかりまして、先ほどのスイスの全面改正も三十年かかったと言っておられますが、これではまた時代がすっかり変わってしまいますので、とにかく急ぐものにターゲットを絞って、コンセンサスを得やすいものに絞って改正をする、そういう実績をつくることが重要であると考える次第でございます。
 以上で終わります。

発言情報

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発言者: 手島典男

speaker_id: 15500

日付: 2001-04-26

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会