宮澤喜一の発言 (財政金融委員会)

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○国務大臣(宮澤喜一君) まず、政界における御活躍をお祈りいたします。
 今の不安感の問題でございますが、私は、やはり一九八五年のプラザ合意から事は起こっていると考えていまして、当時、円は二百四十円であったわけでございますから、その後、円は数字の上でもほとんど倍になったという、そういう大きな変革を我が国の経済社会は経過いたしました。
 その間にバブルあり、バーストあり、いろいろなことでまだその始末がついておりません。円がそれだけよくなったということは、悪いことばかりでは明らかにないはずでございますけれども、非常な変革要因になったことは明白でありまして、まだその始末がついておらないというのが、それが第一の不安感であります。
 しかし、たまたまその時期に、ITを初めとする二十一世紀に向かっての、新しい経済とまでは申しませんが、ほとんどアメリカではそう言われているような変革が起こって、それに対して対応しなければならないという、その不安がもう一つ私は重なっておると思います。
 しかし、我が国にとっては、のうのうしているよりは、こういう苦労をするということが実は二十一世紀に本当に対応できるいわば試練になるかもしれないと、こう考えることもできると思いますが、いずれにしても、両方ともこれは不安な要因であります。
 それで、おまけにITに対する対応というのが、今、山下委員もおっしゃいましたが、アメリカではレイオフでやってしまいましたが、我が国の場合には非常に広い範囲での従来の労働慣行あるいは労使関係等々を呼びますために、そのことがまたもう一つ不安の要因になって時間がかかっておる。及び、企業はようやく利益を出し始めましたが、その多くが既往の債務の返済に使われて、家計の上昇、つまり賃金の上昇につながってこない。労働側は、雇用の問題がございますから、むしろ賃金よりは雇用と考えるのがまた当然でございまして、そういう意味で、私どもが予想したよりも企業は早く利益を出し始めましたが、それが家計に今のところ回ってこない。時間の問題だと思いますけれども、そういう状況がさらに我が国のGDPをもう一つ十分なバトンタッチができずにいるという、大体こういう状況と思います。
 その間、財政はおっしゃいますようにバランスシートで考えるというのはまさにそのとおりでございます。ですから私自身は、国の債務が非常に大きく、実際に大きいわけですが、それが大変な出来事とは思っていますけれども、やっぱりバランスシートで物を考えるということは大事なことだと片っ方で思いますが、同時に、財政だけ考えましても、しかしどのようにしましても国債費が大きいということはなかなか変えられませんので、それは歳出の二割を占めるということでございますから、どのような大蔵大臣でも、入った歳入の二割は国債費になるということは、これはかなりつらい財政であることに変わりはございません。
 それから、そのような状況の中で、財政再建でございますが、昨日成立させていただきました平成十三年度予算は、一つはまだこの不況回復の部分をいろいろに用意しておりますが、他方で国債発行を少しでも減らそうという、いわば財政の将来に向けての配慮、両にらみの性格を持っております。
 既に政府の経済財政諮問会議で、財政再建を頭にしましてマクロモデルをつくることを経済研究所に指令をいたしました。半年余りかかると言われておりますが、財政再建といいましても、今まさに山下委員が言われましたように、社会保障の問題であるとか、中央と地方との関係であるとか、税制であるとか万般な問題を含んでおりますから、モデルをつくってシミュレーションをして一義的に決定する、端的に申せば、給付と負担との関連をどうするかという国民的な選択をしてもらわなければならないという問題だと思っておりますので、したがいまして、そういう形でモデルができましたらシミュレーションをする。
 これはある意味で、問題に直面せざるを得ない、言葉ではごまかし切れない問題にぶつかることになりますが、やはり二十一世紀に向かってそういう国民的な選択を必要とすると政府は考えておりますので、そのような道にただいま進みつつございます。
 これはしかし、いざそういう選択に直面いたしますと、これは極めて難しい政治問題になる可能性は高うございますが、しかし、やはりそれを踏み越えて財政再建というものを考えませんと、本格的なものは生まれてこないのではないか、また、その時期になってきているというふうに考えております。

発言情報

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発言者: 宮澤喜一

speaker_id: 13804

日付: 2001-03-27

院: 参議院

会議名: 財政金融委員会