川端勲の発言 (農林水産委員会)
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○参考人(川端勲君) 私、長崎市東部漁協長の川端です。県知事許可の中小型まき網と煮干し加工をしております。
本委員会においては、漁業者の長年の念願でありました水産基本法並びに関連制度の改正法案について精力的な御審議をいただいておりますことに感謝する次第であります。また、このような重要法案の審議に意見を述べる機会を与えていただきましたことに心から感謝申し上げます。
先生方のお力により、日韓、日中の新たな漁業協定が発効し、秩序が保たれつつあります。しかし、昭和五十年ごろから活発となった韓国、中国漁船による長年にわたる乱獲によって、長崎県の漁業は惨たんたる状況に置かれております。このような厳しい漁業環境の中、資源と漁場の持続的利用を確固たるものとするため、資源管理を柱とし、水産資源の安定供給、水産業の健全な発展を理念とした基本法が制定されますことは、漁業者に希望を与えるものと考えます。
本来、漁業資源は再生産可能な資源であります。離島の多い長崎県は漁業が基幹産業であり、多くの漁業者が資源を分け合うという考えから、はえ縄や釣り漁業に力を入れ、網操業を厳しく制限してまいりました。
しかし、韓国、中国の急激な漁業の発展は、資源の再生産を全く無視したものでありました。ようやく新日韓・日中漁業協定が発効いたしましたが、対馬、壱岐、五島の長崎県海域は、韓国、中国の底びき網、まき網によって漁場は荒廃したままであります。資源回復のために、漁獲努力量の抑制も必要でありますが、積極的な資源の培養、増殖が急がれます。我が国排他的経済水域内の資源の回復と、暫定水域、中間水域の資源管理の確立が緊急の課題であると考えます。
また、東シナ海における暫定水域等を解消しなければ、真の資源管理は実現できないと考えますので、水産食料の安定供給の確保の上からも、中間線による排他的経済水域の実現に御尽力をお願いするものであります。
二つ目は、漁場環境及び生態系の保全であります。
年々水揚げが減少していることから、漁業者は積極的に放流を行い、体長制限も行っております。また、漁期の自主規制や休漁日を設定し、漁獲を規制する努力をしております。しかし、魚の育つ環境が失われては、再生産の輪が途切れてしまいます。埋め立てや土砂の流入、有害物質による汚染などによって藻場や干潟が失われております。藻場の造成と干潟、岩礁など浅海域の確保が重要であると考えます。
三つ目は、輸入の問題であります。
輸入の増大に伴う価格の低迷が漁業不振の要因となっていることは、先生方も十分御理解いただいているところであります。IQ制度の維持とセーフガードの発動による輸入の制限措置を機動的に発動することが必要であると考えます。
特に、長崎の周辺の海域は日中韓三国が操業しております。過渡的措置として暫定水域等もあります。我が国への輸出を目的とした漁獲が行われ、見聞するところでは、漁場から直接輸出するとも聞いております。戦後、営々と続けてきたアマダイはえ縄漁業は、中国の刺し網漁業によってこの十年間の間に四分の一に減少しております。平成三年には千八百トンありましたものが、平成十年には五百トンまで減少しております。以西底びき網はわずか一グループが残るのみで、まき網も減船が続いております。
資源管理の意識が異なり、漁法が違い、賃金や規制が異なるにもかかわらず、同じ漁場で操業し、我が国への輸出を認めていたのでは、長崎を初め九州の漁業は立ち行きません。我が国排他的経済水域はもちろん、暫定水域の漁獲物の我が国への輸出は禁止するか制限をすべきではないかと考えております。
四つ目は、沿岸漁業と沖合漁業の調整であります。
長崎県の沖は、沿岸からわずか三マイルまで大臣許可の八十トン型まき網の操業が認められております。このため、大型の漁船から小型の漁船、一本釣りから網漁業まで、全く異なる漁業が同じ漁場で同じ魚をとり合っております。大臣許可の大型まき網や底びき漁業が認められた当時と状況が変わっております。漁船の性能はよくなり、装備も充実しております。その結果、昔は魚のスピードに漁船が追いつかず、また魚の群れを発見することが難しかったために漁獲の対象としていなかったマグロの稚魚であるヨコワやブリといった沿岸漁業者が一本釣りでとっていた魚までとるようになりました。
また、今は情報化時代であります。沿岸漁業者が漁をしているという情報は瞬く間に大型漁船に伝わり、とり尽くしてしまいます。四、五トンの小型漁船が中心の沿岸漁業者は、自分の地先が漁場であります。特殊な例を除いて遠くまで出かけていくということはありません。漁村、漁業の存続と資源の持続的利用のために、これらのすみ分けと調整機能の強化など適切な措置を御検討いただき、お互い持続的に発展していく方向を見出すべきであると考えます。
五つ目は、流通、水産加工業についてであります。
漁業の盛んな地域と消費地は必ずしも近くにあるとは限りません。長崎の場合、消費地が遠いばかりでなく、離島というハンディも抱えております。陸路は、高速道路、一般国道と国の財源で充実しております。海上輸送体制に国の助成がなされているとはいえ、陸上に比べれば見劣りいたします。海上輸送のコストを高速道路並みの料金となるよう国の助成がなされるべきであります。
また、最近は鮮魚小売店が衰退し、量販店を中心とする販売に変わりつつあります。効率や消費者の販売動向からやむを得ない変化とは思いますが、流通形態が変わることによって、これまでは水揚げされた魚をいかに売るかが鮮魚店の腕の見せどころでしたが、量販店は先に販売計画があって、計画したものを必要量だけ市場から購入する傾向にあります。しかし、漁業は自然が相手であり、とれたものを有効に販売する仕組みがないと安定した収入は確保できません。流通コストを下げ、漁獲物を効率よく販売する体制が必要であると考えます。
また、最近は魚の姿をした丸体で消費者が購入することはまれであります。鮮魚といえども流通段階の加工処理が必要であります。これらの加工を産地で行うことによって、漁業者の付加価値を高め、漁村の活性化を図ることができます。さらに、地元でとれた魚を加工することによって、これまで流通に合わなかった魚を含めて利用することができます。しかし、産地では季節による漁獲の変動もあれば豊不漁もあります。産地間の連携を支援する体制づくりと輸送体制など社会基盤の整備をお願いしたい。
六つ目は、漁業、漁村が多面的な機能を果たしていることであります。
漁村の振興は単に漁業の問題ではありません。漁村の多くが離島、半島にあって、住民の多くが漁業に携わっているばかりでなく、漁業に活気があって初めて商店街を初め地域経済が成り立っております。長崎の離島、半島のように漁業以外に目ぼしい産業のない地域では、漁業者の減少は地域社会の崩壊につながります。
過去にも、ベトナム難民や中国からの集団密航の船が漂着したことがあります。無人島に外国漁船員が無断で上陸したという話も聞きます。外海に面した離島は、国土保全の前線基地であります。長崎の漁業者は、先ごろ、長崎税関との間に麻薬及び鉄砲密輸防止のための協力の覚書を交わし、情報提供に協力することといたしました。また、海岸線の清掃など環境保全も漁業者が担っております。このような多面的な機能を漁村、漁業者が果たしていることから、単に経済的なプラス、マイナスにとらわれることなく、振興策を講じて漁村の活性化を図る必要があると考えます。
そのためには、漁業で生活できる施策は当然のこととして、漁村にあっても都市生活者と遜色のない生活ができる環境として、道路を初めとする交通網、公共下水道など住環境の整備、文化施設やレジャーの享受など、漁村に若者が残ろうという気になる施策が必要であると考えます。水産基本法の理念に基づき、離島振興法にかわる施策に期待するものであります。
最後に、水産基本法に示される理念を達成するために、漁業者みずからの取り組みが必要であることは十分承知いたしております。県漁連会長として合併を強力に進めてまいりました。もちろん系統、県を初め、協力し合ってやってまいりましたが、この五年間で長崎県では百四十二あった漁協が九十八になりました。引き続き、自立漁協に向けて合併に努力してまいります。
水産基本法は政策を進める上で根幹を成すものであり、関連制度の見直し法案を含め今国会で成立いたしますよう、先生方の御理解をお願い申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。
ありがとうございました。