島袋宗康の発言 (国際問題に関する調査会)

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○島袋宗康君 東アジアの安全保障及び我が国の外交のあり方について意見を述べたいと思います。
 東アジアの安全保障について考察するに当たっては、まず、その範囲及び現状についての認識を述べなければならない。しかる後に、この地域の安全保障はいかにして確保されなければならないかという本論に入っていくことにしたいと思います。
 東アジアには北東アジアと東南アジアの両地域が含まれ、後者はほぼ現在のASEAN諸国の領域と重なり、前者には日本及び朝鮮半島の韓国と北朝鮮、中国及び台湾、ロシア沿海州が含まれるものと大まかに観念することにしたい。そして、ここで考察を試みる安全保障の問題は、我が日本とその近隣諸国との関係、つまり北東アジアの安全保障の問題に限局することにしたいと思います。
 この地域の安全保障の現況は、南北朝鮮の対峙、中台間の対立、そして、ロシアの情勢と日本の今後の動向という要素から成り立っている。そして、そこに唯一の超大国アメリカの国益に基づく世界戦略、ここではその東アジア戦略が強く作用を及ぼしているものと観念できるのである。
 次に、しからばこのような状況はどのようにして現出したのかという点について考えてみることにしたい。
 これらの状況はすべて歴史的所産であることは言うまでもないことである。二十世紀の半ば以降に第二次大戦という歴史的事件があり、その後、米ソの冷戦、中国の内乱、朝鮮戦争というような歴史的な経過をたどって今日の状況にあるわけである。そこには民族と国家の興亡というとうとうたる歴史の潮流の一端をかいま見ることができるのである。
 日本について言えば、日中戦争、第二次大戦の太平洋戦争、そして敗戦と占領、新憲法の制定、対日講和条約と日米安全保障条約の締結という一連の歴史的経過をたどって現在の日本があるわけである。戦後の新生日本は米国の申し子であり、今でもその強い影響下にあるという側面を否定することはできない。
 中国においては、日中戦争後の内乱と中華人民共和国の成立及び中華民国の台湾における残存と米台の強い結びつきという現状がある。朝鮮半島においては、南の韓国と北の朝鮮民主主義人民共和国の成立、そして、朝鮮戦争と休戦、米韓の強い結びつきがある。
 ロシアについては、米ソ冷戦、ソ連邦崩壊後、ロシアの成立、冷戦の終結という流れの中に現在がある。
 これらの各国と米国との関係では、自由主義、民主主義、市場経済という共通の価値観によって日本、韓国、台湾は米国と強く結びつき、同盟関係にある。ロシア、中国、北朝鮮と米国とは、かつての先鋭な対立関係ではなくなったものの、今でも緩やかではあっても対立する関係にあると言ってよい。
 それでは、いよいよ本論に入っていくことにしたいと思います。
 この地域の安全保障は、超大国米国の自国の国益に基づく世界戦略と無関係に論ずることはできない。米国はその国益を守る立場から、日米安全保障条約、米韓相互防衛条約、米華相互防衛条約及びその失効後の米国内法の台湾関係法により、この地域の安全保障に強くかかわっている。そして一方、ロシアの動向、北朝鮮の出方、中国の動向とその台頭には強い警戒感を持っている。米国は、北朝鮮に対しては、韓国、日本との連携によって対処し、中国に対しては、台湾、日本との連携によって対処しようという戦略をとっていると思われる。
 このような米国の戦略と要請の文脈の中で、日本における周辺事態法、有事ACSAの成立があり、今後の課題としての有事法制の整備や集団的自衛権行使のための憲法改正の問題が政治日程に上ってくることになる。
 しかし、ここで考えてみる必要があることは、日本の国益と米国の国益とは完全にイコールなのかという点である。私見では、歴史的、地理的関係から、米中、米朝関係よりも日中、日朝関係はより密接な関係にあり、将来にわたって共存共栄を図っていくべき関係にあると言えるのではないか。もちろん米国としても、対中、対朝関係が良好であるにこしたことはないと思うが、日本の場合ほど切実な問題ではないと言えるのではないか。そのような点一つとってみても、日本と米国の国益が完全に同一のものとはなり得ないと思うからである。
 現在、存在する南北朝鮮問題の緊張関係、中台間の緊張関係に対して日本がどのようなスタンスをとるべきなのか。言うまでもなく、米国は韓国及び台湾と深く結びついており、これらの関係が悪化した場合には、いや応なく米国は韓国及び台湾を強く支援することとなる。その際に、日本は日米安全保障条約に基づいて米国を支援することとならざるを得ない。そこで、周辺事態法や有事ACSA法等が活躍の場を与えられることとなり、日本は消極的に関与することとなる。しかし、もし日本がこれらの事態に対して積極的に関与したいとの意思を持ち、かつ行動する必要があると判断した場合には、さらに有事法制の整備と憲法の改正が不可欠との選択をすることになる。
 しかし、一体、このような選択をすることが果たして日本の国益につながると言えるのだろうか。つまり、万が一朝鮮半島や中台間で紛争なり戦端なりが開かれた場合に、日本は無条件で米国のお先棒を担ぐ必要があるのかということである。むしろ、日本はあくまでもこれらの緊張関係を平和裏におさめる努力をすべきであると私は考える。
 まず、朝鮮半島における韓国の金大中大統領の太陽政策を支持するとともに、北朝鮮との早期の和解と友好政策を推し進めるべきである。そして、中国の台湾に対する政策は長期的な視点に立って、武力解放政策を捨てて、平和的に民族の融和を図る方向での協力を惜しまないとの意思を表明するとともに、その側面支援をすべきである。
 日本が主体的にこれらの支援活動を実践するためには、まず、日本自身がこれらの関係国の信頼をかち得ることが必要である。そのためには、一日も早く米国追従外交を改め、ひとり立ちの外交政策を推進できる国家となることと、中国や朝鮮の人々からいつまでも歴史認識や教科書問題、靖国公式参拝問題等で指弾や非難を浴びることのないように、これらの問題にきちっとけじめをつけ、節度ある平和国家となることを表明し、実践し続けることが肝要である。
 顧みれば、明治維新後の近代日本は、台湾や朝鮮半島を植民地化したり、中国その他の国々を侵略したという歴史的事実は否定しようがないことである。あげくの果ては、太平洋戦争とその結末としての惨めな敗戦という現実を迎えたことを忘却すべきではない。悲惨な血の犠牲の上に平和憲法が打ち立てられたのである。押しつけ憲法との非難の声がほうはいとして起こりつつあるが、これは邪悪な声であると言うべきである。
 憲法改正と軍備の正当化は、日本がかつてたどった道へ逆戻りする方向に行くことを意味する。決してそのような危険な方向へ行くべきではない。私は、平和憲法を永久に堅持し、節度ある文化国家の民として生きることこそが日本民族の行くべき道であると考えるものである。
 そのためには、近隣諸国を初め、世界の諸国民と友好を結び、交流の輪を広げるための場と機会を数多くつくっていくことが必要である。日本の民衆があらゆるレベルで国際交流を促進して、相互理解を深め、相互の文化と伝統を尊重し、信頼の醸成に努めていくことが求められている。
 私たち沖縄社会大衆党は、去る四月二十八日と二十九日の二日間にわたって、結党五十周年を記念して、沖縄の地で東アジア国際平和会議を主催したところであります。この会議には、中華人民共和国、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国からの代表を招き、二日間にわたって熱心な討議が行われました。その成果は実に大きなものであったと私たちは自負しております。
 去る四月三十日付の地元紙琉球新報の社説は、この会議を総括して次のように述べております。「国家中心の安全保障の視点に立つと、沖縄のような地域は永遠に「基地の島」から脱却できない。軍事化の抑制を可能にする唯一の方法は、民衆の安全保障の視点を持つことである。」「民衆の信頼を醸成していく運動は、地味ではあるが、国家の中心地から離れた地域にとって、安全保障の有力な選択肢となりうる。」と。
 非力なローカルパーティーにすぎない私たちの党に対して各方面からの御協力をいただいてこの会議が成功をおさめたことに対しては、心から感謝を申し上げたいと思う次第であります。
 そして、最後に、意志があれば道はおのずから通ずるものである、平和を欲すれば平和が訪れるはずであるということを申し上げて、私の意見といたします。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 島袋宗康

speaker_id: 12181

日付: 2001-05-23

院: 参議院

会議名: 国際問題に関する調査会