仙谷由人の発言 (本会議)

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○仙谷由人君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、塩川財務大臣の財政演説と、今年度補正予算案並びに関連する諸法案に対する質問を行います。(拍手)
 まず、総理の政治姿勢について伺います。
 自民党内部のいわゆる抵抗勢力と目される政治家の方々の活躍が、改革課題をめぐって顕著になってまいりました。小泉政権に期待した多くの国民は、今、小泉総理は改革を本当に遂行するのだろうかと、かたずをのんで見守っています。
 第一に、国債発行限度を単年度三十兆円以内にするとの総理の公約は、今年度も貫き通すと改めて約束をされますでしょうか。与党内では、景気対策のための財政出動を伴う第二次補正予算あるいは十五カ月予算編成をとの主張が、声高に語られているようでありますけれども、小泉総理は、みずからの信念に基づく国債発行三十兆円枠を投げ捨てて、このような主張にくみすることはあるまいと考えますが、いかがでございましょうか。
 第二に、今や、あの勇ましかった道路特定財源の一般財源化は、私たちの視野から消え去っておりますけれども、来年度からは必ずこのことを実行されるのでしょうか。
 第三に、高速道路を建設、経営してきた日本道路公団ほか三公団の民営化は、自民党道路調査会の頑強な抵抗に遭遇しているように見えます。小泉総理がその初志を貫徹されようとすれば、民営化方策と同時並行で、道路整備五カ年計画七十八兆円、この平成十年の閣議決定を直ちに見直し、変更することであります。そのことが、公共事業の効率化、適正化をもたらし、それによる歳出構造の転換へと道を開き、総理が渇望する財政健全化の第一歩となると考えますけれども、そうなさいませんでしょうか。
 以上三点について、小泉総理と塩川財務大臣に答弁を求めます。
 第四に、郵政三事業の民営化までをも叫んできた小泉総理に対して、自民党総務部会は、郵政公社においてさえも信書配達分野への民間開放について全面否定の挑戦状をたたきつけています。このような抵抗を打ち破って民営化に突き進むことに内閣の命運をかけるのでしょうか。明確にお答えをいただきます。
 第五に、小泉総理の一内閣一閣僚という方針は、議院内閣制のもとにおける政党政治としては、至極当然であると言えます。にもかかわらず、派閥均衡や順送り、たらい回しの光景に辟易していた国民にとっては、今度の小泉内閣の組閣は斬新に映りました。加えて、派閥の領袖の了解を求めず、一本釣りで組閣するという手法の鮮やかさが、国民の喝采を呼んだところであります。
 ところが、与党内には年末内閣改造期待のマグマが充満し、総理の公約を押しつぶすかに見えます。まさか、年末に内閣を改造して、旧来の自民党政治である派閥談合、族議員政治に堕落することはあるまいと考えますが、いかがでしょうか。小泉総理、お答えください。(拍手)
 第六に、先月末、党利党略だけの、与党三党による選挙制度改革をめぐる醜いどたばた劇が展開をされました。総理が危うく毒を飲まなかったことによって、一年先延ばしをされました。
 驚くことに、この与党三党合意は、向こう一年間、小泉総理の解散権を縛り、さらに、本年末の衆議院議員選挙区画定審議会が一票の格差並びに定数是正の区割り案を勧告しても、これを無視し、放置する合意の成立をも意味するとの言い方が、与党内で流布されています。
 まさか、小泉総理がこのようなたくらみにくみすることはないと考えておりますが、総理大臣として、この与党三党合意に縛られて解散権は行使し得ないと考えているのか否か、そして、同勧告を尊重して、速やかに区割り画定法案を提出するという内閣の義務を果たす意思はあるのか、明確にお答えをいただきたいのであります。(拍手)
 次に、補正予算の内容について伺います。
 この補正予算は、雇用対策五千五百億円を目玉としています。しかし、その中核を占める、地方自治体に三千五百億円を交付して、短期的な雇用の場をつくり出させようとする新公共サービス雇用は、この間の失敗の歴史を全く反省しない代物だと考えます。
 総理は、少なくとも、平成十一年から開始され、本年度末まで実施されている緊急雇用対策の実態を自治体や厚生労働省からお聞きになったことがあるでしょうか。
 自治体の公益法人施設の駐車場の誘導員も甚だ多いわけでありますけれども、例えば緊急ため池パトロール事業、これを民間企業に事業費二千万円で委託して、三カ月間でなされた新規雇用はたったの三人、一人当たりの一カ月当たり事業費コストは百六十万円という例などが、あまた報告されているのであります。こうした市町村からの報告を見る限り、雇用のミスマッチ解消どころか、安定的就業のある雇用につながっていないものが極めて多く、事業費コストだけがかさんでいるのであります。
 さらに、先日報道されたように、ある自治体においては、雇用された人のうち三分の二は非失業者、失業していない人である。他の自治体でも、本来の通常業務処理にこの交付金が使われています。ある県の総括表を精査いたしますと、一人の新規雇用のための事業費はおおよそ六十万円ぐらいのコストがかかっています。
 雇用期間が最長六カ月間に限定をされており、かつ新規事業を対象としていることを主たる原因として、この事業が安定的な雇用機会の提供につながらない、まさに一時しのぎのばらまきであるとの批判が正鵠を射ていると思います。
 このような過去三年間に二千億円をかけた緊急地域雇用特別基金事業をどのように総括しているのか、厚生労働大臣に答弁を求めます。
 問題は、三百五十七万人の失業者のうち九十二万人に及ぶ長期失業者であります。この長期失業者が就業できるようにするために何をしなければいけないか、ここが問題であります。かつまた、非労働力人口四千九十四万人のうち就職希望者五百六十八万人、とりわけ、この五百六十八万人の就職希望者のうち、求職をしない理由、非求職理由を、適当な仕事がありそうにないとする人が二百十六万人に上ります。この人たちが継続して就業し得る仕組みを立ち上げることしか、解決の方法はないと考えます。
 数々の事業主への助成を柱とする施策も、平成十年四月の緊急雇用プログラム、同年十一月の雇用活性化総合プラン、平成十一年六月の緊急雇用対策、平成十二年五月のミスマッチ解消を重点とした緊急雇用対策、これらの対策が何ゆえに効果を持たなかったのか、何ゆえに四・六%まで失業率を下げるとしたこの目標値が五・三%になってしまったかを深刻に反省し、中期的視点で教育訓練と職業紹介が有機的に統合された仕組みをつくって、民間の事業としてもこれを開放することから始めなければならないと考えておるところでございますが、総理及び厚生労働大臣のお考えをお聞きしたいと存じます。
 厚生労働省は、ようやく、ホワイトカラーの再就職、転職のあっせんのためにキャリアカウンセラーを養成すると言い出しました。しかし、これも、現時点では全くのつけ焼き刃であります。外国では、キャリアカウンセラーは、大学院の修了を要するプロフェッショナル専門家であります。アメリカでは、既に十七万人も存在すると言われております。日本では、辛うじて百数十人であります。直ちに取りかからなければならないことは、キャリアカウンセラー養成のための教官と講座をつくることだと考えますけれども、厚生労働大臣は、そのような構想をお持ちかどうか、そして実行をされるおつもりがあるか、お聞きをいたします。
 不良債権問題についてもお尋ねをいたします。
 改革先行プログラムには、特別検査や整理回収機構の機能強化が盛り込まれました。しかし、いずれも実効性に乏しいか、あるいは問題が多過ぎます。
 新生銀行に対して瑕疵担保履行のために五千五百億円が支払われた、追加払い額は何と三千百二十億円に上った。新生銀行においては、要注意先債権の要管理先、破綻懸念先以下へ低下させた債権が、一年以内に五五%になった。このことは、金融再生委員会の当時の査定がいかにいいかげんで、政治的な査定であったかをあらわしていると考えております。柳澤大臣はこのことについて国民に謝罪をすべきだと私は考えますが、御所見を伺います。
 また、みずほグループの不良債権償却額の予定が、ここ八カ月で二・五倍に激増をいたしております。まさに、金融庁の資産査定、引き当ての甘さを露呈したものにほかなりません。査定の適正さを広言してきた柳澤大臣の責任は、極めて重かつ大であります。出処進退を含め、お考えをお聞かせください。
 特別検査は、これまでの金融庁の検査が適切であったというフィクションを前提としなければならないために、前回検査のあったことし三月末以降に株価や格付が著しく低下した企業だけを対象にするということになると聞いております。そもそも、柳澤金融担当大臣は、九九年三月、早期健全化法違反の公的資本増強を強行し、銀行の健全性を喧伝してきた、まさにその人であります。みずからがみずからを否定するような結果を出すはずはないでありましょう。総理大臣及び柳澤担当大臣に、反論があればお聞きしたいと存じます。
 また、RCCの機能強化についても、形を変えた銀行救済のための間接的な公的資金投入につながる、まさに国家的飛ばし以外の何物でもありません。その証拠に、この案では、RCCに不良債権の買い取りの入札に参加させ、時価と称して限りなく簿価に近い価格を銀行にプレゼントする仕組みになってしまうのではありませんか。柳澤金融担当大臣は、そうならないと保証できますか。お伺いをいたします。
 総理、今、不良債権処理は急務であります。すべての問題は、不良債権を大量に懐に抱いた銀行を健全な銀行と称して、これに対する公的資金を注入し、健全化計画を実行させるという虚構にとらわれたところに間違いが始まっているのであります。金融仲介機能を取り戻すためには、銀行の財務体質が健全化されなければなりません。そのために、厳格な資産査定、貸し倒れ引当金の引き当てが肝要であります。これまでの金融行政を総括し、過ちを率直に認めるべきであります。
 今、永田町で聞こえてまいりますのは、第二次補正、高速道路九千三百四十二キロメートルの完遂、年末内閣改造、ペイオフ凍結延期の、与党の大合唱であります。日本が断崖絶壁に追い詰められている、その危機感のない人たちの、なかなか直らない習性丸出しの、昔覚えた歌のリフレインというべきでありましょう。
 私は、失われた十年を繰り返してはならない、構造改革なくして本格的景気回復なし、改革なくして成長なし、こう小泉総理は言われておるわけでございますが、その前提としては、総括なくして改革なし、この言葉を小泉総理に指摘をし、質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

発言情報

speech_id: 115305254X01520011109_023

発言者: 仙谷由人

speaker_id: 31924

日付: 2001-11-09

院: 衆議院

会議名: 本会議