森喜朗の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(森喜朗君) インドの大地震につきまして、冒頭、御発言がございました。
この地震による多大な被害は大変痛ましいものでありまして、日本政府といたしましても、一億円強の無償資金及び物資援助、国際緊急援助隊医療チーム及び自衛隊部隊の派遣といった、これまでに行いました支援に加えまして、本日、新たに二億四千百五十万円の追加的な無償資金援助を行うことを決定いたしました。政府としては、今後も、被害の状況を踏まえつつ、当面の緊急援助とともに、将来のあり得べき復興支援を視野に入れ、さらに必要な支援を積極的に行っていきたいと考えております。(拍手)
有明海のノリの被害に関するお尋ねがありました。
有明海のノリの被害に関し、保守党では早々に有明海ノリ等漁業被害調査対策本部を立ち上げられ、一月二十六日には与党三党幹事長等が現地の視察に出向かれ、その際、特にこの地域に詳しい野田幹事長のリードで調査を進められたと伺い、感謝を申し上げております。
政府といたしましても、原因究明のため、まず、緊急調査を行い、その結果を三月末をめどに暫定的に取りまとめますとともに、十三年度からは、有明海の海域環境やノリの不作原因の究明を目的とした総合的な調査を実施し、遅くとも九月末をめどに可能な限り早く中間取りまとめを行い、それらの結果を公表いたしたいと考えております。
被害者に対する支援につきましては、貸付金の償還猶予等を関係機関に指導するとともに、農林漁業金融公庫の漁業災害向け資金について、地元自治体との協力による貸付利率の無利子化、貸付限度額の引き上げ等の措置を講ずることを決定いたしたところであります。
また、有明海の再生につきましては、原因究明調査や経営対策と並行して、漁業者の皆さんが将来に展望が持てるよう、良好な漁場環境づくりを進めるなど、豊かな有明海をよみがえらせるための総合的な対策を計画的に進めることについて検討をいたしてまいります。
新しい憲法の制定についてお尋ねいただきました。
憲法の基本理念である民主主義、平和主義及び基本的人権の尊重は、憲法が制定されてから今日に至るまでの間、一貫して国民から広く支持されてきたものであり、将来においてもこれを堅持すべきものと考えております。
一方、憲法第九十六条は憲法の改正手続を規定しており、憲法が永久不変のものとは考えておりません。また、憲法をめぐる議論が行われること自体は何ら制約されるべきものでないことは言うまでもありません。しかしながら、国の基本法である憲法の改正については、世論の成熟を見定めるなど、慎重な配慮を要するものであると考えております。
憲法に関する問題につきましては、これまでも各方面からさまざまな意見が出されております。特に、第百四十七国会から衆参両議院に憲法調査会が設置され、将来の我が国の基本的あり方を見据えて、参考人の意見聴取や欧州各国の事情調査等が行われ、幅広く熱心な議論がなされているところであり、これを十分見守ってまいりたいと考えております。
教育基本法についてお尋ねがありました。
教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、人間としてのルールを身につけた、創造性豊かな立派な人間を育てるためには、制定以来半世紀を経た教育基本法の抜本的見直しなど、教育の根本にさかのぼった改革を進めていく必要があると考えております。
先般の教育改革国民会議の最終報告においては、新しい時代の教育基本法を考える際の観点として、新しい時代を生きる日本人の育成、伝統、文化など次代に継承すべきものの尊重、教育振興基本計画の策定等を規定することの三点が示されているところであります。
私としては、教育基本法の見直しについては、教育改革国民会議の最終報告を踏まえ、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を上げたいと考えております。
目標年次を定めて構造改革のスピードを加速すべきとの御指摘がありました。
経済のグローバル化、IT革命の推進、少子高齢化など環境が激変する中で、二十一世紀の新しい日本を切り開いていくためには、我が国の経済社会全体の抜本的な構造改革の推進が急務であり、私としても、日本新生に向け、改革への取り組みをスピード感を持って進めているところであります。
議員御指摘のとおり、こうした困難な改革を進めていくためには、目標年次を定めるなど適切な進行管理をしつつ、強力に進めていくことが重要であると考えております。
私としても、施政方針演説において、できるだけ取り組みのスケジュールを明示するように努めたところであり、例えば、行政改革については、平成十七年までを集中改革期間としているほか、規制改革についても、三カ年計画を策定してこれに取り組むこととしております。また、IT革命の推進についても、五年以内に世界最先端のIT国家を目指すべく、具体的なアクションプランを三月末をめどに策定いたします。
さらに、御指摘いただきましたその他の重要な改革についても、分野ごとに具体的な進め方に違いは生ずるものの、基本的には同様の考え方で取り組んでいきたいと考えます。
いずれにせよ、改革の推進には政治の安定が不可欠であります。今後とも、連立与党の連携を強化し、新しい世紀を希望に満ちあふれたものにすべく大胆な構造改革に取り組んでまいる決意であります。
有事法制の検討を断固としてやり遂げるべきとのお尋ねでありました。
国民の生命財産を守ることは政治の崇高な使命であり、政府としては、我が国の危機管理体制を一層強固なものとして遺漏なきを期すため、これまで種々の対応を行ってまいりました。かかる観点から、有事法制は、自衛隊が文民統制のもとで国家国民の安全を確保するために必要であり、平時においてこそ備えておくべきものであります。
このため、政府としては、昨年の与党の考え方を十分に受けとめ、検討を開始していくことといたしました。今後、国家国民の安全を確保していくため、どのような法制が必要か、また、どのような枠組みで取り組むべきか等について、所要の検討を進めてまいる所存であります。
緊急事態への即応体制の整備についてお尋ねがございました。
関係省庁間で緊密な連携を確保することの重要性は御指摘のとおりであります。沿岸・重要施設の警備等に関しましては、能登半島沖不審船事案の教訓も踏まえて、内閣官房を中心に関係省庁による検討会を継続的に開催し、さまざまな事態を想定してマニュアルの整備等に取り組んでいるところであります。また、海上保安庁と海上自衛隊の間では、不審船に係る共同対処マニュアルを策定するとともに、共同訓練を行ってきております。さらに、自衛隊と警察の間では、昨年十二月、武装工作員等による不法行為等の事案にも対処し得るよう、治安出動に関する協定を見直したところでもあります。
今後とも、関係省庁間で緊密な連携をとりつつ、緊急事態への対応体制の充実に努めてまいる所存であります。
刑罰のあり方について御質問をいただきました。
罪に対する刑罰は、その罪の罪質や他の罪の刑との均衡等、種々の観点から総合考慮した上で決められるべきものであり、事案の内容に応じて適切な刑罰を科し得るものでなければならないと考えており、法務省において、現行の刑罰制度及びその運用状況について調査分析を行うなどいたしておるところであります。
他方、犯罪被害者やその家族の方々への配慮については、政府に犯罪被害者対策関係省庁連絡会議を設置し、既に一定の施策を講じ、さらに行うべき施策を検討しているところであります。
また、精神障害等を原因とする犯罪への対策について御質問をいただきましたが、責任の程度に応じて刑事上の処分が行われるべきであるのは当然なことでありますが、このような犯罪の発生は、その被害者にとっても、また、精神障害によって加害者となった者にとっても極めて不幸な事態であります。この問題につきましては、現在、法務省及び厚生労働省の合同検討会などにおいて、幅広い観点から検討を進めているところであります。
飲酒運転により相手方を死亡させた場合について厳罰化を検討すべきではないかとのお尋ねがありました。
近時、飲酒等を伴う悪質、重大な業務上過失致死傷事件が後を絶たず、被害者の皆様やその御遺族を中心に、その量刑や法定刑についてさまざまな指摘がなされていることを承知いたしております。悪質な運転により人を死亡させた事犯の刑のあり方については、このような御指摘も踏まえ、関係当局において早期に結論を得るよう鋭意検討中であります。
ストーカーやピッキングなどの未然防止のための警察の取り組み姿勢についてのお尋ねがありました。
ストーカーやピッキング等の国民の身近に発生する犯罪の検挙はもとより、その発生を未然に防止し、国民生活の安全を守っていくことは政府の責務であり、議員御指摘のとおり、積極的に取り組んでいかなければならないものと認識しております。
警察におきましても、民事不介入についての誤った認識の払拭や、現下の厳しい治安情勢に的確に対処するための人的基盤の強化に努めるとともに、被害者の立場に立ったストーカー対策の推進、犯罪被害に遭いにくい町づくり等の犯罪の未然防止のための諸対策に取り組んでいるものと承知をいたしております。我が国の良好な治安を維持し、国民生活の安全を確保していくため、犯罪の未然防止対策を一層強力に推進していく所存であります。
社会保障についてのお尋ねがありました。
社会保障については、急速に少子高齢化が進行する中で、生涯を安心して暮らせる社会を築くため、持続的、安定的で効率的な制度を構築していくことが必要となっており、先般発足いたしました政府・与党社会保障改革協議会において、関連する諸制度の検討を含め、総合的、包括的な改革に取り組んでまいります。
今後さらに増大が見込まれる社会保障の費用をいかに賄うかについては、御指摘の消費税を初め、全額税で賄うとの御意見がありますが、先般の有識者会議の報告書においては、国民年金について未納、未加入の問題が生じないこと、専業主婦が保険料負担をしないことが不公平とされる問題が解消する等の長所がある一方、社会的リスクに事前に備えるという考え方に逆行する、給付の水準や対象者が限定される可能性がある、巨額化していく税負担について国民の合意を得られないおそれがある等の問題があると指摘をされているところであります。
こうしたことから、社会保障制度の財政方式としては、私としては、自己責任の原則に立った社会保険方式を基本に、保険料と公費を組み合わせることにより、安定的な財源の確保に努めなければならないと考えております。
最後に、KSD問題に関連し、総理・総裁としての責任や疑惑解明についての言及がありました。
これまでも申し上げておりますとおり、今回のKSDをめぐる事件は、国民の政治への信頼を損なうものであり、公党として国民に心からおわびを申し上げますとともに、連立与党である保守党に対しましても御迷惑をおかけし、大変申しわけなく存じております。
本件については、今後、司法当局の捜査により、徹底的に真相究明が行われ、国民の前に真相が明らかにされていくものと考えておりますが、自民党としても、調査すべき点は調査し、真相究明に全面的に協力してまいる所存であります。
また、御指摘のとおり、疑惑を受けた政治家はみずからその疑惑について釈明していく努力を払うべきものと考えております。
さらに、真相究明を待つことなく、今回の事件を教訓として、自民党内の仕組みについても見直すべきものは率先して見直すとともに、公益法人についても、改革のスピードを速め、一段と厳正な指導監督に努めてまいりたいと考えております。
私としては、こうした一連の取り組みにより、今回の事件が再び起こらないよう、政治の信頼回復に全力を尽くしてまいる所存であります。(拍手)