福島瑞穂の発言 (憲法調査会)
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○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
アメリカの視察をされた方々の報告は、本当にありがとうございました。大変示唆に富むもので、大変ありがとうございました。
私は、きょう、二つのことを申し上げたいというふうに思っております。
まず初めに申し上げたいことは憲法九条の意義です。憲法九条とアメリカの原子力潜水艦の事故の問題について、まず述べたいと思います。
宇和島のえひめ丸がアメリカの原子力潜水艦によって沈められた事件は、すべての日本の人たちにとっても大変ショッキングなものだったと思います。私は、これは軍隊の人命の軽視のケースというふうに考えています。
デモンストレーション用に民間人がハンドルを握り、デモンストレーションとして急浮上したと報道がなされました。これは本当にそのとおりだとすれば、軍拡にあえぐアメリカの軍隊がやはり非常に先走りをして人命を軽視したというふうに言わざるを得ません。
アメリカの原子力潜水艦は、皆さんも御存じのとおり、最先端の科学技術を集めた非常に性能のいいものです。音波により何か物体があることを把握しているわけですから、恐らく望遠鏡によっても確認をしたものと思われます。
これは私の想像ですが、びっくりさせて、日本、まあ漁船をびっくりさせるだけが目的で急浮上した結果、もしかしたらハンドル操作を誤りぶつかってしまったということもあるかもしれません。
今は冷戦構造が崩壊し、軍縮に世界は向かっております。ヨーロッパの多くの国はもう軍縮に向かっています。アメリカはその軍縮に抵抗するために、例えば軍隊がこういう民間人を入れてデモンストレーションをすることで理解を得ようということは広く知られていることです。日本においても、例えば厚木基地の上で基地開放の日にデモンストレーションを行います。これについては住民からの非常に反発があり、去年は神奈川県下の小学校、中学校の運動会がデモンストレーションのフライトのためにめちゃめちゃになってしまうということが起きました。
つまり、私がここで申し上げたいのは、軍隊は決して命を守らない、命を軽視している、そういうことです。それを踏まえて、私たちは憲法九条の意義をここで再度確認することができるのではないでしょうか。
軍隊は人の命を守らない、人命を軽視しているということについては、例えば日本では、第二次世界大戦を迎える直前に沖縄において、沖縄の人たちがむしろ守られるのではなくてスパイではないかという非常に疑いをかけられ、作戦のために多くの人が亡くなってしまったという事実からも明らかです。また、満州において、軍隊は先に引き揚げてしまったけれども逆に民間人が置き去りにされて、現在もなお存在する残留孤児の問題などは、むしろ軍隊が人を、女、子供、人々を守ってこなかったということのあらわれだと私は思います。
また、例えば自衛隊においても、例えばこういうものがあります。一九五七年一月の陸上自衛隊幹部学校資料によると、自衛隊が地方に対して行う業務の一つとして、「作戦上許す限り住民を保護する」としていることもこの事情の一端をあらわしているのではないでしょうか。つまり、「作戦上許す限り住民を保護する」、重要なことは国を守ること、あるいは作戦を遂行することであり、まず住民を保護する、あるいは人命を保護するということではないという面があるのではないでしょうか。
アメリカの原子力潜水艦はすぐ漁船の人たちの救助を行わなかったというふうに言われております。やはり作戦、軍隊の作戦が重要なわけですから、人命救助がおくれたのではないかというふうにも思っております。もちろん、現場の一人一人、個人個人はヒューマニストであり、人の命に対して鋭敏な感覚を持っていらっしゃる人はもちろん多いとは思います。しかし、軍隊のメカニズムとして住民の命を守る、人命を守るという形になっていない、そのことを私は言いたいと思います。
だからこそ、きょうのアメリカの視察の旅行の結果でも若干言及がありました。私は憲法九条こそ、平和憲法こそ二十一世紀の世界をリードする一つの哲学であるというふうに考えております。二十世紀は間違いなく戦争の世紀でした。核は二十世紀の負の遺産です。二十一世紀を戦争の世紀から平和の世紀に切りかえるために、憲法九条は世界をリードする大きな哲学であるというふうに考えております。二十一世紀をどうやって共生社会にできるのか、支配被支配の社会ではなく、国と国との関係、人と人との関係も支配被支配の関係ではなく、どうやって協調形態社会に切りかえていくことができるのか、それは私たち日本が世界の中でリードしてまさにやっていけることだと思っております。
非常に手前みそですが、社民党は北東アジア安全保障機構をつくろうとして今努力をしております。韓国、そしてモンゴルに行き、お正月には中国へ行き、さまざまな各国のアジアのトップの人たちとの話し合いを党として続けております。北東アジアにおいて安全保障機構をつくる、北東アジアにおいて非核の宣言をしていくということを、本当に日本政府に対してもそのことが必要であるということを強く働きかけていきたいというふうに考えております。
三月には、日本におきましてアジア太平洋社会主義インターの会議が行われます。社会主義といいましても、今はヨーロッパの多くの国がそうであるように社会民主主義インターになっております。去年、アジア太平洋社会主義インターは、アジアにおいて非核の宣言、非核を実現するという決議を行いました。私はそれがまさに憲法九条を生かすこと、憲法九条にまさに合致して、ヨーロッパの多くの国々も、世界じゅうの国々もまさにそのことを求め、支持していると考えております。
ですから、この憲法調査会では本当に格調高く、どう実現していくのかをここで議論していきたいと思います。
二つ目は基本的人権のことです。
これは、ここの調査会は憲法改正調査会ではなく憲法調査会です。基本的人権をどうやって実現をしていくのか。きょうも欧州評議会の方々が日本を訪れております。国際人権規約B規約の勧告、子どもの権利に関する条約の勧告、女性差別撤廃条約の勧告など、日本はたくさん実現をすべきことがあります。また、違憲判決も若干ながら出ており、また最高裁ももう少し踏み込んでさまざまな違憲立法をしてもらいたいというふうにも考えております。
そういう意味では、この調査会の中で、これからは国民主権についての議論なんですが、国民主権の点で何が具体的に問題なのか。学者のみではなく、具体的に例えば裁判を起こしている当事者やその問題を扱っている人たちもぜひ呼んでいただきたい、話も聞きたいというふうにも思っております。
また、あるいは基本的人権のテーマの中で、日本で何が非常に重要な課題なのか、憲法を生かすということをどう実現していくのかということを丁寧にこの調査会でやっていただきたいというふうに考えております。
以上です。