田英夫の発言 (国際問題に関する調査会)
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○田英夫君 二十一世紀に入った今、改めて国連の役割を考えたときに、私は国連憲章の精神に立ち戻るべきだと、こう思います。国連憲章は、言うまでもなく、第二次世界大戦の末期にまだ戦争が続いている中で、余りにも悲惨な世界戦争の状況を感じ取った多くの人たちが、その戦争というものをなくすためにどうしたらいいか、いわばそこに貫かれているのは平和主義ということだと思いますが、この精神が日本国憲法第九条に引き継がれた、前文ももちろんですけれども、こう思っております。
そこで、振り返ってみますと、第一次世界大戦直後に一度、戦争をなくそうという大きなうねりが世界で起こった。例えば一九二八年のハーグの不戦条約、あるいは国際連盟の結成というようなことがそのあらわれだと思いますが、このせっかくの状況を壊したのは日本の責任だと思います。一九二〇年代末から三〇年代にかけて中国に対する侵略を始めていくという、それが次第に拡大して、最後は太平洋戦争、第二次世界大戦ということに発展をしていった一つの起爆剤に日本がなったことは間違いないことだと思います。
一方で、第二次世界大戦後、国連憲章を起草しながら、そして国連をつくりながら、世界では第二の大きな戦争をなくそうといううねりが起こった。これが国連憲章として実ったと思っておりますが、このせっかくの機運をたちまち壊したのが朝鮮戦争であります。こういうことで、二度の戦争をなくそうという空気が壊されてしまった。そういう中で、改めて今二十一世紀に、人類から戦争をなくそうということを真剣に考える必要があると思います。
まず、その意味で、私ども日本の立場からするならば、日米安保条約の第十条を想起することから始めるべきだと思っています。日米安保条約第十条は、「この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。」と、英語の直訳そのもののこの文章ですけれども、普通の日本語で言ってしまえば、要するに、この安保条約というのは、日本の周辺で安全保障のための十分な措置がとられたと、こう日米の政府が認めたときにはこの日米安保条約は自然になくなる、消滅すると、こういうふうに受け取っていい条約だと思います。
なぜ、戦後五十数年たつ、そして日米安保条約ができて五十年ですが、このことを重視してこなかったのか、私は反省をする必要があると思っています。我々の手でこの状況をつくり出すことが必要ではないか、いつまでも二国間軍事同盟と言っていい日米安保条約に依拠しているということでいいのかどうか、こう思えてなりません。
私ども社民党は、このことを具体化しようとしています。それは、北東アジア総合安全保障機構をつくろうということを昨年秋決定いたしました。総合安全保障機構といいますのは、軍事的な安全保障だけではなく、むしろそれよりも、例えば環境とか、食糧とか、教育とか、エネルギーとか、水資源とか、あるいは人口の問題とか、そうした国民生活に直結するさまざまな問題について、その地域の国々、民族がお互いに話し合い、協力して、平和のうちに一つの安全保障を進めていこうという考え方であります。具体的には、日本、韓国、朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮ですね、モンゴル、中国、ロシア、さらにカナダ、アメリカ、八カ国で構成をする安全保障機構、こういうことを考えております。
既にこの考え方は、韓国の金大中大統領あるいはモンゴルの今与党である人民革命党、野党になった社会民主党、こうした人たちに昨年来こちらから訪問して説明をし、基本的な同意を得ております。北朝鮮に対してもこの考えを提起しようと思っております。中国の政府並びに党に対してもこの考えを説明いたしました。いずれも賛成という方向で検討しようじゃないかという、ただし、残念ながら私どもは小さな野党であります。しかし、その問題提起を彼らも真剣に聞いてくれました。これを一つの出発点にして、つまり安保条約第十条というものを現実のものにしていこうということで、北東アジア総合安全保障機構をつくることを出発点にします。
さらに、その出発点として、北東アジア非核地帯条約をつくる。これは言うまでもなく非核国家である日本と、そして南北間で既に朝鮮半島非核宣言をしております南北朝鮮、それに国連によって非核国家を認められているモンゴル、この四つの国で非核地帯条約を締結する。これを周辺にあるアメリカ、中国、ロシアといった核保有国がいわば保障をする、この地域には核を持ち込まない、核攻撃をしないということを保障するということであります。
先ほど北東アジア総合安全保障機構と申し上げましたが、これを世界に拡大したい。国連の傘のもとに、すべての世界をこうした安全保障機構で覆うことができないだろうか。
まず南太平洋、ここにはラロトンガ条約を結んだ国々があります。これを名づけて南太平洋フォーラムと仮に名づけますと、ASEANにはASEAN地域フォーラム、ARFが既にできております。これはまさにモデルになります。それから、アジア全体を見たときに、北東アジア、ASEAN、そして先ほどの南太平洋にそのフォーラムが完成をしたならば、これを全体ひっくるめてアジア太平洋総合安全保障機構とすると。同じようなものを、南北のアメリカ大陸あるいはアフリカ大陸、ヨーロッパの東と西と、そういうふうに地域的なフォーラムという名のもとに安全保障機構をつくり、それを総合してその地域、大陸全体の総合安全保障機構をつくるというやり方で世界を構成できないか、国連の傘のもとに。
これが二十一世紀中に完成できれば、まさに世界は戦争をしない世界になり得るのではないか、その大きな目的のために日本は力を尽くすべきではないかということを提言として申し上げたいと思います。
以上です。