高野博師の発言 (国際問題に関する調査会)

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○高野博師君 国連の今日的役割について何点かに絞って意見を述べたいと思います。これは党の見解ではなくて、私個人の考えであることを断っておきたいと思います。
 冷戦後の国際情勢の変化と地球的規模の問題群の深刻化に伴って、国連の役割が増すことはあっても減少することはないと、それに対応するためにさまざまな国連改革が必要であるという、そういう前提に立っての意見であります。
 言うまでもなく、国連の最も重要な役割は国際の平和と安全を維持するということでありますが、これが事態、状況によっては機能不全に陥るおそれがあるという問題が存在します。もちろん冷戦時代も同様の事態はしばしばありました。
 そこで、二十一世紀の平和にとって最大のテーマは、恐らく米中関係であることは間違いないと思います。先般の海南島上空での米偵察機と中国戦闘機の衝突事故については、依然解決はまだしておりませんが、ブッシュ政権が中国を戦略的ライバルととらえる考え方からしても、二十一世紀の新たな冷戦の始まりを予感させるものがあります。これは、日本の国益あるいは日本の将来、あるいは日本の安全保障にとって極めて重大なことであろうと思います。
 そこで、万一、将来米中の衝突が起きた場合、これはあってはならないことでありますが、あるいは武力衝突寸前の状況になった場合、国連は果たして何ができるのかということであります。
 安保理は拒否権の発動でほとんど機能しないだろうと思いますし、総会での非難決議がせいぜいのところだと思います。ましてや多国籍軍の出動というふうなこともあり得ない、同盟軍の出動はあり得るかもしれませんが。この拒否権を持つ大国間の衝突の場合は、国連はほとんど無力であるというこの現実は、国連発足当時からの国連の持つ構造的な弱点でありますし、あるいは国際社会の中に軍事的な超大国が存在するというそういう問題がありまして、これは依然として戦後何も変わっていない。この厳しい現実を十分認識しておく必要があると思いますし、その上でこの国連の安全保障における機能の弱点を補う外交的な努力が求められていると考えます。
 この米中関係を良好に保つ上での日本の役割は極めて重要でありますし、決定的であると私は思っております。詳しいことは踏み込みませんが、私は日米同盟の強化と、そして一方で日中友好の深化というのは基本的に矛盾しないと思っておりますし、日本が米中関係の安全弁、橋渡し、あるいは両国を平和友好関係にリードする積極的な役割を果たすべきだと思っております。
 もう一つ、湾岸戦争のような場合は大国に共通の利害がある。このような場合は国連決議は有効に行われますが、そうでない場合は、例えばルワンダの内戦のような場合、大国が関心を持たないという点でこれまた機能しないということもあり得ると。あるいはコソボ紛争のように、米国主導で国連決議を得ずに軍事行動を起こすような新たな状況も生まれている。これは国連の権威を低下せしめるということにもなりますし、このような国連軽視の動きをどうやって食いとめることができるかということが大きな課題であると私は思っております。
 したがって、国際の平和と安全という国連の役割を十分機能させるためには、大国、特に国益優先あるいは内向きになりつつある米国をいかにして国連の安全保障の枠組みに取り込んでおくか、あるいは国連を重視させるかということが重要であることは論をまたないと思いますし、この点での日本の対米姿勢、あるいは日本の平和外交、平和戦略はもっと積極的であるべきだと思っております。
 以上を踏まえましても、さらには安保理の平和維持に果たす役割からしても、我が国の安保理常任理事国入りはぜひとも進めるべきであると思います。
 さまざまな国連改革が議論されておりますが、我が国の常任理事国入りは国連外交の中でも最優先すべきだと思います。そして、その安保理あるいは常任理事国の中で我が国はもっと平和維持のために大きな役割を果たすべきだと思っております。また常任理事国の拒否権の行使については、これを制限する方向に持っていく努力は当然必要だと思います。もう一つ、安保理の常任理事国入りについては国際的なコンセンサスはかなりできつつありますが、我が国の国内のPR不足ということも指摘されておりますので、これも十分行うべきだと思います。
 なお、今年度、ODAを三%カットいたしましたが、国連中心主義の日本外交にとって途上国を初めとしてさまざまな各国からの支持を確保していくという点ではこれ以上削減するというのは好ましくないと思いますし、ODAの国連外交とリンクした戦略的活用というのももっと考えるべきではないかと思います。
 もう一つ、グローバル化と国連の役割という点で、先ほど同僚の議員からもお話しありましたように、エネルギーの問題あるいは食糧の問題、環境、難民、地域的な紛争、さまざまな地球的規模の問題群が相当深刻化しつつあるという点で、日本は人類益とか国際益とか、こういう観点に立って、そして人間の安全保障という理念に基づいてもっと積極的な役割を果たすべきではないかと思います。
 紛争を未然に防ぐ予防外交という観点でも、ODAももっと十分に活用しながら大きな役割を果たすべきだと思っております。その中でも、特に二千二百万人いるという難民の問題、難民支援、この人道的な援助についても、人権大国というような地位を確保するという点からも、特に日本が一番大きな役割を果たしていますが、これは継続的にもっとやるべきではないかと思っております。
 最後に、日本に国連機関を設置すべきだということでありますが、これは明石前国連事務次長も言っておりましたが、PKOのアジア共同訓練所を日本につくったらどうかという点は私は賛成でありますし、横田東大教授もUNHCHRのアジア太平洋地域事務所等を沖縄につくったらどうかということについても賛成でありますし、日本がもっと国際社会の中で大きな役割を果たし、日本から平和というメッセージを発信するためにも必要ではないかと思っております。
 簡単ですが、以上です。

発言情報

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発言者: 高野博師

speaker_id: 15245

日付: 2001-04-18

院: 参議院

会議名: 国際問題に関する調査会