速水亨の発言 (農林水産委員会)
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○参考人(速水亨君) お手元に四枚の資料を配付させていただいておりますが、それを参考にしていただければ結構かと思います。
日本林業経営者協会副会長をやっております速水でございます。三重県で林業経営をやっております。
本日の基本法の一部改正に関しまして、お手元の資料の二ページ目をごらんになっていただきたいと思います。
まず、私がつくってまいったわけでございますが、日本林業が戦後どのように変化していったかというのを、十年ごと追いかけましてつくった資料でございます。全部を説明しておりますと時間がございませんので、それに関して三枚目には少し細かい説明等を書かせていただいてありますので、後ほど御参考にしていただければと思います。
特に、一行目の一、GNPに占める林業の生産のウエートでございますが、これは、昭和二十五年の欄は、実は戦前の数字しかなかったので戦前が五%、それから三十五年二・四、四十五年〇・八、五十五年〇・四、平成二年〇・一七、平成十二年〇・〇七五と、急激にGNPの中に占める木材、林業生産のウエートが落ちてきているということがございまして、産業としての林業という意味合いは国家経済の中からすると極めて小さいものになってしまったなということを思っております。
また次のところに、杉の全国の平均造林投資の利回りが書いてございます。これは林野庁で調べていただいた数字ですが、昭和四十年からの数字しかございませんが、六・三、五・六、昭和五十五年の三・四%ぐらいまではまだよかったなという感じでございます。その後急激に衰えまして、平成十年からでしょうかマイナスになりまして、平成十一年の数字なんですがマイナス一・五%の利回りということで、杉の林業というのは投資的にはお金をなくす投資になってしまったという状況がはっきり出ております。
六番の賃金でございますが、昭和三十五年を一〇〇といたしますと、平成十二年、下に指数を書いてございますが、一九五三と約二十倍になっております。これは伐採、搬出をする山の労働者の賃金でございます。
それと比べますと、七の欄の杉の立木価格でございますが、昭和三十五年を一〇〇としますと、平成十二年が一〇八ということで、既に昭和三十年代の木の値段でございます。その価格を今の労働賃金で割りまして、一立方当たり何人の労働者が雇えるかという計算をしますと、一番よかった昭和三十五年は十一人なんですが、実は木材の丸太が自由化されたのがその直後でございまして、その後から、木の値段は上がりながらも労働賃金の上昇には追いつかないということで、実際は昭和四十五年から既に林業というのは次第次第に厳しいところに追いやられていったという数字が一番下の数字でおわかりになっていただけるかと思っております。
さて、そういう状況で、四ページ目に、五十年生の杉一ヘクタールを伐採したときの市場価格というものを少しシミュレーションして計算をしてみますと、立木が山に約四百立方ありますと、現在市場で一万三千円で売買されております。それをいろんな手数料だとか伐採・搬出費を引いてきますと、山での木の値段というのは千九百六十円。これは先ほどの数字と少し違うよという話なんですが、先ほどの表にある数字は日本不動産研究所で出しております杉の立木価格で、こちらは我々が実態として考えておる価格ということで御理解いただければ結構かと思います。
山に生えている木すべてが販売できるわけではございませんので、利用率の七五%を掛けますと、五十年生で約五十八万八千円の収入になります。そこに木を植えまして、一年手入れをするという状況が起きますと八十五万五千円必要になってくる。結果的には、今五十年生の杉一ヘクタールを伐採しても、お金を払って一年生に変えてしまったのと同じ状況に陥っているという状況がここにはっきり出ていると思っております。そのような状況から、今回、林業基本法が改正されることになるんだろうと、そのように考えております。
そこで、何点かの意見を書かせていただいております。一ページに戻っていただきます。
今回の基本法の改正によって環境管理が非常に重視されてくるわけでございますが、その中では、木材輸入大国の日本として国際的な視点からすればやはり木材生産を重視せざるを得ないだろう、そうするのが日本の重要な役割だというふうに理解をしております。世界の木材貿易の約二〇%の量を輸入している日本としましては、資源の有効利用を図ることが重要な意味を持つというふうに思っております。私がFSCという認証を取ったんですが、これは環境管理に厳しい認証でございますが、そこにおきましてもはっきりと木材生産を要求しております。
次に、私ども林業経営者が日ごろいつも問題にしております森林に対する路網整備でございます。
これは、単に路網というふうに考えるのではなくて、森林に対するアクセス、森林にどう近づいていくかという考え方をとるべきだと思います。今後、環境管理が深まれば深まるほど、森林の管理のための路網というものが非常に重要になっていく。下に書いてございますように、日本と同じような地形のオーストリアでは、作業道を含めて約一ヘクタールに九十メーターの道が入っております。日本では十数メーターしかございません。オーストリアの山というのは環境管理もすべてスムーズにいっているという状況が見られます。そういう点では、今後、国民は、森林に構造物をつくるような治山工事よりは、このような路網整備あるいは適切な森林管理に対する事業というものを期待しているのではないか、そのようなことを日ごろ考えております。
また、里山の管理に関しましても同じように、里山に人々が入れる、それが里山を機能させる最大のことだというふうに思っておりますので、森林に対するアクセスという考え方をもっとはっきり出さなければいけないだろう。アクセスの確保でございます。
次に、三番に書いてございます森林所有者の森林管理の責務が明記されることになったわけですが、それに対応した国民負担の仕組みというものが明記されなければ、我々は先ほどのような状況で森林の管理がどうやってやれるんだろうという心配はございます。
次に、少し専門的な話なんですが、森林計画は今まで私ども個人あるいは共同で人がつくってきたわけですが、今回は土地のまとまりで、属地というんですけれども、土地に対して森林計画をつくっていくことになるわけです。例えば、隣にいらっしゃる檮原町であれば檮原町のある地域の山をまとめて森林計画を立てていく。そこに三重県の私が森林を持っていても、それは私が立てるんではなくて、そちらにお願いをして立てるということになります。
そういうことになってきますと、本来、意欲ある林家を育成するとか、あるいは事業体を育成するとかという、林業の中核を担う者を育てるというのが大きな方針でありながら、経営の一体化というものがそがれる。つまり、計画によって細分化されてしまうおそれがあるということがございますので、今後、運用あるいは細かい部分で経営の一体化がそがれないやり方を確保しておきませんと、最終的には林業経営というものの意味づけがなくなっていく可能性があるということが十分考えられることでございますので、注意をしていただきたいと思っております。
そして、森林の公益面がこれほど重視されている割には、まだ森林税制というものが非常に厳しい状態でございます。特に、ゾーニングが行われ、森林計画が地域計画というふうになってきた中で、森林の意味が個人の資産から多くの国民のための森林という意味づけが深くなってきた段階で、森林の所有者に対する税の負担の軽減というものは十分配慮していただきたい、そのように思っておりますし、林地の評価あるいは立木の評価等は林地の実情に合った適正な評価が必要だというふうに思っております。
特に、林業税制というものが極めて軽い状態になれば、都市の余った資金というものがどんどん山村に投入されることになりまして、山村の活発化、活性化というものが図られる可能性もある。その仕組みをどのようにつくっていくかということが、税と計画の絡みで非常に重要ではないかと思っております。
以上で意見を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。