田英夫の発言 (国際問題に関する調査会)
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○田英夫君 まず、東アジアの安全保障について申し上げます。
国連に関する意見表明でも述べましたが、世界を幾つかのブロックに分けて、それぞれに総合安全保障機構をつくっていくということを二十一世紀中に目指すべきだと思っています。アジアでは、私どもは北東アジア総合安全保障機構を構築すべきだと主張しておりますが、北東アジアというのは、ここに言う東アジアと全く同じ意味だと思っていただいて結構です。
この北東アジア安全保障機構には、三つの柱が前提条件としてあると思います。
その第一は、北東アジア非核地帯条約を締結することです。
この北東アジア非核地帯条約というものを結ぶことによって、内容は、日本、南北朝鮮、モンゴルの四つの国が締約国となって、アメリカ、ロシア、中国という核保有国が、非核三原則プラスワンと私どもは言っているんですが、つまり、つくらず、持たずは自分たちのことですが、持ち込まない、それから核攻撃をしないという約束を核保有国から取りつけるというやり方で条約を締結することです。このやり方は、既に南半球全域を覆っている非核地帯条約で既に実証済みであります。
この条約の目的は、言うまでもなく、東アジアにおいて、日本、南北朝鮮、モンゴルと、この条約を結ぶ四つの国の間で信頼醸成をなし遂げていく、そして宥和の精神を高める、これをきっかけにして北東アジア総合安全保障機構へと結びつけていくということであります。
二番目に、日本政府による不戦国家宣言を提起したいと思います。
これは、オーストリアの永世中立の方式が参考になりましたが、オーストリア政府は永世中立宣言をし、これを国連が承認するという形をとって世界じゅうが認めております。また、モンゴルの非核国家の宣言というやり方も大変参考になります。モンゴルは一九九二年に大統領が非核国家宣言を行い、その後、他国に働きかけて、一九九八年に国連総会で非核国家の地位というものを承認されております。
こうしたやり方を参考にしながら、衆参両院で不戦国家宣言を決議し、それを受けて日本政府が不戦国家宣言を世界に向かって発して、それを国連総会において承認する。こうなれば、日本は戦争をしない国ということが世界にはっきりと認知されることになります。
三番目の柱は、この不戦国家宣言に伴って自衛隊を改編、縮小するという問題です。
論理的には、戦争をしない国ということになれば自衛隊は不要ということになりますけれども、現在ある二十数万の自衛隊員の職を奪ってしまうということを私どもは主張するつもりはありません。これまでの経緯もありますし、縮小、改編という形をとるべきだと思っています。
具体的には、陸上自衛隊については、現在ほぼ十六万と言われておりますけれども、約十年をかけて七万程度に減らしていくことができないだろうか、海上自衛隊と航空自衛隊についても縮小、改編をし、また自衛隊全体の中から災害救助隊、国際協力隊といった非武装の集団にそれを変えていくということを考えております。
以上申し上げた三点を柱として、日本、韓国、朝鮮民主主義人民共和国、モンゴル、中国、ロシア、アメリカ、それにカナダの八カ国から成る北東アジア総合安全保障機構の構築を目指すべきだと考えています。
カナダについては意外に思われるかもしれませんが、カナダは核軍縮や平和の問題について大変積極的に発言をしておりまして、ニュージーランドとかスウェーデンと同様に、今、世界の平和への動きの一つの大きな力になっているということ、また米国との関係も深い中で、太平洋を隔てた国でありますが、この北東アジア総合安全保障機構に加わってほしいものだと思っております。
既に、社民党としては、昨年八月に韓国の金大中大統領、九月にはモンゴルのエンフバヤル首相、そしてことし一月には中国の江沢民主席と土井党首を団長とする代表団が会談をいたしまして、この主張を説明し、大筋の賛同を得ております。また、去る三月に東京で開かれました社会主義インターのアジア太平洋委員会の総会でも、最終決議の中にこの私どもの構想を支持する旨が盛り込まれております。
この北東アジア総合安全保障機構のまず一番大きな最初の仕事は、南北朝鮮の統一、和解ということだと思っております。同時に、日米中三カ国の円滑な関係をつくっていくということが基本的に非常に大切だと思います。総合安全保障機構というのは、軍事的な安全保障だけでなく、むしろ国民生活に直結する環境、食糧、水資源、エネルギー、福祉、科学技術といった諸問題について各国が協力することであります。その中で日本は、戦争をしない国ということを明確に世界から認められている中で一つの大きな役割が果たせるのではないかと思っております。
次に、日本外交のあり方について申し上げます。
まず、我が国の外交は将来に向かって日米基軸、これがもう今常識のようになっておりますが、日米基軸、日米安保条約中心という外交を根本的に改めることから始めなければならないと思っています。
前の東アジアの安全保障のところでも述べましたように、日本と中国とアメリカ、いわゆる日米中三カ国が基軸になるということが非常に大切な外交の基本だと思います。北東アジア総合安全保障機構というものができますと、日米安保条約の第十条、これは御存じのとおり、その中で、「この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。」、つまり、この日本周辺地域に国連の十分な安全保障機構ができれば、それを日米両国政府がそう認めれば、この日米安保条約は自然に消滅するということを規定しているのでありますから、その日米安保条約が消滅できるような機構をつくるというのが北東アジア総合安全保障機構の構築であります。
そして、そういう中で日米中トライアングルと言われているこの三カ国の関係を進めていく。既に、日米中トライアングルについては正三角形が望ましいとか、すべての三角の線が太い実線で結ばれることが望ましいとかいうことで民間の議論が既に始まっております。いわゆるセカンドトラックの話は始まっております。これを次第に政府レベルのファーストトラックに強化していくということが望ましいと思っております。
次に、朝鮮半島の統一についての具体的なことを申し上げますと、日朝国交正常化交渉を積極的に進めるということです。その場合は、金大中大統領の太陽政策を明確に支持すること、同時に北朝鮮とまず国交を正常化するということを優先すべきだと思っています。いろいろ問題があることは事実ですけれども、その問題が解決しなければ国交正常化はしないというやり方は誤っていると思います。
かつて、ソ連時代にゴルバチョフ大統領の右腕と言われたヤコブレフ氏が私に、日ソ交渉の場面で日本政府は、北方領土という石を交渉をしようとする部屋の入り口に置いて、この石をどけなければ交渉を始めないという態度をとり続けてきている、これは日本政府の大きな過ちだと思うということを言いましたが、日朝国交正常化交渉においても同様のことが言えると思います。いろいろ問題があることは事実ですが、まず国交を正常化した上でお互いに具体的な交渉を進めていくべきだと思っています。
そして、現在問題になっていることですけれども、いわゆる歴史教科書問題についての対応は日本外交の基本的なものとして非常に重要だと思っております。この歴史教科書の問題あるいは従軍慰安婦の問題、強制連行の問題、こうした過去の誤りを率直に認めることをしなければ、二十一世紀には日本はアジア諸国から孤立してしまうであろうと思います。
先ほど高野さんも言われましたけれども、教科書問題については、あのドイツとポーランドがアウシュビッツの問題で共同の作業をして歴史教科書をつくっていったというそのことに学びながら、日本と南北朝鮮、中国などと歴史教科書について共同作業をするということがまず第一に必要ではないかと思っています。
以上です。