小泉純一郎の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今泉議員にお答えいたします。
 経済情勢の認識についてでございますが、我が国の景気は、失業率も過去最高の五・三%になるなど厳しい状況にあります。また、米国のテロ事件発生等の影響もありまして、これからも注意深く各指標についての注視が必要だと思います。
 しかし、根本的に我が国経済の潜在力は十分にあると、これをいかに生かすかが今後の経済再生を図る上においても、また改革においても重要だと思っております。民需主導の持続的な経済成長を促すためにも、改革なくして成長なし、この方針に沿って今後改革を進めていきたい。その改革に伴って生じる痛みに対して、いかに不安を和らげるか、雇用対策、中小企業対策など、セーフティーネットの確立のために適切な施策を推進していきたいと思います。
 構造改革を断行する意気込みについてでございますが、小泉内閣は、六月にはいわゆる基本方針を閣議決定し、構造改革の基本的な考え方を国民に提示しました。九月には構造改革の政策と実施時期を具体的に示した改革工程表を取りまとめ、そのうち先行して決定、実施すべき施策については、十月二十六日に改革先行プログラムとして取りまとめたところであり、改革を加速することとしております。
 具体的には、今般提出した補正予算においても、従来型の公共投資の追加は行わず、雇用対策等に重点を置き、安易な国債増発による刺激策等については行わないこととしております。
 また、不良債権処理については、新たに特別検査を実施するなど、その最終処理を推進しているところでありまして、さらに今後、特殊法人改革、医療制度改革などに取り組んでおり、今後とも、改革なくして成長なしの決意のもと、基本的な成長力を高めるための改革に着実に取り組んでいきたいと思っております。
 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案は、国民の負担による銀行救済法ではないかとのお尋ねであります。
 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案では、金融システムの構造改革に向けて、銀行等の株式保有のリスクを限定するために株式保有制限を課すこととしております。銀行等保有株式取得機構は、これに伴う銀行等による株式売却が円滑に進められるよう、公的支援を背景としたセーフティーネットとして設立されるものであり、公共性を有する信用秩序の維持のために必要なものであることから、銀行救済との御指摘は当たらないと考えております。
 また、金融再生法改正案については、議員提出法案として国会に提出せられたと承知しております。同法案においては、RCCの買い取り価格は時価によるものとされておりますから、銀行救済との御指摘は当たらないと考えております。
 なお、不良債権処理等に伴う痛みについては、セーフティーネットの一層の充実、前向きの構造改革による雇用創出等を進めているところであり、多くの中小企業倒産や失業者を見過ごしているとの御指摘は当たらないと思います。
 雇用対策についてですが、九月の完全失業率が過去最高の五・三%となるなど、厳しさを増しているということは認識しております。
 政府としては、総合雇用対策として、公的雇用における緊急かつ臨時的な雇用創出、ミスマッチを解消するため、民間の活用による再就職支援などの失業なき労働移動の支援、訓練延長給付の拡充や自営廃業者等に対する生活資金貸付制度の創設等を取りまとめ、補正予算において、雇用対策のための必要な措置を講ずることとしております。
 ただいま審議をお願いしております補正予算とこれから提出する雇用対策臨時特例法案の早期成立をお願いし、早期執行に努めるとともに、規制改革の推進による雇用創出や労働市場の構造改革を進めるなど、政府としては適切な施策を推進していきたいと思います。
 製造業の空洞化についてのお尋ねですが、製造業は我が国の基幹的な産業ですが、近年、内外のコスト格差を踏まえ、中国を初め海外への進出、移転が続いており、国内の雇用の減少などの影響が懸念されております。
 産業の空洞化や雇用の減少を防ぐためには、規制改革等を通じて魅力的な国内事業環境を整備するとともに、高付加価値化等により製造業の国際競争力の強化を図らなくてはならないと思います。
 御指摘のIT戦略と製造業の組み合わせについては、企業の情報関連投資により生産性を向上させることは製造業の国際競争力の強化に大いに資するものであり、従来から積極的な取り組みを進めてきたところであります。
 住宅ローン返済困難者対策についてのお尋ねであります。
 住宅ローン返済で苦労している方々に対して支援策を講ずることは重要な課題と考えております。このため、住宅金融公庫において返済期間の延長や据置期間中の金利の引き下げ等、返済負担軽減のための措置を講じてきたところであり、補正予算においてその拡充を図ることとしておりますが、さらなる金利負担軽減の措置を講ずることは公平性の確保の問題から問題があると考えております。
 また、民間住宅ローンについては、民間同士の契約でもあることから、国の利差補給金等の交付は慎重に考えるべきものであり、返済困難者対策については、雇用、福祉などの幅広い政策的観点から対応を考えてまいりたいと思います。
 公的賃貸住宅等の家賃の減免、猶予についてのお尋ねでありますが、公団賃貸──これはちょっとはしょった。
 授業料免除措置や助成措置、奨学金などを拡充すべきではないかとのお尋ねでありますが、保護者の失職や倒産等の家計急変者に対応するため、奨学金制度については、無利子で貸与を行う緊急採用奨学金を年間を通じて随時受け付けており、現在のところ、希望者に貸与することが十分可能であります。
 また、授業料等の減免措置については、国立学校においてこれを実施するとともに、公私立学校においても設置者の判断により同様の措置が行われております。
 なお、私立学校に対しては、経常費助成の充実を図るとともに、平成十二年度から授業料減免事業臨時特別経費を措置し、家計急変により授業料納付が困難になった生徒を支援しております。
 今後とも、親の失職等の経済的理由で子供たちが学校をやめなければならないということがないように適切に対応してまいります。
 中小企業の本格的な業績回復のため斬新な政策を盛り込むべきとのお尋ねでありますが、今般提出した補正予算においては、やる気のある中小企業の連鎖的な破綻を回避するため、セーフティーネット保証・貸付を充実するほか、物的担保や保証人に依存しない資金調達を拡大するため、売掛金債権担保保証制度や創業融資制度を創設すべく、所要の金額を計上しております。
 さらに、中小企業の社債発行の支援や税制等によるベンチャー支援も推進します。これら総合的な対策により、中小企業の確固たる将来展望を開くことができると考えております。
 御指摘の地域金融円滑化法案については、金融機関の融資業務等は、基本的には自主的な経営判断に基づいて行われるべきであり、何らかの措置を法的に義務づけるということは慎重に考えるべきものと考えます。
 下請対策の充実についてですが、政府は、従来から下請法違反行為に対して迅速かつ厳正に対処するとともに、その未然防止に努めてきたところであります。
 さらに、最近の下請事業者の厳しい取引環境を踏まえ、電気機械機器等の重点業種について特別立入検査を実施する等、緊急に運用の強化を図っているところであります。
 なお、役務の委託取引における下請中小企業に対する不当な行為については、独占禁止法により厳正に対処していくとともに、下請法の対象とすることの妥当性について、取引実態を踏まえて検討していくことが必要と考えます。
 ものづくり産業についてですが、ものづくり産業は我が国の基幹的な産業ですが、近年の経済の構造的変化の中でその衰退が懸念され、ものづくりを支える基盤技術の継承が困難になりつつあるということは認識しております。
 政府は、昨年九月、ものづくり基盤技術基本計画を策定し、研究開発の推進、労働者の確保、中小企業の育成等を着実に推進しており、今般提出した補正予算においても、ものづくり基盤技術の振興に可能な限り取り組むこととしております。
 また、ものづくり産業の空洞化を防ぐ観点から、我が国の事業環境を魅力あるものにするよう改革を推進してまいります。なお、為替相場については、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要との基本的認識のもと、適切に対応してきているところであります。
 製造業におけるITの応用についてのお尋ねですが、御指摘のとおり、我が国の基幹的産業である製造業については、ITを活用することにより国際競争力の強化を図る必要があると思います。ものづくりとITを融合させ、製造業の生産性の向上を図ることを産業政策の重要な柱と位置づけ、今後ともITの活用を通じた製造業の生産性の向上を図ってまいりたいと思っております。
 残余の質問については、関係大臣に答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 115315254X00920011109_005

発言者: 小泉純一郎

speaker_id: 9434

日付: 2001-11-09

院: 参議院

会議名: 本会議