齋藤孝子の発言 (憲法調査会)

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○齋藤孝子君 私はふだんスーパーマーケットでパートとして働いています。そして、月に一度、みやぎ生協の平和活動委員会でみやぎ生協のメンバーたちと平和について考え、学習し、活動しています。今回のこの公聴会のことは、みやぎ生協の方から声をかけられ応募しました。応募のときの原稿を読みたいと思います。
    憲法について思うこと
  私が日ごろ憲法について感じていることは、日本において憲法は実際のところ守られていないんじゃないかということです。男女平等といっても、仕事や家庭、社会通念においても平等ではないと感じています。個人レベルで改善される問題はあると思いますが。
  三月十日の新聞に掲載されていた記事で、広島の高校の卒業式での話ですが、君が代斉唱の最中に男性教諭の一人が着席したままだったことについて、校長が翌日の職員朝礼で、辞表を書いてもらいたいと発言したそうです。この男性教諭は、これまで自分は日の丸・君が代を強制することの問題点を生徒に話してきた、それに反するような行動をとることができなかったと言っていたそうです。どちらに非があるのでしょうか。こういう教師こそが憲法で守られるべきだと思いました。
  教師や国が、個性を伸ばし、自分の考えを表現できる人間を育てると言っても、教育委員会や校長がこのような実態であれば、個性的で自分の考えを自由に表現でき、創造性に富む人間が育成されるとは思えません。誠実な人間が処分され、心の中でどう思おうとも教育委員会や校長の言うことを聞く人間が優遇されていくのを見て育てば、社会や子供たちの心が荒れていくのは当然のような気がします。
  やるべきことは、今憲法を変えることではなく、たくさんの犠牲を払って生まれてきた憲法を誠実に守ることだと思います。特に憲法九条を。
  日本は、明治以来、富国強兵政策のもと、たくさんの戦争をしてきました。その結果、甚大な被害を出し、近隣諸国へ多大な迷惑をかけてきました。戦争はアジア太平洋戦争で最後だとしてきたはずです。当時、国民は戦争なんてもう懲り懲りだと思ってきたはずです。私たちは戦争の加害者にも被害者にもなりたくありません。
  憲法は時代に合っていないということはありません。憲法は、これから先、より誠実に生かして、守っていくべきだと思います。
というようなものでした。
 さて、今、憲法はアメリカの占領軍に押しつけられたものだからよくない、日本独自の、日本文化を大事にし、日本を誇りに思えるような、そして今の時代に合った憲法をと言っていますが、そういうことよりも、なぜ日本にこのような憲法が生まれたのかということをもっと考えた方がいいと思います。
 去年の五月、私たちのみやぎ生協平和活動委員会では、新しいメンバーを迎え、ことしはどんな学習をしていきたいかと話し合ったときに、森首相の神の国発言がありました。そのとき、メンバーは、なぜ日本はいつもこうなのか、また、なぜいつも大臣の失言が続くのかという発言が出されました。そして、日本はなぜアジアの国々からいつも謝ってほしいとか補償をしてほしいということを言われ続けるのかということが話題になりました。
 現在の日本がこうなのは、日本の戦後の歩みに問題があるのではないか、日本が戦後処理というものをきちんとしていないからではないかということになりました。日本の戦後を理解するためには、日本がしてきた戦争というものをわかっていないとだめだろうということで、満州事変から敗戦までをメンバーみんなで学習してきました。このとき教えてくださったのは元中学の社会の先生でした。
 学習するに当たって気がついたことは、私たちはまともに近現代史を義務教育の中で、あるいは高校で学習した記憶がないということでした。江戸時代、明治はそれなりの時間をとるのですが、大正、昭和になると、三学期の慌ただしい中、超スピードで進み、あっという間に戦争が始まり、そして終わり、新しい憲法ができて、国際連合に入り、日本は国際社会の仲間入りをして一安心というところで終わった気がします。だから、戦争というものを根っこの部分で理解しないままこの年まで来てしまったという感じがあります。
 今、新しい歴史教科書をつくる会主導の教科書が文部科学省の検定を通りました。中国や韓国を初めとするアジア諸国から非難を浴びています。歴史の事実を変えることはできません。私たちは歴史の事実に学び、反省し、二度と同じ間違いをしないようにしなければなりません。二十一世紀を担う子供たちには歴史の事実が書かれた教科書を使ってほしいのです。そして、その教科書で、今を左右する近現代史の部分を、戦争の歴史を、時間をかけて、ゆっくりと、わかるように学ばせてほしいし、学んでほしいと思っています。
 近現代史を勉強すると、なぜ日本に日本国憲法ができたのかということの事情が非常によくわかります。日本国憲法は、日本が長年してきた戦争を反省する上に立ったものであり、日本国憲法は、日本国民が、庶民が待ち望んでいたものであり、革命的な憲法であったと思います。憲法のおかげで私たちは五十五年間戦争をしないで済みました。憲法のおかげで夫や子供は徴兵されずに済みました。憲法のおかげで私たちは自由に物が言え、安心して暮らすことができました。私たち日本国民は、日本国憲法前文どおりに、恒久の平和を念願しています。そして、平和のうちに生存できる権利があるはずだと信じています。
 去年の十一月、私は、全国の生協のメンバーの人たちと沖縄の戦跡と基地を見学してきました。そして、嘉手納基地周辺に住んでいるメンバーさんから、騒音による被害の話などを聞いてきました。四月一日、アメリカの軍用機はここの嘉手納基地から飛び立ち、中国の軍用機と接触事故を起こしました。沖縄の人たちはとても怖い思いをしたことでしょう。沖縄の人たちにも平和に暮らせる権利があるはずです。
 私としては、日本国憲法には手をつけてほしくないです。もし時代に合わないところがあるというのなら、法律をつくって賄えばいいと思います。日本国憲法に手をつけられるのは非常に怖いです。憲法九条はずたずたですが、それでもきっと日本国憲法でしょう。憲法に一度手をつければ、一つが二つへ、二つが三つへと変えられていくでしょう。そして、それは日本国憲法ではなくなってしまうでしょう。
 消費税にしても、猛反対の中導入され、三%が五%へと簡単に変えられてしまいました。さきの日の丸・君が代だって、初めは強制しないと言っていたものが、今では強制むき出しです。国民性なのか人間性なのかわかりませんが、一つ崩れると、なし崩し現象というか、拡大解釈がまかり通ったり、何でも先回りしてしまう怖さが日本にはあると思います。
 ある新聞に、憲法調査会の議論が改憲論に流れつつあると書いてありましたが、だれがそういう流れにしているのでしょうか。憲法調査会ではなぜそんなに急いで憲法を変えたがっているのでしょう。どうか、すぐに結論を出さずに、憲法調査会の中だけで議論をせずに、広く行ってください。また、すべての情報を公開し、すべての国民が、今憲法調査会の中で何が行われているのか、どんな意見が出されているのかを知ることができるようにしてほしいと思います。そして、国民も意見が言えて、その意見を酌み取ってほしいと思います。
 最後に、憲法調査会はくれぐれも慎重に審議を重ねてほしいと思います。そして、私たちももう一度憲法を読み直してみましょう。私たちは恒久の平和を念願しています。日本国憲法は世界に誇れるすばらしい憲法だと思います。私たちはこの憲法を、二十一世紀の子供たちのために、世界の人々のために、私たちのために、大事に扱い、残していきたいと思っています。
 終わります。

発言情報

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発言者: 齋藤孝子

speaker_id: 6179

日付: 2001-04-26

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会