東門美津子の発言 (本会議)

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○東門美津子君 社会民主党の東門美津子です。
 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま御報告のありましたAPEC首脳会議に関しまして、小泉総理大臣に御質問いたします。(拍手)
 今回のAPECは、九月十一日に米国で発生した、許しがたい残虐な同時多発テロの記憶がまだ生々しく残る中で開催されました。国内に多数のイスラム教徒を抱える東南アジア諸国など、政治的、文化的、さらには宗教的にも多様な国々の集まりであるAPECにおいて、テロ対策に関するAPEC首脳声明を決定し、域内各国の首脳がテロに対し結束して対処する姿勢を示すことができたことは、評価すべきことであると感じています。
 しかし、我が国が現在行おうとしている対応は、APEC首脳声明で示されている内容に比べても、非常に突出したものとなっているのではないでしょうか。
 首脳声明では、国連の役割の重要性を強調し、対テロ対策としては、テロリストへの資金の流れを防ぐための適切な金融措置などが掲げられていますが、米国が現在行っており、また、我が国が支援をしようとしているアフガニスタンにおける軍事行動については、何ら言及されておりません。APECにおいて、米国の軍事行動はどのように位置づけられていたのでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
 そして、我が国が新法を制定して行おうとしている措置は、APEC加盟各国にどのように受けとめられているのでしょうか。我が国が平和憲法を持ち、自衛隊の海外派兵を禁止していることはAPEC加盟各国にも広く知られており、我が国に対し軍事的な役割を期待している国はほとんどないと思います。
 先週、我が党は、パキスタンの難民キャンプへ調査団を派遣しました。難民キャンプでは、今回の米英の戦争への憎悪が渦巻いており、そこへ武装した自衛隊が物資を届けるなど絵そらごとだということが判明いたしました。三週間に及ぶ空爆で、アフガニスタンの人々への水、食料、医薬品などの供給が途絶え、NGOが懸命の努力で物資を送り続けています。平和憲法を持つ日本が行うべき貢献とは、迫りくる冬を前にした何百万という飢餓線上の人々に温かい人道的支援をすることだと思います。
 米国の軍事行動及び我が国の支援策についてのAPEC各国の認識と評価並びに真に我が国が期待されている役割について、小泉総理の見解をお伺いいたします。
 本来、経済面での課題を協議することがAPECの重要な役割であります。今回も、米国でのテロの影響などによる世界経済の落ち込みを回避し、グローバル化とニューエコノミーがもたらす恩恵を共有することなどを内容とする首脳宣言と上海アコードが採択されました。そして、域内で発展段階が異なる国が共存するAPECにおいて、先進国による途上国に対する支援が不可欠であり、人材育成が大変重要です。我が国は、このような経済面においてこそ、果たせる役割が大きいと思います。
 しかし、報道で伺う限り、小泉総理の発言は、対米支援の勇ましい話が聞こえてくるばかりで、途上国に対する支援について、我が国が積極的に具体的な人材育成等の支援策を提示されたのでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。
 観光が主要な産業である沖縄には、在日米軍専用施設の七五%が集中し、余りにも広大な米軍基地の存在ゆえに、沖縄がテロの標的にされるのではないかとの不安から観光客のキャンセルが相次ぎ、そのことが県経済に非常に深刻な影響を及ぼしています。
 今後、テロの影響によって、人の流れや物の流れが弱まり、世界貿易が縮小することになれば、内需が小さく、貿易に経済成長を依存せざるを得ないアジア諸国の経済の後退と政治的不安定を拡大させるおそれがあります。閣僚会議でも、各国が結束してアジア太平洋地域の経済成長を復活させることで一致しています。
 そうした中で日本政府の役割は特に大きいと考えます。テロの影響から我が国の産業や社会を守り、経済を安定軌道に乗せることがアジア諸国の経済的、政治的不安を和らげるのに大きく寄与するものと考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。御所見をお尋ねいたします。
 また、特に不良債権問題の解決が喫緊の課題であると思いますが、今後の見通しについてお聞かせください。
 ブッシュ政権は、その発足以来、ミサイル防衛計画推進の強行、ABM制限条約脱退の動き、京都議定書からの離脱、生物兵器禁止条約の検証議定書草案の拒否など、一国主義を志向する動きを強めてきました。しかし、今回のテロ事件を契機に、国際協調を重視する方向に転じたようにもうかがえます。
 小泉総理は、テロ事件発生後の先月後半に米国を訪問され、そして、今回は上海において日米首脳会談を行われましたが、今回のテロ事件により米国の外交姿勢に変化が生じたと感じられたでしょうか。総理の認識をお伺いいたします。
 また、首脳会談の席において、京都議定書など国際協調が必要な事項について、何らかの話し合いを行ったかどうかについてもお伺いいたします。
 今回のAPECに際して、江沢民中国国家主席との日中首脳会談が行われました。今月初めの小泉総理の中国訪問に引き続く首脳会談で、歴史教科書問題や小泉総理の靖国神社訪問によりぎくしゃくしていた日中関係がようやく正常化に向かうことになったとすれば一安心というところですが、総理は、今月の二度にわたる日中首脳会談を経て、教科書問題や靖国神社問題についての中国の懸念をどのように受けとめられましたか。そして、総理の説明により本当に中国側の懸念が解消されたとお考えですか。総理の認識をお伺いいたします。
 次に、二十日に行われた日韓首脳会談についてお伺いいたします。
 教科書問題と靖国神社問題に対する韓国の反発は、中国よりもさらに大きなものがあります。特に韓国国民の反発は非常に強く、たとえ首脳同士が理解し合うことができても、韓国国民の理解が得られなければ、真の日韓友好の実現にはほど遠いものであると言わざるを得ません。
 今回の会談でも、去る十五日の総理訪韓の際の合意を踏まえ、歴史認識についての日韓共同の研究会の設置など七項目を確認したとのことですが、小泉総理の基本的スタンスが変わらない限り、問題の根本的解決はあり得ないと思います。金大中大統領との二度の会談を経て、それでもなお教科書問題と靖国神社参拝についての総理の認識に変化は生じなかったのでしょうか。来年の八月には、再び靖国神社参拝を行うつもりなのでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。
 次に、北朝鮮のAPEC加盟問題についてお伺いいたします。
 韓国の金大中大統領は、昨年のブルネイでの会合に続き、今回も北朝鮮の加盟を提起したとのことです。北朝鮮自体は必ずしもAPEC加盟に積極的ではないとの報道もありますが、緩やかな政府間の地域協力の枠組みという性格を持つAPECに北朝鮮が参加することは、双方にとって非常に有意義であると考えます。我が国からも北朝鮮のAPEC加盟を積極的に働きかけるべきではないでしょうか。小泉総理の見解をお伺いいたします。
 APECは、アジア太平洋地域における広範な地域協力の場としてこれまでも大きな役割を果たしてきましたが、今回、テロ対策という多国間の政治的な協調においても役割を果たせることを示しました。アジアにおける地域協力としては、ほかに、ASEANプラス3やASEAN拡大外相会議、ARFなどがあり、アジアとヨーロッパの協力の枠組みとして設けられたASEMも、近年、その重要性を増してきています。
 日米関係ばかりにとらわれ、今回のテロ対策特別措置法のような対米追随の姿勢をとることは、かえって、世界各国の日本に対する信頼を失うことになるかもしれません。平和憲法を持ち、国際協調の立場をとる我が国としては、APECやARF、ASEMなどの地域協力の場において、積極的な外交を展開すべきだと思います。
 既に、社民党は、北東アジアにも、ARFに倣って北東アジア総合安全保障機構を組織し、日米関係への過度の依存を改め、総合的かつ多極的な関係に重心を移していくという構想を提起しています。APEC、ARFなどの地域協力機構の果たすべき役割と我が国の外交のあり方について小泉総理の見解をお伺いして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

発言情報

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発言者: 東門美津子

speaker_id: 31970

日付: 2001-10-30

院: 衆議院

会議名: 本会議