緒方靖夫の発言 (国際問題に関する調査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○緒方靖夫君 この間の国連問題に対するここでのさまざまな議論、大変有益だったと、そのように感じております。高く評価したいと思います。
 私は、すべての加盟国が国連を重視する、より具体的に言うと、国連憲章に明記されている国連の原則と目的を守ること、これが改めて重要だなということを痛感しております。
 この間、国連は試練を受けてきたと思うんですね。それは、国連の授権のない武力行使が行われたコソボ紛争、そしてその理由が成り立たないために、結局根拠として持ち出されたのが人道的理由等々でした。これは学問的にも国際法上も確立されていないというのが日本政府の態度でもありますし、また国際的な見解でもあると思います。
 この事件を通じて明らかになったことは、アメリカが国連の枠には縛られずに自国の利益を優先するという戦略です。国連に対しては選択的に利用する、そういうことが明らかになったと思います。つまり、国連の軽視ですね。今ちょうど広中先生がおっしゃられたことと共通すると思うんですけれども、やはり私は、国際社会がこのやり方に対して強く批判したというのは当然だと思います。
 国連憲章の中には、もちろん大国が特権を持っていることに対して改革すべきこと等々あると思います。しかし、私は、その点でやっぱり今現時点で一番大事なことは、国連憲章の原則、目的を守ること、とりわけ国際の平和と安全を守る上でこれが肝要だと思います。
 特にこの問題では、私も国連総会の各国代表の演説を通して見たことがあるんですけれども、かなりの国がこの点を強調する。非同盟諸国もそうだし、ASEANもそうだし、OAUなどがやはり組織としてもこの点を強調している。あるいはまた、日本政府もASEANプラス3の共同声明の中でこの点を一緒になって指摘しているということも改めて想起したいと思います。
 あと、簡単に三点述べたいんですけれども、一つは日本の国連の常任理事国入りについてですけれども、私はこれに反対です。
 これは軍事参謀委員会と憲法との関係云々ということが一つありますが、私は、同時に非常に大事なことは、日本が自然体で尊敬される国になることが必要だと思うんですね。確かに、そのための外交工作を繰り広げるということが今あると思います。そしてまた、参考人も述べたように、札びらでほっぺたをひっぱたくような、そうしたことも行われていると。援助をちらつかせれば表立って日本に反対する国はないかもしれません、それほど。
 しかし、例えばマレーシアのような親日国が、日本がアジアの一員になったときに初めて賛成できると、今は反対だと言っている意味の重さ、我々はそういったことをしっかりとかみしめる必要があると思います。ですから、そういう加盟するための、そのための工作だけに走っていいのかということは、やはり私たち改めて考える必要があると思います。
 それから次に、個人通報制を可能にする選択議定書、これを日本政府が批准することが大事だと思います。
 これはそれぞれの問題ありますけれども、例えば市民的・政治的自由に関する国際規約、この問題で私は九〇年代の前半にジュネーブの国連人権委員会にずっと通っておりましたので、そこでつぶさに見てまいりましたけれども、これを認めると個人通報制を可能にする、したがって最高裁で決められたものが次々国際舞台でひっくり返されるようなことになると大変だという、それが日本政府の本音だと思うんですね。私は、そうした問題についても堂々と、今の国際的な流れ、とりわけその国が人権国かどうかということを判定する基準として、その選択的議定書の批准かどうかということが今バロメーターにされているという現実を見たときに、やはりこの点は非常に大事だと思います。
 最後に、NGOと政府の関係です。
 これは武者小路参考人のお話が大変参考になったんですけれども、例えば北欧とかオランダとかそういう国で、政府とNGOが一体になって国連に報告する内容も一緒に協議する、あるいは政府代表団の中にNGOが入る、それが本当にいいのかどうかよくわかりませんけれども、そのぐらい緊密に協議し合うという、こういうことが当たり前のごとくやられてきたわけですね。
 日本でも以前はNGOを敵視してきた。例えば、人権委員会の履行報告書をつくるときにそれを見せずに、我々手に入れるのはいつもジュネーブの国連機関から手に入れると、日本の報告を。そうだったものが今はヒアリングを行う、時間は短いけれども、そういう形で改善されてきているんです。これはやっぱり非常に大事なことで、こうした方向を進めていって、日本でもやっぱりNGOと政府の関係、これを改善していく、こうしたことが非常に大事かなと思っております。
 以上です。

発言情報

speech_id: 115114308X00620010418_022

発言者: 緒方靖夫

speaker_id: 18665

日付: 2001-04-18

院: 参議院

会議名: 国際問題に関する調査会